浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

武装グループが大統領府に発砲

2005年04月01日 | Weblog
 「和平路線」を突き進むアッバース体制に一部の若者達が反発しています。
 30日夜には、武装したアル・アクサ殉教者旅団の15名が大統領府に発砲、当時建物の中にいたアッバース氏やスタッフにけがはなかったもののそのまま街に流れ込み、商店数ヶ所に発砲をして逃げ去るという事件がありました。
 武装グループの主張によると、事件はイスラエル軍に追われてアル・アクサ本部に逃げ込んでいた6名が治安部隊によって本部から排除されたため、それに抗議して行なったものだとのことです。
 この事件後、アッバース大統領は直ちに15名の拘束を命じ、アル・アクサへの取り締まり強化を言い渡しました。
 アル・アクサ・グループは、アッバース氏が所属する政治組織であるアル・ファタハの軍事部門です。インティファーダ(民族放棄)が吹き荒れていた時には、自爆攻撃や誘拐を戦術に取り入れていたとされており、守旧派の中からは以前から徹底的な粛清を求める声が強く出ていました。アル・アクサのメンバーの多くが、イスラエルの獄中にあるマルワン・バルグーティを慕っているだけに、アッバース氏にとっては、言わば眼の上のたんこぶのような存在になっています。

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