浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

急進派の勢力伸長

2005年12月18日 | Weblog
 パレスチナ自治区が大揺れに揺れています。与党アル・ファタハの分裂騒動はすでにお伝えしたとおりですが、何回かに分けて行なわれている地方選挙の結果で、ハマースが大躍進しています。
 まず、西岸地区最大都市ナブロスでは、ハマースがなんと73%もの票を集めてしまいました。それに対して、ファタハは13%の得票に留まっています。ナブロスはこれまで、ファタハの強力な地盤があるところとされてきただけにアッバース政権にとっては深刻な失点といえましょう。
 ファタハの不振は、ナブロスに留まらず、他の都市でも広く見られます。国民議会や大統領府があり、事実上の都市機能を持つラマッラでは、かつて日本赤軍との共闘で知られたPFLP(人民解放戦線)が6議席を獲得、同じ6議席獲得のファタハと分けました。ハマースは3議席得ています。
 西岸地区北部の反イスラエル運動の拠点でもあるジェニンでは、ハマースとファタハが6議席ずつ獲得しました。
 全体の選挙結果は、今週末にも出るのではないかといわれていますが、この勢いが他の地域に及んでいるようであれば、来年1月25日の国民議会選挙でファタハが政権の座を譲ることになるでしょう。

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