浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

クレイ首相 議会選挙延期説を否定

2005年05月13日 | Weblog
 7月に予定されている自治政府議会選挙の実施か延期か、与党のファタハ内部で意見が大きく分かれてきました。12日、そんな噂を断ち切るようにクレイ首相が「選挙は予定通り行なわれる」と記者団に語りました。
 この話が出てきた要因に、最近起きた2つのことがあります。一つはイスラエル政府が、予定されていたガザからの完全撤退を宗教的な理由で延期したことにあります。もう一つは、2月に行なわれた地方選挙の結果です。与党が過半数を占めたものの、ハマースの伸長が予想を上回る形で出てきました。このままだと、アッバース大統領が誕生した後、実質的には何一つ得られたものはないと感じ始めている選挙民は、ハマースの「実績」に目を向けかねません。ハマースと言うと、「自爆テロ」の代名詞のように言われてきましたが、この組織ほど福祉や教育に力を注いできたグループはないのです。それだけに、与党幹部にとっては、ハマースは大きな脅威なのです。 
 与党実力者の一部は、現況では選挙に不利と判断、ガザからのイスラエルの完全撤退をアッバース政権の勝利と有権者に訴え、撤退後に選挙を行なった方が賢明と考えるにいたったのです。
 

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