浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

バルグーティ氏 新党設立

2005年12月15日 | Weblog
 マルワン・バルグーティ氏は2002年4月、私が現地取材中、ラマッラの自宅からイスラエル軍に連行されたまま、今も獄中にあります。
 バルグーティ氏は、その「汚れていない経歴」と人柄、活動実績から若者の間で人気が高く、逮捕された直後は、ラマッラだけでなくパレスチナ自治区の各所で抗議デモが行なわれました。
 その後、彼は昨年、故アラファト大統領の死去に伴なって行なわれた後継者を選ぶ大統領選挙で、立候補と辞退を繰り返すという不可思議な行動に出て、有権者達を憂慮させました。
 その後も獄中から党内改革を呼びかけてきましたが、アラファト氏を継いだアッバース体制が積極的に取り組んでこなかったことから、近く行なわれる自治評議会(国会に相当)選挙での出方が注目されていました。
 バルグーティ氏の妻が14日、ファタハの選挙本部事務所に出向き、夫の党籍離脱の申出書を提出すると、それに慌てたアッバース大統領は急遽、ファタハの選挙リストのトップから現首相のアハマッド・クレイを外し、バルグーティ氏の名前を持ってくると発表したのです。
 それでもバルグーティ氏陣営は方針を変えることなく、新党「未来」を創設、バルグーティ氏がその党首になることを発表しました。
 選挙戦はただでさえ、ハマースの伸長によって与党ファタハに焦りが見られていましたが、バルグーティ氏の決断で、「一気に混迷を深める状態になりました。

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