浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

「人間の盾」は非人道的か

2006年11月23日 | Weblog
 アメリカの人権団体「人権ウオッチ(HRW)」は22日、イスラエル軍によるパレスチナ人活動家の住居破壊を妨害する方法として「人間の盾」が使われたことに対して、非人道的なやり方と非難した。

 確かに、HRWが指摘するように、建物を守るために支持者や活動家を「人柱」にする考え方は、人権擁護という観点からすれば、好ましくはない。また、組織からの指示がないにしても、意気に感じて感情の高ぶりだけで駆けつける人もいなくはない。

 私も何回かイスラエル軍から爆破予告を受けたパレスチナ人の家に支持者や近隣住民と共に立てこもったことがある。私がいたときは、ジャーナリストが中にいるとの情報がイスラエル軍側に入ったのであろう。家屋を破壊するような強制執行は行なわなかった。だが、家の周りを兵士やジープが行き交ってこちらをけん制していた。そして、私が出てすぐ、家族や支援者がつまみ出され、家屋が破壊された。

 こういった行為を非人道的と呼ぶのは簡単だ。だが、徒手空拳のパレスチナの人たちに他にどんな自衛手段があると言うのか。

 家屋破壊は日常的に行なわれている。ここ数ヶ月の間でも、ガザ地区だけで約250戸の家が壊され、1500人以上の家族が路頭に迷わされている。このような見せしめ的なイスラエルの手法が国際法に違反している以上、そちらへの非難が優先されるべきだと私は思う。

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