Moments musicaux

ピアニスト・指揮者、内藤 晃の最新情報です。日々、楽興の時(Moments musicaux)を生きてます。

音楽のレシピを考える

2012年05月14日 | オピニオン


先日、生徒で母校の後輩のT君が、僕の言葉をコンサートのプログラムで引用してくれました。初めてレッスンに来てくれた際の直後のメールのやり取りにあった言葉だそうで、それをご紹介します。

レッスンでは、音楽を無意識に何となく感じるのではなく、作曲家の思考回路を意識してそこに寄り添うことの大切さを話しました。以下がその後のメールのやり取りです。


T君)「なんとなく無意識に」気づいてるような気もしましたが、ちゃんとそれを認識しなきゃだめですね~

Akira) 落ち着いた部分あってこその高揚で、当たり前の部分あってこその意外性で・・・
音楽でリアルタイムに聴き手の心を動かしていくマジシャン的な感覚を持てるといいよねと思います。(自分も途上だけど。。。)
そのために、作曲家が、作品にどういう仕掛けを凝らし、どういうふうに音楽を設計、プログラミングしてるか、ということを読み取る必要があると思います。
自分が引っかかったマジックのタネを分析したり、美味しかった料理のレシピを再現しようと試みたりするのに似てるかな
自分がおいしい曲だと思っていても、その味を出してるのがなんの調味料なのか分からないと、その旨みは出せないわけです!



伝えたいことは不変でも、それを伝えるためにどんな言葉や喩えを使ったかというのはいちいち覚えていなかったりするものです。何気なく発した言葉が、T君の中で大切なものとして残っていたことを、本当に嬉しく思いました。
T君のコンサートを聴かせてもらいましたが、半年前に聴いたときよりも音楽が深化し、聴いている人に語りかけるような趣が出てきて、心の結びつきを感じられたことが、何より嬉しいことでした。

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