浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

ライス長官 “順調な?”中東外交

2005年06月21日 | Weblog
 ライス国務長官はイスラエルとパレスチナ首脳との会談を終えると19日、隣国ヨルダンに入り、アブダッラ国王と会談、そしてその足でエジプトに向かいました。そして20日、ムバラク大統領と会談をしています。
 この日程を見る限り、順調な「中東行脚」という感じがしますが、それはすなわち、中東和平に何ら進展が見られなかったとことを意味すると取っていいでしょう。イスラエル、パレスチナ双方に大きな歩み寄りが見られれば、ライス長官は日程を変更して現地に留まったはずだからです。
 エジプト訪問も会談後に記者団に話したことと、本音は相当大きな距離があるように思われ、裏読みが必要でしょう。表面的には、エジプトの中東和平へのこれまでの貢献と今後の役割の重要性を強調しましたが、ライス氏がムバラク大統領の他に、野党第1党のリーダーに会っていることを私は重要視します。9月に大統領選挙を控え、ムバラク大統領の多選(任期は6年。今回で5期目)批判が出始めている中での対立候補と目される人物との接近は、ブッシュ政権のムバラク政権に対する「民主化への圧力」と考えるのが妥当でしょう。
 この後、ライス氏はサウディアラビアに向かう予定です。

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