新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

待遇改善?:状況の改善はないよ、悪化はしても・・・

2009-04-15 23:56:53 | 医療

こんばんは

 

さて、当直明けで流石に疲れましたが、今日はそこそこ安定している病棟から、先程帰ってきました。

 

 

昨日の当直帯、よくある大荒れではなく安定していましたが、全く寝れず。

 

23時くらいまでは病棟業務などなどをやり、非常に体がだるかったので23時に寝ようと思いましたが、その30分後に救急隊から電話。

 

 

因みに第一声に腹が立った

 

「お疲れ様です。特に問題はなさそうな患者さんなんですが・・・」

 

 

問題なさそうなら大学病院にかけてくるな・・・・

 

「○▽病院かかりつけでHOT導入している方です。呼吸困難で救急要請がありました。~~~」

「Vitalは?」

「はぃ」

「Vitalを教えてください」

意識は清明で・・Vitalは安定していて、SpO2 100%・・・」

 

 

ちょっと待てぃ Vitalが安定していて、その状況下で救急隊も問題ないと判断しているのを大学病院に最初に電話するのか?

何でもかんでも大学病院に電話していたら、患者受け入れるべき人が受けられなくなるだろうに。レベルが低すぎないか?

 

「え~と、Vitalも安定していて特に問題ないという状況でしたら、まず2次救急を探すべきではないでしょうか?こちらは白血病などを主体にしている患者さんで満床です。2次救急をまずあたってください

 

どういうトリアージをしているんだ?

 

まぁ、先日のように入院してすぐ挿管するような患者ばかり来られても困りますが・・・・。

 

 

その後、病棟から電話(当直室のカギは閉めないようにしているのに、何故当直携帯を鳴らすかな・・・・)があり、それに対応した後もアラーム音などでほとんど寝れず。

 

 

そのまま今日に突入し、患者の回診も終わって検査データなども確認したところ・・・。

 

「外来です。○▽救急から電話で、~さんが呼吸困難で」

「わかった。それはうちのかかりつけだし、僕が診るので」

 

 

救急車が来たところで対応。さらに別の患者さんも来て、それも対応。

 

「救急車大丈夫?」

「大丈夫です。入院は不要です」

 

 

現在、病床利用率150%の血液内科。他科からクレームは来るし、大変です。けど、血液領域は急変が多いし、患者さんに対して医者少ないし、病院もないから断れないのですよ・・・。

 

 

これらが終わったところで教授回診に合流したら、再び先日とは別のドナーさんが自己血取りに来て、さらにその後も患者さんが・・・。

 

そういうのが終わってご飯を食べたのが15時過ぎ。

 

 

まぁ、そんな生活がいつものように続いていました。

 

という、日常ですが「大変ですね」と言われて…来ていた学生に言った僕の一言

「大丈夫、忙しいけどそのうち楽しくなってくるから」

 

そういうのをハイになっているというのだ(笑

 

 

では、今日の記事に行きます。

こういった勤務医の待遇改善に関しての記事です。

 

僕の待遇?改善しているのかしら?まぁ、状況の改善はないですね。間違いなく(笑

 

 

勤務医の待遇改善、実感薄く 中医協が実態調査

4月15日22時21分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090415-00000621-san-pol  

 

病院勤務医の待遇改善を目指した平成20年度の診療報酬改定について、中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)が実施した検証調査で、改定前よりも業務負担が軽減されたり、給与が増えるなど「待遇が改善された」と回答した勤務医が1~2割程度にとどまっていることが15日、分かった。医師不足の状況が改善されない中、報酬増の恩恵を受ける勤務医は限定されており、診療報酬改定だけでは勤務医の待遇改善を実現することの難しさが浮き彫りとなった。  

 

20年度の診療報酬改定では、医療秘書を配置するなど勤務医の待遇改善に向け体制整備をしている医療機関に対し、診療報酬を加算して支払うことになっている。検証調査は昨年12月~今年2月、この加算報酬を取り入れた医療機関1151施設を対象に行われ、516施設から回答が得られた。管理職の勤務医2389人、一般の勤務医4227人にも現場の勤務状況を尋ねた。  

 

調査結果によると、加算報酬が得られたため勤務医の給与面の改善を図った医療機関が45%。内訳をみると(複数回答)、勤務医の当直などの手当を増やしたのが75・4%、基本給を増やしたのは36・2%に上ったが、勤務医側に給与面の改善状況を尋ねると、手当について「増えた」と答えたのは7・6%にとどまり、86・6%が「変わらない」と回答した。基本給も「増えた」は12%で、「変わらない」が79・5%だった。  

 

勤務医に給与増が実感されていない理由について、厚労省は「医療機関側が報酬増を、勤務医以外の職員にも全体に広く薄く配分したため」と分析。手当に関しては、実際にお産を取り扱った産科医だけに支給するなど対象者が限定されるケースが少なくないとしている。  

 

また、業務負担の軽減状況については、診療報酬改定前より当直回数が減るなど「改善」と回答した勤務医(管理職)は16・8%どまり。「変わらない」は41・3%で、逆に「悪化」は40・8%にも上った。業務負担が改善されない理由に関しては、高齢化に伴う患者増、研修医を含む医師数の減少、事務作業の増加などの回答が寄せられた。  

 

ただ、診療科別にみると、「改善」と答えた割合が救急28%、産科25・6%、小児科22・4%となり、診療報酬改定で重点的に報酬を配分した診療科では一定の効果がみられた。

-------------------------------

僕は医療が楽しくてやっていますけど、待遇的にはあり得ないと言われそうですよねw

 

看護師さん方からは

「ありえない。先生、辞めたほうがいいよ」

と言われますが、仕方がありますまい。母校ですからw

 

それにこのシビアさが僕を急速に育ててくれていますしね。

 

しかし、看護師さん達が僕の状況を見てあり得ないというのは・・・僕がほぼ16~18時間/Dayで毎日働き・・・休んだことはなく、いろいろな制度によってがんじがらめに合い、ついでに病床削減の余波で病棟運営がシビアになり、サテライトに患者が増えるため患者を診るのが大変になる

 

まぁ、この状況の良いところを見れば「楽しい」+「経験が普通のところではできないほど豊富」

 

 

あぁ、話がずれてしまった。

 

勤務医の待遇改善。はっきり言えば勤務上の待遇改善を行うためには受け入れる患者さんを減らして、受け入れなくするしかないです。

 

それは医師の応召義務に反するかもしれませんが、そのくらいでしょうね。 かといって、それをやるのは「患者さん」すなわち国民の利益になるわけではない。だからやりたくはない。

 

 

しかし、国はそうやってTriageをかけなかったら「限りある医療資源」を使えないような状況にしてしまっているのだ

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと 

実際、だんだんあり得ないような方向に医療が進んでいるような気がします。日本でも「安全」に患者を診る…というのは不可能になって、患者さんを診るためには若干無理でも、外来に回すしかない…という状況になっているような気がします。

 

というか、なっています。まるでアメリカのようです。

 

 

いろいろな意味で医療崩壊が近づいてきています。国が医療を手薄にしたために安全に診療することも不可能になりつつあるというのがびっくりです。

 

そんな状況にあるということを一般の国民は知らないのだ・・・。

 

勤務待遇の改善の話から、そういう現状が医療崩壊を加速し、安全に患者を診ることすらできなくなっている日本の医療の話にとんでしまいました

 

気がついたら日をまたぎそうなので、このあたりで・・・

 

では、また。

 

P.S 当直明けなのによく体が持つなぁ・・・・。流石・・・というかなんというか(苦笑

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする