階段を降りたところに菜の花が咲いていたので、季節感を出すために花の手前で潜んでいた。
代宮司が両脇を抱えられながら階段を下りてくる。
時折苦痛に顔をゆがめる。
ファインダーを覗きながら菜の花から顔を出すと、パラパラと泥つぶてが飛んでくる。
代宮司を狙っているのか周りで見守る人やカメラマンを狙っているのかは不明だが
しかし、明らかにカメラマンは狙われている。
泥つぶてが容赦なくレインコートの上から体を叩く、水分を含んだ粘土は思ったより痛い。
野球ボールぐらいの泥の塊を背中に投げつけられ、代宮司は大きく後ろにのけ反る。
ウェットティッシュでカメラの泥を取り除きながら、それでも泥つぶてを避けながら代宮司を追う。
子供たちと目線を合わせないようにしながら。