鉄鍋ぎょうざとお酒のお店 杏っ子 店主徒然日記

梅雨の合間 鴨川散策
子連れの鴨が のんびり泳いでます

ある詩人の死

2006-09-14 02:44:07 | 杏っ子
「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ 

                         茨木のり子詩集より



自分自身に 愛想を尽かしそうになるときがあります。
自らの二本足で立っているつもりが とても不確かに思えるときがあります。
この1篇の詩に 時に叱られ  ある時は 背中を押されて 20数年になります。
今年2月 詩人は独り 静かに旅立ちました。
常に 凛として 毅然と生きた79年の生涯。

深夜 仕事を終えた帰り道 高くなった月を仰いで ふと口をついて出る
「自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ・・・」 


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