世界で自国製ワクチンのある国から、ワクチン接種が始まっており、米国では16歳以上を対象に、すでに40%程度の国民が少なくとも1回の接種が終了しているそうです。英国は45歳以上が対象ですが、こちらも約50%の方々が終了しているので、ここから対象年齢を下げる方針とのこと。その他、中国、ロシア、そしてイスラエルでワクチン接種が広がっており、それに伴い、経済活動の制限緩和も広がりつつあります。
ワクチン開発を国防問題と捉えて、予算と人材、それに規制緩和を惜しみなくつぎ込んだ国からワクチンを打つのは当然ではありますが、我が国の対応の遅れは目を覆うばかりであります。そして、これはまだまだ来年以降も同じ傾向になるようです。
というのは、米国での主要ワクチン製造を担ったファイザーのCEOによると、このワクチンは2回だけでなく、時間が経てば3回目の接種が必要になること、そして、インフルエンザのワクチンのように、毎年打ち続けることが必要になるそうです。
理由は2つで、ワクチンの効き目に時間の限りがあることと、変異株に対する対応で、ワクチンも常に新しく改善していく必要があること。
そうなると、ますますワクチンを自国で製造できる国と、そうでない国との格差がついていくことになります。製薬分野では世界有数の薬品立国の日本でも、儲からないワクチン製造分野は、ほぼ塩野義製薬1社しか残っていないとのこと。ワクチン製造が「国防問題」との意識が薄いから、こういうことが起こるのだそうで、常に臨戦態勢を維持している国々との差が明確です。
コロナウイルスは、歴史上でも、最も厄介な部類に入るもの。弱毒性であるために、感染ピークに至る時間が長く、人間の我慢の耐久時間を超えながら、自らの変異によって、その感染拡大を止めることがありません。20世紀初めのスペイン風邪とは異なり、5年~10年くらいかけて、人類との知恵較べ、我慢較べを仕掛けている可能性があります。このままだと、我が国は、その闘いで真っ先に敗北してしまう国の一つになってしまう、そんな気がしてやみません。