おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
2016年の大晦日を迎えました。今年も、読者の皆様に励まされながら1年を終えることになります。
近頃は、読書ブログになりつつありますが、たくさんの本と、その内容を共感できる方々には感謝をしたいと思います。
さきほど、読書記録を開いたら、今年は158冊の本に恵まれました。
今年の特長は、社会学者の宮台真司さんの本に惚れ込み、宮台さんの師である小室直樹博士の本を読みまくったのが2016年でした。
今年最後に読んだ本は、「小室直樹の学問と思想」(橋爪大三郎、副島隆彦著)です。
この2人の著者は、小室博士の門下生で、その学問の思想を詳しく書き現しています。
第一章 ソ連崩壊はこうして予言された
第二章 学問ひと筋
第三章 小室学
この本は、三章仕立てとなっています。第一章で、ソ連が崩壊する理由をさまざまな面から検討し発表したら、そのとおりになったことを示します。
第二章は、小室直樹が取り組んできた学問を、深堀して学問そのものの変化とともに詳しく解説する内容です。
第三章は、取り組んできた学問をどのように小室直樹が活かし、小室学を体系付けたかが描かれています。
第二章が、大変気に入りました。
数学、物理学、経済学、人類学、法社会学、政治学、統計学、宗教研究と、多数に及ぶ学問分野それぞれの根底に流れる学問思想がわかる内容となっています。
特に、経済学のところが素晴らしい。
おとといの日経朝刊に、日銀の黒田総裁が取り組む金融政策の記事がトップ記事として掲載されていました。
金融政策は、経済学を実際に社会で活用するものです。第二章では、マルクス主義経済学から資本主義を解明する目的の理論経済学に変化したいきさつや、経済学の知見が活きなくなる時代変化にどう対応したかなどのことが、詳しく述べられています。
現実の社会は、この数年で用いられてきた量的緩和という金融緩和が、今年は従来の金利政策へと戻りました。
マイナス金利というかつて経験したことのない領域に入り、量的緩和というものがいったいどういう結果を産んだのかを近々総括しつつ、経済学の変化として後世に受け継がなければならない時を迎えたと私は感じます。
「いま」を生きる私たちは、その変化の渦中にいると、なかなか変化の本質がわからないものですが、マルクス主義経済学から理論経済学への移り変わりを経験したウォール街大暴落(1929)の様子に接したことは、「変化」の過程と思想の変化モデルを知ることができたと思うところです。
さて、さきほど宅配便で、宮台真司さんの新刊「正義から享楽へ」が届きました。12月28日の発売早々に売り切れ続出となっている人気作で、初版第1刷を手にしたのですが、これを読むのはお正月の仕事が終わってからになりそうです。
みなさん、良いお年をお迎え下さい。
来年も素晴らしい一年を過ごしましょう。
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