エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

キムさんは、発達トラウマ障害(DTD)になる様な苦しみにあっても、信頼感が揺るがなかった!

2016-09-25 19:07:51 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す



 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども、大人。

 最終章の第7章、p.292、中央の面接者から。






面接者 : お祈りとお祈りがどんな風に役立つのか、お話し下さい。
キム : 私がずっと神さまを信頼してきたのは、私が今もここに生かされているからです。今もここに生かされている、という事実ですね。つまりね、私はまだ37歳ですけど、25回以上、集中治療室で治療されたことがあるんですよ。人がたまたま私のアパートを訪ねてきたら、私の意識がなかった、なんて話は、いつものことなんですね。体内のカリウムが検出されなかった事だって、何度かある位なんですからね。私はその間ずっと、お祈りをしていました。だって、神さまが生きておられて、私がしてきた事は全てご存知だと信じているからですし、神さまは私に何があったかをご存知なだけじゃなくて、これから何があるのかも、私に対してどの様なご計画を用意しておられるのかも、ご存知だからです。ですから、支援団体の支援が途切れたことも、神さまが周到にご計画くださった事だと信頼しています。









見事な信頼ですね。日本人には、馴染みがないところでしょう。自分が得する分だけ、組織を当てにする、ニッポン人の一般的な生き方からは、想像も出来ない方が、普通でしょう。キリスト教には、「神さまは、耐えられないような苦しみは、与えない」という深い信頼=豊かな根源的信頼感があります。キムさんの信頼は、まさに、典型的な豊かな根源的信頼感です!
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しなやかに生きるキムさん:発達トラウマ障害(DTD)の人の可能性

2016-09-25 12:46:21 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す




 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども、大人。

 最終章の第7章、p.292、最後の面接者から。








面接者:キムさんが神さまを信頼して、お祈りする事は、とっても大切な様ですね。
キム : まさに。神さまを信頼して、お祈りしてなかったら、今ここに、生きていなかったと思いますね。






根源的信頼感が豊かだと、キムさんみたいに苛酷な人生でも、しなやかに生きる事が出来るみたいですね。
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悪魔のパニックと発達トラウマ障害(DTD) 悲しい事件の始まり

2016-09-25 04:03:46 | ブルース・ペリー教授の『犬』




 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog 「犬として育てられた少年」。p157 から。







 おそらく、悪魔のパニックほど、1990年代初めに、テキサス州、ギルマーの人々を泣かせたものは、なかったでしょう。政府高官は、彼が知りうる事情を、私に教えてくれました。
 7歳の少年、ボビー・ヴァーノンが、回復不能な昏睡状態となって、病院に横になっていました。彼は最近養子として貰われたばかりの養父に、階段から突き落とされたのでした。この養父も、その奥さんも、その後で、自殺をしてしまいました。それも、ボビーが入院をした後で、他の養子と世話をしている子どもたちを家から追い出した後のことでした。養父はピストルで頭を撃って翌日に亡くなり、養母は大量服薬のために翌々日に亡くなりました。






 ボビー君は、親もなくて、引き取られた養父には、階段から突き落とされ、昏睡状態に陥っている、と言うんですね。
 その経緯は、今後明らかになるはずです。悲しい事件の始まりです。

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頭では、覚えていなくても、発達トラウマ障害(DTD)の人は、身体が、事の次第を、覚えている

2016-09-25 03:47:53 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの




 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma   p132 、『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.132の、第5パラグラフから。







 マリリンは、性的に虐待された女の子を1人、描いたけれども、少なくとも、頭では、言葉では、実際に自分に起きたことが、全く分かっていませんでした。マリリンの免疫系、筋肉系、恐怖反応系は、すべて、事の次第を知っていましたが、マリリンの意識は、その体験とやり取りできるだけの物語を、持ち合わせて居ませんでした。マリリンは、それまでの人生の中で、繰り返しトラウマを体験してきたのに、それを言葉にする物語がなかったのです。この後、12章でお話しするように、トラウマを負わされた記憶は、普通の記憶とは、様々に入り組んだ形で違うものですし、心にも、脳にも、幾重にも、層をなしているのです







 ヴァン・デ・コーク教授の、この本のタイトルになる言葉が出てきましたね人間の不思議でもあります!
 人間は自分を規定している肝心なところが、無意識に落ちたまま、知らずに生きているものですね。何故なんでしょう?!
 マリリンさんも、人生を台無しにしかねない性的虐待を頭では忘れてしまっています。でも、このままでは、文字通り、人生は台無しです。哀しくとも、性的虐待を受け入れて人生を生きる上で、物語は欠かせませんね。

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インターメッツォ: 信頼と行動

2016-09-25 02:01:45 | 間奏曲





本田哲郎神父様によれば、ギリシャ語のピスティスとは、単に「信頼する」ことではない、と言いますね。でも、辞書には、「信頼する」としか出てきません。なぜでしょう?
日本語で「信頼する」と言ったら、心の中だけのことだ、と考えやすいですらね。さっきのブログの続きで申し上げれば、自分が得する分だけ、組織を当てにする場合には、だいたい、言われた事をやろうと思う事が、「信頼する」ことになりますでしょ。ですから、お役所仕事の典型ですが、「余計な事はやりません」ということになりますでしょ。基本形が、小心翌々です。
しかし、本田哲郎神父様によれば、ピスティスとは、「信頼して、行動を起こす」事です。ですから、信頼したら、生活が変わります。信頼したら、生き方が変わります。
エリック・エリクソンの根源的信頼感は、実は、ギリシャ語のピスティスが元になっています。ですから、根源的信頼感が豊かな生き方と、根源的不信感が強くなった生き方とは、一生涯、対極的な生き方をする事になりますね。ですから、ここからも、ピスティスが、単に、心の中だけの事ではない、とわかりますでしょ。
根源的信頼感が豊かな生き方んなを、1人びとりにプレゼントするためには赤ちゃんと関わる事が、いかに大切な事か、ご理解いただけるばかりではなく、その赤ちゃんに関わるお母さんや保育者らが、豊かな暮らしを保証する社会を実現することが、いかに大切なのかも、理解していただけるものと、思います
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