家を出る頃は、まだ傘をさすほどの雨ではなかった。
ところが会場周辺に着く頃には、辺りには傘の花が咲き始めていた。
北西の風が吹いていたので、橋を渡ってアイランドシティに入った。
びっしりと、場所取りのシートが敷かれた海沿いを歩きながら適当な場所を探した。
少しばかりのスペースに三脚を据え、カメラの調整を済ませた頃合いを見計らかったように雨脚が強くなった。
この頃には、風向きも変わり南東方向からの最悪の風に変わり、まともに雨を受ける形になった。
雨雲レーダーでは、花火大会が始まる7時半過ぎには、少し弱まる模様だったが雨は結構強まってきた。
カメラを2台セットしていたので、ビニール袋を被せて花火が打ちあがるのを待った。
そして、雨にせかされるように式典が足早に終わり、いよいよ花火が打ちあがった。
雨が直接化を打ち、おまけに煙と花火のカスが飛んでくる。
カメラにも容赦なく雨が襲う。
「ホラ!!やめとけと言ったのに」ブツブツとカメラが言う。
聞こえないふりをしながら、スポーツタオルをカメラに被せて
レンズの水滴を拭きながらご機嫌がこれ以上悪くならないように、祈りながらレリーズを押し続けた。