駐輪料金 一金五萬円也

ことの始まりは朝。いつものように燃えるごみを持って1階のゴミ捨て場に行ってふと気がついた。
ゴミ捨て場の引き戸の正面にいつもある私の自転車がない.......! 自転車置き場周辺を探すもやっぱりない～～！

マンションの自転車置き場はオートロックで鍵がかかるはずなんだけど実際にはロックに不具合があってたいてい鍵はかかっていない。
その気になれば誰でも入れる自転車置き場。心配はしていたのだけどとうとう私の愛車が被害にあってしまった。

部屋に戻ってＲさんに「自転車盗られちゃったよ」と報告。
最後に乗ったのはいつだったかという話になり、考えてみるといろいろあって金曜日から月曜日まで乗っていないようだ。
そして最後に乗ったのは木曜日に家からすぐの場所にあるスーパーに買い物に行った時。

まさか。ありえない。という気持ちが強かったけど、一応確かめなければと思い、サンダルを引っかけて徒歩1分もかからないスーパーの駐輪場へ。


あったっス。

自転車盗られてなかったっス。

なんと木曜日、私は自転車でスーパーに買い物に行って、レジで支払いをした後、歩いて帰宅したらしい。

うーん。ある意味、自転車を盗られたよりコワイぞ。若年ボケもここに極まれりか。

さて、自転車はめでたく発見されたものの、そこにはさらなる問題が。
この駐輪場、自転車を置いて2時間は無料なんだけど、それ以降は前輪のところに爪が出て自転車がロックされてしまう。私の自転車ももちろんロックされていた。
ロックを解除するには規定の駐輪料金を支払い機に入れなければならない。木曜から火曜の朝まででいくらなんだ。
こわごわ機械の所に行って駐輪場所の番号を入れたら金額が出た。

50,000円

1時間500円と言う計算らしい。近所の駐車場より高額だが、これはまあ近所の人が不道徳に駐輪するのを戒めるための懲罰的な金額設定なんだろう。

さあ、困った。家に戻ってＲさんに話すと「うーん、困ったねえ」。
と言いながらも出勤する時間になったので「じゃあ、これで」と1万円札を何枚か机に置いて妻は会社に出かけて行った。なんて太っ腹なんだ。

私は8時半になったらスーパーに行って、マネージャーみたいに人に訳を話して5万円は勘弁してもらうようにお願いしようと思っていた。
別に悪気があったわけでもないしそれほど迷惑もかけていない。うっかりミスしたのは私だけど5万円取られるほど悪いことをしたわけではない。

そんなことを考えて部屋で時間になるのを待っていたら、そこへＲさんからLINE。

「お店の人とお話し中。返してくれそう」

なんと出勤途中でスーパーによって私より先にお店と交渉していたらしい。

それから10分たっても次の連絡が来ないので私もスーパーに向かった。


Ｒさん発見。駐輪料金を支払う機械の前でなにやらやっている。
5万円は許してもらえることになったんだけど、前輪のロックを外すのに5万円分の駐輪カードを入れなければならなかったらしい。
その駐輪券が1枚500円分で100枚！

1枚読み込ませるのに5秒くらいかかるので100枚入れるのに10分近くかかっていたのだった。
単調な作業を延々と繰り返している妻の姿を遠巻きに見ていて、わたしちょっと泣けましたね。健忘症の夫のためにここまで尽くす妻の姿に。

いや、もちろん5万円と言う主婦からすると見過ごせない動機はあったにしても、でもやっぱりこれは愛だよな。うん愛だ。

今夜はこれから絶品ポトフを作ってお返ししたいと思います。