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新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

休めるチャンスがあれば寝るだけ:そういう気持ちは分かってもらえますでしょうか?

2010-10-30 13:08:40 | 医療

先程、家の近くのうどん屋に食事に行きました。

 

このうどん屋はおいしいので、それは客はいっぱいいるのですけど、どうも医者が多いような気がする。近くで在宅緩和ケアをやっている先生もいたし、僕が来た後、隣に小児科の同級生が来ました。

彼は僕を見つけるや否や隣に座り、愚痴をはじめ・・・

 「もう、無理だ。当直が毎週末あって、月に5回当直の日は徹夜だし、体がもたないもうやめる。小児科もやめるし、勤務医どころか臨床やめる

と言っていました。

 

まぁ、過労状態が続けばそう思いますよね

 

僕も過労状態だと思われますが、できるものならば淡々とこなしていきたいですね。

 

マルクス・アウレーリウスはローマ皇帝という職にありながら、わずかな時間で内省を続けていましたが、彼のようになりたいものだと思います

 

さて、この過労の問題は大きいですよね。

 

今日話をしていた友人も言っていましたが、結局当直をしても夜は寝ることができず、そのまま翌朝仕事をする。休めるチャンスがあれば寝るだけなので、結局何もしないまま人生が進んでいく

 

こういった医者の気持ちは伝わらないでしょうか・・・。

 

そんなことを背景にこちらの記事を紹介します

 

月230時間の時間外労働で自殺…労災と認める

読売新聞 10月29日(金)21時17分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101029-00000918-yom-soci  

月に約230時間の時間外労働によってうつ病となり、自殺したとして、群馬県桐生市の介護サービス会社「メディスコーポレーション」の元部長(当時43歳)の遺族が、同社などを相手に損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(西口元裁判長)は29日、自殺を労災と認め、同社に約6600万円の支払いを命じた。  

判決によると、元部長は2003年10月に財務経理部長に就任。04年の事業規模拡大で仕事量が大幅に増え、1か月の時間外労働は最大で約230時間に達した。その後、元部長は肉体的、心理的負担から、うつ病を発症し、04年8月に自殺した。  

同社は「弁護士と協議し、今後の対応を検討したい」としている。

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医療もできることが大きく拡大し、仕事量が大幅に増加しています

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

やれることだけでなくて、昔とは全く異なる状況、説明時間も非常に多く必要とします。

 

それでも医師を増やさなくて良いというのは、現場を知らない人と、恐らく日本医師会で開業医を長いこと続けている「できることも大きく変わらない」人だけでしょう。

 

 

他には医者は増やしたいけど、すぐには増えないから…という考えだと思います。

 

医者を増やさない…ということはつまり受診を制限するようなことが必要になってきます。

 

それに伴う問題も大きく発生するでしょう。

 

国民がそれをどう考えるか・・・が問題だと思います。

 

では、また。

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受け入れの限界:それは多くの人に知ってほしい

2010-10-30 12:02:48 | 医療

さて、続けます

 

そもそも人間関係において「一方の話」だけ聞けば、必ずそちらの「色眼鏡」で物事を見てしまいます。 喧嘩している人の仲裁に入るとしたら、両方の話を聞くと思いますが・・・なんでもそうですよね。

それは普通です。

 

そんなことをこの記事を読みながら感じました。

 

閑想閑話:「マスコミは病院側を取材せず記事にしたんです」… /島根

毎日新聞 10月29日(金)15時4分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101029-00000187-mailo-l32  

マスコミは病院側を取材せず記事にしたんです」--。医師不足に悩む大田市の「地域医療シンポ」で、千葉県のNPO法人「地域医療を育てる会」の藤本晴枝理事長は報道陣にとって衝撃的な内容を語った

▼07年に同県東金市で救急搬送された心肺停止の男性が、14回受け入れを断られた後死亡したと一部マスコミが“スクープ”した。だが同会の取材では、打診先は当直医1人で他の患者を次々処置中か、処置できる人員の無い病院だったとのこと。藤本さんは「消防署に聞いた話を書くだけで、記者は医師不足の現実に触れようとしなかった」という

▼前に他県で医療ミス隠しを記事にした際、病院の主張と現状も極力取材した。心ある医療スタッフは協力してくれた。「医療現場をよくしよう」との思いで、綱紀粛正という結果を残せたと自負している。スクープ欲で一方的、安直な取材をしていれば、何の実もない記事ができただけだったろう。医療報道は何のためのものか、改めてかみしめている。【鈴木健太郎】

10月29日朝刊

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むかし、救急搬送された患者さん。吐き気が主訴でしたが、統合失調症もあったので「水中毒」の可能性を考えて検査をしたら、Naが11●でした。Naの補正をするために入院したら痙攣重責で、しょうがないので挿管して、CV入れて…というようなことを夜中にひとりでやっていました。

もういちど家族を呼んだら、「大量服薬」していて、その他の検査結果から「悪性症候群」であることがわかり、翌朝救急部に引き取ってもらってセンターICUに行ったという人もいました。初めてダントロレンをみたのはこの時でしたw

 

 

こんなレベルの患者さんを一人で引き受けたら、病棟で何かあったときに動きが止まります。

これは家族が救急隊にも伝えていなかったので、家族に問題があるわけですが・・・

 

よく救急車を引く後輩が「AML2人」+「ショック」患者を受けた日がありました。

 

そもそもショック患者を単科当直に受け入れ要請する救急隊もどこかずれていますが・・

 

まぁ受け入れる方も「おぃ」という状況ですけど。

 

この時はもう当直の後輩はショック患者で手いっぱい。

そこにAMLの受け入れ要請があって。病棟の余裕はともかく、この地域でAMLの治療ができるのはうちだけですから受けれざるを得ない。

 

だからこそ、

「受け入れていいよ。病棟はこっちで診るから。」

と言ったときに、後輩から

「先生、申し訳ありませんが、救急隊の受け入れからお願いできませんか?」

と言われ

「はぁ?何言ってんの。お前何しているの?」

と言ったところ、ショック患者の対応中でした。

 

これは救急部でないと駄目です。まぁ、救急部ならどうにかできたかと言えば無理でしたでしょうし、結局家族がこれ以上やらないと言ったのですけど。

 

その日、僕が研修医を全員呼び集め、振り分け、AMLの対応が終わった後に検査結果をみてUKカテーテルを入れて、緊急透析の体制を整え、腎臓内科のスタンバイも完了し、挿管の準備まで整えたところで

「家族が透析も挿管も必要ないということです。昇圧剤もこれ以上はいらないと」

 

・・・・

「先生、祝祭日にありがとうございました」

と、腎臓内科の先生にお礼を言い、その日は終了・・・。

 

単科当直が受け入れられるところには限界があります

 

これだって、単科当直に加えて・・たまたま救急(内科分野のみ)が得意な僕、研修医5名(内科●の)、腎臓内科などが集まって、救急部のような対応をしたわけですが、祝祭日ですからね・・・。

 

当直以外でも本当は限界があります。

 

例えばうちの血液内科、現在5名。スタッフは教授と講師だけ。僕ら3名はあくまで別管轄で動かされる医師です。

 

たぶん、すべての大学病院で「血液内科医」が一番少ない病院じゃないか…と思ったりしています。

 

昨日、後輩とそのような話をしていました。

「うちの診療科ってスタッフは5名ですよね」

「5名って内科●として?」

「はい。ありえないなと思って。」

「そだね。血液内科としてもスタッフ2人+俺ら3名だしね」

「他の大学ってどうですか?」

普通は前線に5,6名はいるだろう

と言って、各大学病院を調べると…やはり10名以上いるんですよね。

 

「うちって頑張ってますね~」

「頑張っているけど、綱渡りだよなぁ」

 

誰かが倒れたらそれで一気にきしみますからね。

 

病院長などがこの状況を理解してくれていて、何らかの対応をしてくれると助かるのですけど

 

まぁ・・・僕は・・・この状況でかく陶冶されていったのですが・・・・。

そんなことを考えていたら・・・後輩から

「ここだとドラ○エでいったら4人でパーティを組んで、旅に出るところを一人で旅しているようなもので、経験値は稼げますよね。大変ですけど」

と言われ、思わず大爆笑しました。

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なかのひと 

話がずれましたが、大学病院でも、うちだとこんな感じになっています。地方だったら当然受け入れられる状況であるかは・・・説明も要りません

 

自分が受ければその人が助かるならともかく、自分が受けてもその人は助からない(自分にはその技能がない、人手が足りない、など)上に、助かられる人も助けられなくなる。 そう考えたら断ります。

 

僕は先日も言ったように「受け入れられるのであれば、受ける方」です。それでも、無理なものは無理とはっきり断りますし、逆に「それは大学病院の血液内科などで受けると、本当にここでしか対応できない患者を受けられない」と思った時も受けません。

 

医者は自分が人の命にかかわっていることをよくわかっているので、「自分では無理。ここでは無理」なら「無理」と答えますし、受け入れなくてはと思えば受け入れます。

 

ただ、それが100%やれるほどの医者・看護師はいません。

 

それが日本の医療だと思います。

 

それでは、また。

 

P.S:今日は体調が悪いかな・・・やはり。

 

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時々思う・・・:本当に救急隊?本当に医者?

2010-10-30 11:10:37 | 医療

こんにちは

 

今日は後輩にすべてを託してきました。彼が当直というのもあるのですけど。

 

今週は木曜日に当直、明日も当直、来週の木曜日も当直と結構ハードな週なので今日はお休み体制です。

 

木曜日の夜中、救急車が来ました。救急隊も要領を得ない報告で、イライラっとしてきました。

 「7●歳 女性でめまいの患者さんの受け入れお願いします」

からはじまり、とりあえず

「大学に昔かかっていた。本人、家族が希望している」

ことばかり強調されるので

「わかったから、基本から戻りましょう。意識は・・・清明。他のVital・・・OK、めまいは回転性?嘔吐している?明らかな麻痺は?

話を聞いていて要領を得ないので、

「とりあえず、診ますのでこっち来てください」

と言いました。

 

本当に救急隊か?

 

流石に確認しなかったのですが、この時学生さんが同伴していたようなんですが、学生さんがしゃべっていたんじゃないだろうな・・・・?軽症のようだという判断で・・・。

 

到着してとりあえず救急の要領で「看護師さんと二人でお出迎え」「さりげなくVital Check」。OK

 

部屋に入ってベッドに移動と看護師さんがVitalの再検をしている間に、家族に話を聞いたら

 

「朝から同じ状況で・・・」

「何故、日中に受診しなかったのですか?」

「治るかなと思ったのですが、なかなか治らないので、頭かと不安になって」

 

 

・・・・脳梗塞だったら12時間以上経過しているし、脳出血だったら死んでるぞ…。たぶん、病歴上は頭位性めまいだけど・・・。

軽く診察。脳神経+協調運動などはOK。体を起こそうとすると、クルリクルリ。

 

「お話+診察だと『耳のめまい』のような感じがしますが、脳出血、特に小脳や脳幹はチェックしましょう。MRIは当大学病院は…申し訳ないですけど、夜間や救急時間帯は稼働していないので、明日以降受診してください」

 

といって、さらさらと診察と検査をして行きました。

 

結局何もなくて、耳だろうという形でメイロンなどを入れていたのですが、その過程で

「薬とかは今何を飲まれていますか?」

「~~~」

「それはどういう診断で?」

「いや、いつも薬をくれるだけなので」

「診察は?」

「してません。行ったら薬出してくれるだけです」

 

・・・・ 本当に医者か?

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なかのひと 

聞かなかったことにしよう・・・orz

 

以前、同じような話が「糖尿病」の分野であったと聞いているが・・・採血をずっとしないで薬だけ出していた開業医の先生の患者が救急車で運ばれてきたという・・・。 そんな人も「時々」いるだけだと思うが・・・。

 

あと、どこかで院長をしている卒業生が「派遣」を依頼したら、研修を受けたことのない医者が来て、前の人の処方箋をコピーすることしかしなかったとか・・・。

 

本当は全員がしっかりした研修を受けなくてはいけないのだけど、マッチングにあぶれる人もいるだろうしなぁ・・・。

 

そもそも僕が研修医の時に

お前の罪はあいつを卒業させ、国家試験に合格させたことだ

と言われたような医者もいたしなぁ・・・。

 

たまにはいるか・・・orz

 

 

さて、今日は風邪っぽいのですが、明日までに回復するだろうか?

また、今日の「Lymphoma symposium」に参加できるかしら。風邪+台風で・・・。

 

 

もう少し、記事を作ります

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