黄紙に注意! 鳶ブログ

サッカーに魅せられて全国行脚。
奥山監督率いるアルビレックス新潟レディースを応援しています。

女子サッカーの光と影① なでしこ祭とその裏で

2010-08-26 06:56:13 | アルビレディース

1週間前に来たというのにまた来てしまった西が丘。大好きな競技場だ。




西が丘サッカー場のある東京都は日テレ・ベレーザの本拠地。
当然、リーグ戦の告知ポスターは貼られている。さすがは名門。
毎年、オールスター戦や全女等のカップ戦の決勝が東京都で開催されるのも東京都が一番女子サッカーに理解があるだろう。
日テレ・ベレーザの果たしてきた役割がこうして実っていると思って良い。

まあ、地理的にさいたま市に近いので、観客数的には浦和の本拠地みたいなものなのだが。



オールスター戦とプレナスなでしこリーグカップの決勝戦を伝えるTVクルーと機材。
年に数回しかない世間に女子サッカーをアピールする機会である。



なでしこオールスター戦は女子サッカー界の真夏の祭典としてここ東京都北区では認知されてきた。
心なしが訪れる人々もウキウキしている様子だ。

が、こんなめでたいイベントの裏で、大きなうねりの中に巻き込まれている女子サッカー界の現実がある。

例年、オールスター戦の前になでしこリーグの各チームのサポーターが集まってサポーターミーティングを開催している。
意外と知られていないのだが、そんなことをして、Jクラブ・企業チーム・街クラブといった出自が違うチーム同士の集団であるなでしこリーグでトラブルなくサポーターが活動する為の知恵を働かせている。
アルビなど新規組はなかなかリーグの流れを理解できない状況の中で伝統ある日テレ・ベレーザや浦和レッズなどサポーターの方々にリードし調整してもらっているのが実態だ。

試合終了後の両チームのコールの掛け方などは以前に開かれた全体ミーティングで決まったものだが、要はプロサッカーチーム以上にチーム形態が違うのでコミニュケーションを図ることが一番大事なことなのだ。


今年は『日テレ・ベレーザ(=東京ヴェルディ)の存続問題』というある意味女子サッカー界にとって最大級の危機の認識ができた集まりになった。
東京ヴェルディについては、東京ヴェルディという会社も、Jリーグも、サポーターも、経営的に非常に厳しい中で来季生き残れるかのギリギリのところで活動している。
そして下部組織である日テレ・ベレーザや日テレ・メニーナについても無関係ではなく、現実問題として、東京ヴェルディが資金的に手当てできない場合は存続できなくなる。
そこで日テレ・ベレーザのサポーターは存続活動しているのだが、Jリーグでは横浜フリューゲルス、旧L・リーグでは田崎真珠をはじめ数々のチームがそうであったように、サポーターの活動がクラブの存続に結びつくのは非常に難しい。
が、そうは言ってもクラブやチームの価値観を具体的に示さなければならないので、積極的に署名活動などを行なっているわけである。何もしないと即アウトになってしまうから。

東京ヴェルディ存続を求める署名

サポーターもHPやブログなどを通じて存続の危機、そして来季以降の存続を訴えている。


このまま何もしなければ、今年ももって日テレ・ベレーザも日テレ・メニーナも消滅してしまう。それは回避したいと頑張っているわけである。

この話は国体が終了したアルビレックス新潟や、今年国体が終了するジェフ千葉にとっても他人事ではない。明日は我が身である。
日本で一番有名が女子サッカーチームが消滅することになると、なでしこリーグ全体に及ぼすマイナスの影響も計り知れない。
まさか東京電力と浦和レッズの2チームでリーグ戦を続けていくなんてことは理論的には可能であっても、現実的には不可能で、その場合には複数の大学のサッカー部が参加して、それに資金力の無い市民クラブが少数参加してリーグを細々と続けていくのだろうか。
まさに暗黒時代が到来することになる。

日テレ・ベレーザが消滅すると当然日本女子代表の活動に支障を期すのだけど、そんなこと以上に東京都になでしこリーグのチームがなくなることが大問題だ。
せっかく女子サッカーが盛んになっているのに、競技人口最大の首都東京都に受け皿がなくなってしまう。


では、他チームのサポーターが何をできるかと言われれば、できることは限られる。それこそ署名活動に協力することぐらいだろう。

ただ、日テレ・ベレーザのサポーターの今の気持ちを理解しようとする努力はできる。
そして、各クラブのサポーターが自分達のクラブがそういう事態にならないような方策を考えることはできる。
女子サッカーにおいては、やはり、経営的に自立できる手段の構築なのだろうが(現実的になでしこリーグのチームで自立経営できているチームは一つもないわけで)、そのための第一歩としてやはり観客数というバロメーターは重要なのだと思う。
まずは女子サッカーという競技のトップリーグの存在を世間に知ってもらわないと、経営的な自立とかも絵に描いた餅になる。
各チームのサポーターが応援するチームのことを多くの人に知ってもらう、そんな実に地味な活動を日常的に続けることが大切なチームを存続される鍵なような気がする。

そういう意味では今回の「なでしこリーグオールスター戦」や「プレナスなでしこリーグカップ」は重要なアピールの場になるはずだ。


※オールスター戦をカップ戦と分けてもらいというのは、各チームのサポーターなら誰しもが思うことなのだろうが、大会名を見てわかるように今年もオールスター戦には大会スポンサーが付かなかった。
日程的な問題もあるにはあるが、カップ戦の決勝と抱き合わせでやらないと、資金的に開催できなかったことが容易に予想が付く。
リーグ関係者の苦心が分かるだけに、土俵際に追い詰められた女子サッカー界の現実を考えれば、開催できたことだけでもありがたいと思う。


楽しくておめでたい女子サッカーのお祭りを開催しているその場所で、長年リーグの先頭を走ってきたチームの来季存続活動をしている。
田崎真珠の時もとても嫌な感じがしたのだけど、今年はそういう現実がはっきりと形で見えているだけに、そのギャップが堪らない1日だった。

まあ、選手もサポーターも試合をしている時だけは本当に楽しいんだろうけどね。
それ以外の時は苦しいと予想できるだけに日テレ・ベレーザそして日テレ・メニーナはどんな形であれ、生き残ってほしい。とただそれだけを願うばかりだ。

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