昨夜の竜王戦挑決第3局は、激戦の末、豊島名人が木村九段を下しました。
豊島名人は10月から始まる竜王戦七番勝負に臨むことになりますが、この闘いで見事竜王位を獲得できれば、将棋界の二大タイトルを独占するだけでなく、王位と併せて三冠となりますので、晴れて「天下統一」「豊島時代の到来」を宣言できると思います。(なお三冠は、今の王位戦の防衛が前提となります)
しかし、挑戦を受ける広瀬竜王も易々と負けるとは思えません。今回のような最強の挑戦者を受ける立場からすると、「籠城作戦」を選択することが予想されます。将棋における籠城作戦とは、日頃の研究成果を当該タイトル戦に集中して出していくこと。かつて竜王位を9連覇していた頃の渡辺三冠は明らかにこのパターンでした。竜王戦では無類の強さを誇りますが、他の棋戦では結構ポロポロ取りこぼす。広瀬竜王も、直近の他の棋戦ではあまり成績が奮いませんので、恐らくは竜王戦七番勝負に「エネルギーを溜めている」ものと思われます。
一方で、どの棋戦でも関係なく、その時のベストの手法・作戦を採用していたのが羽生永世七冠。天下を取る棋士は、場所や相手を選ばず、常に最高の棋譜を残すことに注力するものです。豊島名人も、自分の時代を創り上げるつもりであるならば、羽生さん同様のスタンスを貫いていって欲しいと思います。