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ブラウン神父の無心

2013年01月02日 | ミステリ
「見えない人」が「透明人間」という題になってました。
こんな話だったんですね~、マクラにあたる因縁話などすっかり忘れてました。
プロットについては、ヴィクトリア朝上流階級から見た差別意識が反映している
という説(鏡明が言ってたかな?)もありましたが、
容疑者範囲を設定しているので、差別意識云々はあまり関係ないのかも?、と思った次第。
トリック云々より、被害者が発明した自動人形が印象的で、
頭のないロボットみたいな自動人形が部屋に何体もあるって、
そっちの方が怖いですよ。
H・G・ウェルズへのいやがらせかなとも思ってみたりして、楽しい話でした。

チェスタトンとウェルズの関係についてはこちら
紀伊國屋書店シンポジウム【2】「未来からの声」が聞こえるか?(2)

「アポロンの目」が意外にモダンな雰囲気で、ラストもスマート。
クイーンの短編集にあってもいい感じ。

G.K.チェスタトン著作集(邦訳)について(批評と紹介)


「木曜日の男」を読んだときも感じたことですが、
チェスタトンが書いているわけだから只のエンタメではないはずで、
どの作品にも書かれた(おそらく政治的な)動機があり、
書かれてからほぼ100年後の現代ではそれが見えなくなっているのではないか、
ともどかしく思います。
その動機を探るには、イギリスの近・現代史に通暁しないとムリそうですね。
そういったところも期待したんですが。
にしても、あとがきで「100年も前のサビのついた原作」と書く翻訳者の心境が分かりません。

■ブラウン神父の無心 G・K・チェスタトン著 ちくま文庫
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