金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【将棋】 竜王戦第1局を振り返って‥

2020-10-13 06:43:44 | 将棋

 本日は、10月9日(金)10日(土)に行われた竜王戦第1局を振り返って、感想を申し上げたいと思います。

 先手の羽生永世七冠は矢倉を選択。豊島竜王の得意な横歩取りの形を避けて、序盤から大局観が問われる戦法に引き込みました。序盤研究にも定評がある豊島竜王が、その形を苦にする訳ではありませんが、竜王から急戦を仕掛けられにくい戦型を選び、出来れば自分から仕掛けることを目論んだのでしょう。

 しかし、豊島竜王は、それでも自分から仕掛けることを選択、序盤から☖6五桂と急戦模様となる。これを受け、羽生永世七冠も開戦モードとなりました。

 興味深かったのは、序盤の研究を幅広く手掛けている豊島竜王が、その研究成果をなぞるように手を進めるのに対して、羽生永世七冠は、自らの直観力を信じて、手を選択しているように見えたこと。そういえば、羽生さんは20代から30代半ばまでは、徹底した「読みの正確さ」を追求するスタイルだったのが、40歳に差し掛かる頃からは、むしろ「直観力」を大事にするスタイルに替わり、以来、早指し戦の強さが目立つようになりました。

 第1局は、豊島竜王が研究成果を活かしての快勝という結果でしたが、今回感じたのは、羽生永世七冠が未知の世界へ豊島竜王を引き込んで、未開の世界を共に開拓しようという強い意志を示したこと。単なる勝ち負けだけでなく、将棋界を牽引する覚悟を試したように感じたこと。

 羽生さんの、この挑発に対して、豊島竜王が第2局以降、どのように反応していくのかを楽しみにしたいと思います。ちなみに、豊島竜王は、将棋界の中でも仲間の少ないオタクタイプ(研究仲間よりもAIと向き合い続けるタイプ)ですから、こうした「問いかけ」に対して、どう反応したら良いのか、迷っているのではないかと思います。孤高の天才棋士、豊島竜王が第2局以降、どう反応するか、楽しみで仕方がありません。


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