金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【敗れた選手へ贈る言葉】 神は「乗り越えられない試練を与えない」とは言うが・・

2024-07-30 02:17:36 | オリンピック・パラリンピック

 パリ五輪が始まり、早速さまざまなドラマが生まれています。

 

 勝利を期待されたチームや選手が、思わぬ相手に負けたり、競り合いを落としたりで、出だしから躓くケースが散見されます。バレーボール男子のドイツ戦体操予選の橋本大輝選手の鉄棒卓球混合ダブルスの張本・早田ペア1回戦負けなど。それでも、これらの選手たちにはまだ、これから挽回できるチャンスが数多く残っていますから、頭を切り替えて前を向くだけであります。むしろ、出だしの失敗を糧にして、このあと大変な偉業を成し遂げることだってあり得ますから。

 

 しかし、柔道女子52㎏級での阿部詩選手の2回戦での敗戦はそういう訳にはいきません。戦う前から「絶対王者」と世界中から祭り上げられ、想像を絶するプレッシャーと闘いながらこの日を迎えて、1回戦から順調に身体も動いて、この対戦でも序盤からリードを奪っていたのに、まさかの隙を突かれての一本負け敗戦直後の号泣と嗚咽は、心の奥から自然に溢れた無念の叫びだったと思います。

 恐らく、この時の阿部詩選手の脳裏には、さまざまな想いが駆け巡ったことでしょう。これまでの血の滲むような努力と忍耐は何だったのか、何が足りなかったのか、いや次の4年間のための試練なのか、でもまた同じような鍛錬を続けることができるのか・・

 

 神は「乗り越えられない試練を与えない」と言いますが、試練を与えられた本人からすれば、この言葉自体が心に傷をもたらす大きな原因にもなります。

 「乗り越えられない試練」だって世の中には存在します。試練を乗り越えられる強靭な人間ばかりではありません。むしろ、その心の痛みと共に、そのあとの人生を生きていく人間の方が圧倒的に多いのです。

 

 ワタクシも、若い頃に「取り返しがつかない失敗」をした経験があります。今でこそ、その「取り返しがつかない失敗」とは「その時点の自分がそう思い込んだ失敗」だと人に話せる状態となりましたが、その時の心の傷は、その後30年以上も時間をかけてユックリと癒した経緯があります。

 そして、その失敗があったからこそ、人に対して優しくなれたり、また人や物事を評価する上で、一方的視点からではなく多面的に見るクセがついて、結果として、それが自分のそのあとの人生で「大きな財産」となった経験があります。

 

 

 阿部詩選手をはじめ大一番で敗れた選手たちには、

「大一番での敗戦は辛い経験であり、これからも長く悔やみ続ける過去になるはず。しかし、長い長い人生の中では必ずや『大きな財産』となる大事な経験。『負けたことも、自分の人生の大切な一部』となります」

 という言葉を贈りたいと思います。

 

 

 

 

 


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