会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ

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【会津野】2011年 只見川水害の訴訟

2018年03月26日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

東日本大震災の起きた2011年。同じ年の夏、福島新潟豪雨という災害がありました。奥会津の只見川が氾濫し、JR只見線や流域の住宅が水に浸かるなどの大きな被害がありました。

只見川には、発電用ダムが多く立地し、ダムを管理する電力会社は放水を実施、その下流域が水に浸かってしまい、ダムの適正管理を争点とした訴訟が起きています。

本日、その判決が福島地裁会津若松支部で出されるということでしたので、傍聴に行ってきました。

傍聴席は21席用意されていましたが、関心が高い裁判だからか、あらかじめ示された抽選時刻の午後0時50分には、55名の傍聴希望者がいました。

はじめて傍聴券の抽選を経験しましたが、見事に当選!

すぐに法廷に入り、判決を待ちます。

報道機関に許可された写真撮影を経て、裁判官が主文を読み上げます。

判決は棄却。訴訟費用は原告の負担との判決でした。

事前報道によると、浸水被害とダム管理においてたまった土砂との因果関係を裁判所が判断するのは全国で初めてとのこと。

一審では、棄却されたことにより、因果関係はないとの判断が出たことになります。

傍聴の抽選に漏れ、外で待機していた流域の住民だと思われる方々は、一様に険しい顔つき。

浸水被害で土地や家屋などの財産を失い、避難生活を強いられたことに対する怒りです。

もともと川の近くは、暮らしに必要な水を得られる便利な場所で、人々にとって価値がある場所です。水という価値を利用した発電ダムが溢れ、川の近くから結果的に追い出され、その補償もない。

この世の中、なにか間違っているのではないだろうか。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】「福島県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」公布

2018年03月25日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

ずっと追っかけていた「民泊」。この3月23日に、「福島県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」および「福島県住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例施行規則」が公布され、福島県における民泊の規制が制定されるに至りました。

福島県発表の文書一覧は、https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32031a/minpaku-01.html にまとめられています。

具体的にその内容を見てみましょう。

まず、民泊は、国の法律として、「住宅宿泊事業法」として昨年(2017)6月に公布され、本年(2018)6月15日に施行されることとなりました。

この法では、年間180日以内に営業を限る規制が設けられ、地域の事情に応じ、さらに規制を強化できるようになっています。

福島県では、条令を制定し、学校等から100m以内においては、土曜、休日、学校の長期休暇中に限り、民泊営業が出来ることとし、実質的に年間110日程度の営業が出来るようになりました。学校等から100mを超える地域は、法の規制による年間180日までの営業が出来ることになっています。

福島県が昨年12月に発表していた規制の骨子案では、学校・児童福祉施設・生涯学習施設を「学校等」としていましたが、条例では生涯学習施設が外され、学校と自動福祉施設から100m以内で規制することになりました。

生涯学習施設とは、公民館や図書館、スポーツ施設などが含まれていたので、かなり適用範囲が広いと思っておりましたが、これらの施設はもともと不特定多数の人々が出入りするところなので、民泊の規制からは外したと、パブリックコメントに対する県の考えにあります。

また、学校の長期休暇の期間を含んだ営業出来る日も明文化されています。

1.土曜日

2.日曜日

3.祝日

4.1月1日から7日、3月24日から4月5日、7月21日から8月24日、12月24日から31日

となっています。

住宅宿泊事業法に届け出た施設に求められる報告事項の定義として、宿泊日数のカウントは4月1日正午を基準とした1年間で行うこととされています。

さらに、土曜日とは土曜日正午から日曜日正午までのことと定義され、同じように、日曜日は日曜日正午から月曜日正午までと定義されています。

日曜日の営業でお泊りになったお客さんが、翌月曜日の学校登校時刻以降の午前中は規制されないという、ちょっと不思議な規制となっている点もあります。

気になる点として、「近隣住民への説明」があります。

国のガイドラインでは、届出前に説明を行う事が望ましいとされていて、今後、県の施行要領等で具体的な留意事項を示すとしているにもかかわらず、もうすでに届出が開始されているというところです。

民泊事業を実施したいと思う事業者は、具体的に何を近隣に説明する必要があるのか?

近隣住民は、どんな人が泊まりに来るのかを知りたいのでしょうが、それは実際にお泊りに来るまでわからないことです。

間取りや場所を説明したところで、あまり意味がないと思うからです。

この「施行要領等」というのを、今後注意してウォッチしていこうと思います。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】古本屋開業入門

2018年03月21日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

古本屋稼業をはじめて約2か月。まだまだこれからなのですが、初心に帰り古本屋のノウハウを記した本を読んでみました。

「古本屋開業入門」(喜多村拓著)です。

いままで古本屋に関する本を10冊程度読んできましたが、この本が一番実践的な本だと感じます。

店舗としての古本屋、通販を行う古本屋、古本屋どうしの関係など、より実際のことを学べます。

ところで、古本屋の本質っていったいなんだろうか?

新刊本の評価は、どのくらいの読者が買ったかを指標として、発行部数によりベストセラーかどうかが判断される。

映画化や、流行りなどで発行部数が大きく変わり、内容の他に販売戦略も左右する。

それに対し古本は、新たに印刷するものでもなく、プロモーションするものでもないから、読者が自発的に読みたいと思う本や、内容に価値があり手もとに置いておきたい本が求められる。流行りで売れた本は、大量に古本屋に持ち込まれるから、そういう本はいつまでも古本屋で売れ残る。

そうです。古本屋で売れるような時代の荒波に残り続けた本だけが、良い本だと言える。本質的な価値を判断できる最前線にいる者は、古本屋なのだ。

そういう本を扱う古本屋は、流行りで売れたのか、そうではないのかを見分ける能力が求められる。だから、新刊のベストセラー数十年分の知識なども必要とする。

この本には、そういうノウハウが惜しげもなく書かれています。

この本は、たぶん数千部の印刷だろうと思う。しかし、出版から10年以上経つにもかかわらず、古本市場ではあまり安くなっていない。

いまこの時点でこういう本に出会ったことがとても嬉しい。

宿屋の仕事も楽しいけれど、古本屋の仕事も楽しくてしょうがない。

たぶん、死ぬまで一生続けるんだろうな。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】書籍「逃げ馬を極めて億を稼ぐ」

2018年03月20日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

先日、仕入れた古本に「逃げ馬を極めて億を稼ぐ」(山崎エリカ著)というのがありました。

この本は、白夜書房の競馬王新書というシリーズで出版されたもの。

古本屋なのに、いままで見かけたことのない新書のシリーズでした。

ぱらぱらめくってみると、競走馬と陸上選手の比較をした文章が目に付きました。

ちょっと引用します。

★ ★ ★

(逃げ馬と先頭に飛び出す陸上選手を指して)

逃げるという行為は、ペース以上の消耗を強いられることが多くなるため、レースで勝利するためには、スピードとスタミナの総合力が後続勢たちのスピードとスタミナの総合力を明らかに上回っていなければならないのです。逃げと差しの力がほぼ互角なら、(先行馬の)有形無形の不利から差しが先着してしまうのが陸上競技であり競馬でもあります。

「逃げて勝つのは難しい。よって逃げて勝利するような馬はそのクラスでは明らかに能力上位。しかし、逃げ馬は必要以上に消耗を強いられるので大敗しやすい。馬券上は成績が汚くなるので逃げ馬は人気がない。その本来は能力が一枚上の馬が人気のなくなったところで必然の逃げ好走をする。」

(カッコ内はブログ筆者注)

★ ★ ★

競馬の話として賭ける立場からすれば、万馬券を勝ち取る戦略として読み取れば、常勝する馬よりも優れているということになる。

陸上選手は、賭けの対象ではないから、常勝を狙う戦略を取ることになろう。

この本は競馬ものなので、これで良いのですが、陸上選手と比較をするという視点が、とてもおもしろいと思った所存。

後に競馬新聞から逃げ馬で大敗した馬を探しだし、万馬券を事前に買う技術が説明されていますが、これはなかなか難しそう。

この本は古本屋商売の一商品にとどめておきましょう。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】僕らが旅に出る理由

2018年03月19日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

20世紀後半に旅に出た人々というのは、”旅先での出会い”を求めていたというのが大方の共通認識でありました。私も1990年代にたくさんの旅をして、将来の伴侶と巡りあった一人で、旅行消費とは、生きていくうえでの投資であったという捉え方もできるのかと思います。

世の中では、クリスマス消費というものもあって、若者たちは彼氏彼女とゴジャスな一夜を過ごし、将来の家庭形成へ向けた行動をとったのも20世紀の行動でありました。

21世紀になり、もう18年もの年月が流れました。この歳月の中で、「僕らがたびに出る理由」というのもだいぶ変わってきたなと感じます。

かつての「出会い」というものから、何かに変質している。

聴いていたラジオ番組で、社会学者の鈴木謙介氏はこんなことを言っていました。(2011年7月24日放送TBSラジオ「文化系Life」)

★ ★ ★

バーチャル・虚構のものというのが旅行の動機を作って、その旅っていうのは、旅先とはこういうイメージだっていうのを先行でつくる。

そこに行った人間が、メディアで見たのといっしょという形で、その観光地を消費していく。

ところが、その情報というものが、ネットだったりメディアだったりを通じて、たくさん勝手に生まれていく状況というのがあって、こうした言わば、上書き可能、書き換え可能、二次創作可能、ハッキング可能、なイメージというものが、たとえば日本という土地の何か記憶を作るよりしろになるのだとすれば、それはかつて戦前の天皇性が描いたような、キャラが、その動かないキャラ、(中略)1ミリたりとも動かない聖地の中にいるバーチャルな何かが、つまり、人々が信仰している何かが現実の土地を動かしていくという。

★ ★ ★

いわゆるパワースポット的な何かを指しているのだなと、私は聴き取りました。

さて、会津には、文化庁が日本遺産として指定した「会津三十三観音めぐり」というものがあります。

この「会津三十三観音めぐり」。もともとの発端は、17世紀の会津の殿様「保科正之」が、農閑期に会津の農民が西国三十三観音などをめぐる”娯楽”に出かける姿を見かけ、会津から富が流出することを危惧し、同様の"娯楽"を会津にも根付かせようとしたことが始まりです。

約5日の行程を歩いて周ると、会津の風習・文化を知ることができ、会津に嫁いだお嫁さんたちが、「歩いて会津を知る」というふうに変化していきました。

各観音堂の謂れや風景にちなんで詠われた和歌は、御詠歌として受け継がれ、文学を"娯楽"として消費したこともうかがえます。

この時代は、バーチャルな動機ではなく、娯楽という動機が先行していた。

日本遺産となったいま、社会は「1ミリ足りとも動かない観音堂という聖地の中にいるバーチャルな何か」を可視化、具現化する必要があるのではないだろうか。

バーチャルは、ネットやメディアなどを通じて広がって行くもので、人々の頭の中で二次創作されていく。ただ、何も無いところからは生まれず、何かのコンテンツを発祥として広がる。

そのコンテンツは、小説であったり、映画であったり、はたまた、ゲームであったりする。

会津三十三観音をゲームとして考えた場合、これは旅をするものだから「ロールプレイングゲーム」ということになろうか。アナログ的に言えば、人生ゲームのような「すごろく」ということになる。

会津三十三観音のボードゲームを考案して、各観音堂の謂れや風景が、ゲーマーの頭の中に浮かぶようにすれば、実際に聖地に足を運ぶ需要を作れないだろうか。

春の訪れの朝、こんなことを妄想している。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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