こんばんは
学会から帰ってきて数日経ちますが、実はちょっと風邪をひいたかもと思っているところです。う〜ん、鼻水が出て、体がだるい・・・。
しかし、明日から車中泊で2泊3日(土日、釣り予定)の釣り旅行予定・・・。なんとか体調を整えないと・・・と思っているところです。
あとで、ビタミン剤でも飲んでおこう・・・。ビタミン剤と風邪の関係はどこかに論文があるかもしれませんが、調べたことはないので効果があるかは不明です。ただ、体のバランスを整える意味では重要だと思いますので。
同じように・・・というと「風邪に対するビタミン剤」に申し訳ないのですが、患者さんに対して何かを行い、「これが良いのではないか?」と言われているものがあります。例えば・・・民間で行われているがん免疫療法とかでしょうか。多分、一部の人に効くことはあると思います。ただ、多くの場合は効果は乏しいと思います。効く可能性が高いのであれば、保険が通った普通の「医療」になるのに、個別報告(ケースレポート)しかできない程度のエビデンスということです。
そこにつながるのかな〜と思ったので、この記事を紹介します。
「ビフォー・アフター」原則禁止に=美容医療トラブルで広告規制―厚労省方針
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171025-00000066-jij-soci
10/25(水) 15:55配信
「プチ整形」や「脂肪吸引」といった美容医療サービスの誇大広告などをきっかけに消費者トラブルが相次ぐ事態を受け、厚生労働省は25日、医療機関の広告規制を見直し、「ビフォー・アフター」として効果をうたった術前術後の写真掲載を原則禁止する方針を固めた。
学会などが掲載する写真は、消費者への誘引性がないとして規制の対象外とする。省令に新たな広告禁止事項として定め、来年6月までに適用したい考え。
医療法は虚偽・誇大広告を禁じているが、術前術後の写真は加工や修正が施されていても、立証や見分けが難しい。写真を見て美容外科を受診し、トラブルになるケースが後を絶たないため、内閣府の消費者委員会が広告規制の見直しを求め、厚労省が有識者検討会で議論してきた。
美容整形にしても、がん免疫療法(民間)にしても困った方が「これはうまくいくかもしれない」と藁にもすがる思いで治療を受け、思ったような効果が上がらないということはよくあるだろうと思います。
過去に僕も何名かの患者さんから「こういう民間療法は効果があるのか?」と資料などを持ってきて相談を受けたことがあります。
基本的にそのような話を持ってこられる患者さんは「標準治療」「救援化学療法」など医学的に根拠のある治療の効果が乏しく、内服抗癌剤などで緩和ケアをおこなっている患者さんたちになります。完治させる治療を提示できないので、完全に否定はしませんが、医師としては「可能性が低い」ことは説明します。
「ほとんどの人に有効であるならば、一般的な医療として多くの人に提供されています。それができないのは、実際は根拠に乏しいからです。奇跡のような話というのは、医師も経験します。それがたまたまある患者さんに起こったからといって、全ての患者さんに当てはまるとは考えていません。奇跡が起きた患者さんになぜ奇跡が起きたのかを調べて、今後の患者さんの利益につなげようとは思います。しかし、誰にでも同じことをすれば良いというのは医療(サイエンスという意味です)ではないです」
概ねこんな内容をお伝えします。
実際に急性骨髄性白血病の緩和ケアで内服抗癌剤+αで「完全寛解」になり、かなりの延命ができた患者さんもいます。他にも標準治療は効かなかったのに、おもわぬ治療が効いたり(全て緩和ケアです)、医師の推定よりはるかに長く元気だった患者さんは大勢います(患者さんや家族には「奇跡みたいな話で、何が良かったかはわかりませんが、有効である以上治療を継続して、良い状態を保ちましょう」といって、治療を継続していました)。
うまくいった理由を様々な面から検証し、他の患者さんにも反映させるのが科学であり、医療だと思います。
美容整形の話からがん免疫療法(民間)に話を変えておりますが、どのような患者さんに「その治療」が有効であるということを示すことができなければ、それを他の患者さんに当てはめてはいけないということだと思います。
保険で認められておらず、臨床研究にもなっていないような治療はそういうものが多いという印象を受けます。しかも、それで金を儲けるというのは如何なものかと・・・。
この記事を見たときに民間のがん免疫療法のことを思い出したので、記事にしました。
できることならば、本当に苦しんで救いを求めている患者さんたちが「良さそうに見える話」に引き寄せられ、不利益を受けられることがないようにと願うばかりです。
本当は緩和ケアを受けている患者さんたちの話を、ゆっくり聴いてより良い緩和ケアに導いていくことができれば(途中で、これ以上の治療はないような感じで、医師が投げ出すことがなければ。きちんと最後まで医療を継続しているのならば)、このような民間療法を受けにいく人もいなくなるのかもしれません。
そう思っています。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。