
おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。
今朝、JR只見線の平成23年豪雨不通区間を鉄路で復旧することを決定したことが、大きく新聞で報道されています。
この中身には、2つの事柄があります。
ひとつは、復旧のための工事費をどうするかということ。JRが工事費を81億円と試算し、そのうちの3分の1(27億円)をJRが、残りの3分の2(54億円)を福島県と沿線自治体で負担します。いままで、福島県はこのための基金を作りオカネを貯めてきました。それだけでは足りないものの、なんとか工面することを決断しました。
もうひとつは、復旧後に出る赤字額のことです。工事をして復旧することになる不通区間(会津川口〜只見)は、JR東日本のなかで2番目に赤字額が多く出る区間で、沿線人口も非常に少ない区間です。JR只見線全線を通してみても、やはり赤字額が多く出る区間です。
JR東日本は、上下分離方式というものを復旧の条件として提案し、沿線の自治体も、この案に同意しました。
上下分離方式とは、地面に属する部分(ここを下の部分という)である線路と駅の土地を自治体の所有とし、管理運営は自治体が行います。運行で発生する赤字額も自治体が補填するというものです。JRは、車輌と運転要員の所有(雇用)と管理(ここを上の部分という)を行います。列車運行ダイヤの決定や、キップ販売業務などをどうするのかは示されていませんが、上でも下でも無いこの部分が今後どのような分担となるのかは、注意深く見ていかないといけません。最悪の場合、復旧区間を運転する列車は、1日1本だけというようなことになりかねないですし、キップ販売業務を車輌の中だけに限定するということも出来ないことではないからです。
報道では、福島県の他に、不通区間である只見町、金山町の上下分離方式での年間負担額のほか、不通区間以外の市町村の年間負担額についても示されています。
かなり人口が少ない不通区間の両町だけでは、とても負担しきれないから支援すると見るか、それとも只見線全体を上下分離とすることを見据えているのか、そこも報道だけではわからない部分です。
ただ、沿線の人々の税金で只見線を支えるということは、はっきりと認識出来ます。沿線の納税者の1人として、カネを出すのだから意見も出さねばなりません。建設的な意見を出すにはどうしたら良いか。この命題を沿線住民のみなに投げかけられたというのが、今回の決定の本質であると私は理解しました。
線路については、列車を運行する以外の使い道はあまり想定できませんが、駅およびその付随施設については、沿線市町村のアイディアで活用することが出来そうです。
実際に駅の土地は、どのくらいの広さでどのような活用方法があるのだろうか。
例えば、始発地、会津若松駅の次の七日町駅はこんな感じでしょう。12月23日のエントリー【会津野】六斎市で7日に市が立った町と七日町の違いで、七日町という街の成り立ちに触れました。ここは、街道筋として宿文化が栄えたところで、商業としての市も立った街です。現在は、駅舎が会津地方17町村のアンテナショップ「駅cafe」として活用されています。ただ、駅の土地の多くの部分は、片側一面のとても広いプラットホームで、ホーム以外の利用は全くないと言ってもよいほどです。「旅の宿 七日町駅」や「七日町 オープンデッキマーケット」のような利用方法なんかどうだろうと思います。
只見線の各駅を歩きながら、これからいろいろと思考実験(最近、この言葉がお気に入りです!)をしてみようかなと、思っております。
今日も素晴らしい一日を過ごしましょう。
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