会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ

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【会津野】民泊法案の施行時期が明らかに

2017年08月30日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今年6月9日、民泊新法(住宅宿泊事業法)が参議院で可決成立しました。6月16日には公布され、公布から1年以内の施行とされています。

可決当初の報道では、来年1月頃に施行されるとのことでしたが、直近の報道では、観光庁が来年6月の施行を目指していると報じられています。

新法では、住宅を宿泊事業に供する制限を、年間180日としています。地方公共団体において条例を制定すれば、これを短縮できるようにもされています。

自治体によっては、民泊を禁止する動きもあります。年間0日に制限する条例制定がされるところもあろうかと思います。

さて、この営業日数ですが、どのようにカウントするのかは、まだ明らかになっていません。

さまざまな識者が意見を述べていますが、住宅で事業ができるという方の根本から考えると、住宅の概念を覆すことはできないので、住宅というキーワードを基本に考えざるを得ないでしょう。

住宅とは、人が暮らす空間のことで、暮らしもしない住宅を1年中貸し出すことは、暮らさない住宅となってしまうので、これは住宅とは言えません。年間180日以内ならば、年の半分以上は暮らしを営むこととなるので、住宅だと言えるわけです。

カウント方法にしても、貸し出した日は、住宅として暮らしを営むことは出来ませんので、これを営業日数とするのが最もしっくりとくる概念だと私は思います。

一般向けに在庫を提供した日をカウントすべきという意見もありますが、その場合は、結果的に予約の入らなかった日は、住宅として暮らしを営む存在となりますので、営業と住宅という概念がダブってしまう変な状態になります。なので、それはありえないのではないかと感じます。

空き家という生活実態のない建物を民泊として貸し出すこともできるようにはなりますが、この場合は最大で稼働させても50%が限度になりますので、不動産の利回りということで考えると、あまり有効な活用方法ではなくなります。

結果的に、不動産業界は、不動産としての新たな借り手がつくまでの短期間、民泊として運用をすることになるでしょう。ただ、家主不在型の不動産民泊は、新たな借り手に対応するために数日先までの予約しか受け付けないことになるでしょうから、ホームステイ型民泊にアドバンテージが生じることになる。

なので、居住している住宅の一部の部屋を貸し出すホームステイ型に、そのうち収斂していくのではないだろうか。

利回りを低くせざるを得ない物件を持つオーナーたちが、不動産物件を手放す動きが出るときが、その収斂の時だろう。

その時は、東京オリンピック2020より、早いかもしれませんね。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】書籍「インバウンドの罠」

2017年08月27日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「インバウンドの罠」(姫田小夏著)を読みました。

中国、上海で暮らすジャーナリストによる、中国人から見た視点で日本の観光を論じているものです。

2部構成となっていて、第1部では、爆買いなどの消費事情と、旅行へ出るためのインセンティブ、日本国内の中国系商人たちによるビジネス実態等々が記されています。なかなか明るみに出ない論点を解き明かす内容は、新しい発見もたくさんありました。

第2部は、日本国内の観光事業者のケーススタディとなっていて、全般的に商品としての「人」に光をあてたサービスが取り上げられています。

爆買いは「モノ」でしたが、「コト消費」を演出する「人」に焦点を移ってきていることが示唆され、中国人と「友達」になるような感覚で接することが良いとの方向性を感じました。

さて、先日お泊りになった中国(北京大学)の学生さんからFacebookで友達申請がありました。

中国ではFacebookが禁止されているとの報道があるので、承認するのを少し悩みましたが、まずはweb上からでも「友達」になって輪を広げていく行動が必要でしょうから、行動をとってみました。

3泊の滞在中に、学生さんの「人となり」を感じていたことが背景にあるものの、あらゆる方と積極的にコミュニケーションを取る姿勢を取りたいものです。

しかし、遠方からおいでになる方々との出会いは一期一会の要素が強いので、つい、夜中まで深いコミュニケーションを取る日々が続きます。

眠い眠い毎日と、自分にとって心地よいコミュニケーションのペースを探す戦いは、まだまだ続きそうです。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】書籍「PC遠隔操作事件」

2017年08月23日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「PC遠隔操作事件」(神保哲生著)を読みました。

ジャーナリストの神保氏が、事件の全貌を丹念な取材を元に記したものです。

秀逸なのは、事件発生の背景から裁判課程を通じ明らかになったことを述べた後、明らかにならなかったことについての考察が加わっていることです。

神保氏のまとめとして、私の追っかけている故小室直樹先生の言われた「近代裁判をして『検察を裁くための裁判』」という言葉に集約できる問題を提起したとされていました。

事件の犯人の父親は、会津で教育を受け福島大学で経済学を学んだ方。犯人は、父親の影響を強く受けていたことも記されています。

子どもを社会に送り出すまでの過程のうち、どこで間違いを起こしてしまったのか。

会津出身の小室直樹先生も、勉学を重ね、権力構造を丹念に研究された方です。

刑事事件捜査と判決を出す司法という権力と、戊辰の役後の統治や自由民権運動のときの福島事件で会津にて行使された権力との関係を考えずにはいられません。

ただ、例えば人工知能などのコンピュータを用いた新技術は、旧秩序との関係を考えると、どこかで衝突が起きることを孕んでいることも確かです。

カワウソが30年以上の時を隔てて対馬(国内)での生息が確認されました。カワウソは、公害などの環境破壊を原因として、日本では絶滅したとされていました。しかし原発事故という最悪の環境破壊を経たこのいま、生存が確認されたということは、まだ自然界での旧秩序が対馬には存在していたということの証左だと私は思います。

この旧秩序と、原発推進という環境破壊を同時に進めることには大きな疑問を感じざるを得ませんが、同時進行しているのが現実です。

検察の捜査や司法についても、旧秩序と第4次産業革命後の秩序との同時進行を考えていかねばなりません。

形として、旧秩序の検察捜査手法が司法により裁かれるということになってきていますが、この過程を通じ、旧秩序と新秩序の折り合いをつける方向へ進むんだろうとぼんやりと感じたというのが、読後の一番大きな感想です。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】俳句甲子園

2017年08月21日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今朝の報道で「俳句甲子園」という催しを知りました。

娘の通う高校の、中学からの同級生が優秀賞を受賞し、出場校自体も「子規・漱石生誕150年記念賞」を受賞しました。

つい先日、「もっと変な論文」(サンキュータツオ著)を読んでいたら、夏目漱石が松山に教師として赴任したとき、どんな交通手段で東京から松山まで向かったかを研究した論文のことが紹介されていました。

その頃、従前から漱石と交流のあった正岡子規が広島に滞在していたことからか、広島までの鉄路の後、瀬戸内航路で松山まで渡ったというのが、いままでの赴任経路として言われていました。ただ、広島で正岡子規と逢った記録はなく、広島を素通りすることにも違和感がありました。

海事研究家の方が、当時の船舶事情などを調べ、神戸から船で松山へ渡ったとするのが実際の赴任経路だったと結論付けたのが、紹介された論文の中身です。

これを読んだ直後だったので、子規や漱石になんだか親近感を持っていました。そんなときに飛び込んだ「子規・漱石生誕150年記念賞」だったことと、その一団のうち名前を知っている生徒が個人賞である優秀賞まで受賞したものですから、俄然嬉しさが湧き出てきました。

明治初期に学問に突き進んだ方々は、とてつもない探究心をお持ちの方が多いですが、子規、漱石もそのうちのそれぞれ一人です。

その方々の名のついた賞を、戊辰の役で敗れ教育環境がなかなか整わなかった会津の生徒が受賞することは、このうえない喜びを感じるものです。

しかし、わずか150年たらず前のことで、学者さんが記録を残していたことについてでも、まだまだナゾの多いことにはビックリします。

言葉という手段を用い、将来のがらりと変わった世の中から過去のことを遡れるよう、よく考えて事実を文章として残すことはとても大事だと実感しました。

五七五と季語というルールの中で、それを記述するのには、とてつもない能力を必要としますが、受賞者の白井駿介君、あっぱれだ!

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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【会津野】ホスト・ホスピタリティ・忖度・包摂・排除

2017年08月20日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

宿屋稼業20年になります。

ユースホステルとして開業し、当初はユースホステル会員が中心的なお客さんでした。

20年前は、まだ青少年教育思想が残っており、ユースホステル会員の方々は、今でいえば「意識高い系」の方々が多かったことを思い出します。

受け入れるこちら側(ホスト)として、そういう方々の気持ちを忖度し、お喜びいただけるようなホスピタリティを心がけてきたものです。

ところが、年々、ユースホステルの社会的認知度が下がり続け、ご利用になるお客様も、一般のホテル・旅館の代替として利用なさる方々の割合が増えてきました。

忖度する内容も、ホスピタリティの形もどんどん変化しています。

一方、従前の社会においては、棲み分けという名の排除がユースホステルを利用しなかった層に対し存在していました。

誰でもがインターネットで世界の情報が取れるようになり、一見排除がなくなったように見えるのと同じように、ユースホステルにも仮想の包摂のようなことが起き、ホストとして忖度しなければならない事柄が変わってきました。

しかし面白いのは、排除されていたときは、それに対する批判というものが必ず存在したものの、包摂されるように見えてくると、批判が急激に減少してきました。

これも、インターネットでSNSが普及するにつけ、批判を排除する風潮が広がり、批判をする人はブロックされ排除されるという現象が起こるようになりました。

なので、なかなか批判に接する機会が減り、忖度の内容が正しかったのか否かということを、自分で評価する機会も減ってきています。

「今日の対応は適切だっただろうか?」

「どこまで忖度すべきだろうか?」

サービスを売る側の宿屋と、サービスを受ける消費者側のお客さんは、利害が対立するはずですが、お客さんも批判してブロックされたくないからか、宿屋のことを忖度する世の中になってきました。

批判なき社会で共感を求める動きが続く。

批判する人を批判することは許されるが、こういう人々とはお友達になりたくないということも存在する。

なかなか難しい世の中だ。

共感ワードばかり考える風潮って、しばらく続くんだろうか?

今日も素敵な一日を過ごしましょう。

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