さて、YOASOBI「夜に駆ける」、King Gnu 「飛行艇」に続いて、今度は、Official 髭男 dism 「Pretender」です。
YOASOBIの時にも申し上げましたが、この曲も、軽快なリズム感と独特の変調技巧が目立ちますが、本質的な魅力は「どうにもならない、切ない心情を謳った歌詞」と、それを聴いた者のハートに、しっかりと刻みつける「韻の踏み方」にあると思います。
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない 辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで痛いや いやでも 甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何? 答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
YOASOBI「夜を駆ける」の歌詞も同じでしたが、どうして、男子の切ない恋歌というのは、このように「どうやっても届かない10代20代の頃の心情」を謳ったものばかりなんでしょうかね。リアルな恋愛というより、妄想に近い風景描写が特長です。
その点、女子の切ない恋歌は違います。もっと、年齢を重ねてから、過去を振り返りながら、切々と謳うものが、聴いた者のハートを打つことが多い。リアルな手触り感があるからこそ、切ない気持ちが溢れてくるのです。次回は、その代表例をお話いたします。