夏はまだ先ですが、夏にはつきものの怪談本をご紹介。
岩波文庫「江戸怪談集 上・中・下」。
江戸時代の怪談話を集めた本ですが、今でいうショートショートぐらいの長さの話がいっぱいです。いちおう書き下し文ですが、その気になれば面白く読めます。ま、仏教的因果物語が多いですが、不条理な話も混じっていて、それがコワい。「なにが怖いといって因果関係のない化け物や幽霊の出現が恐ろしい」と、岡本綺堂を評して都筑道夫 . . . 本文を読む
アラン・ムーア原作、デヴィッド・ロイド作画のコミック「V FOR VENDETTA」をアマゾンで。
2年ほど前にナタリー・ポートマン主演の同名映画がありましたが、その原作です。もう買っておかないと品切絶版になりそうかと思ったもので。
現在の歴史線からちょっとずれた世界のイギリスが舞台で、米ソの核戦争後の英国はファッショ政権が支配している、という設定です。
イギリスの人たちには「全体主義社会にたいす . . . 本文を読む
先日近所の人と話すことがあって、話題が貸本屋に。
近所におばさんが経営していた小さな貸本屋があって、小学生低学年のころマンガを借りて読んでました。
楳図かずおの「猫目小僧」とか「ウルトラマン」とか。猫目くんは怖かったなあ。千手観音が吸血妖怪になっちゃう話がな~。
そういえば「マッハGo!Go!Go!」の原作(吉田竜夫の描いたやつ)もありました。それがすごい設定で、マッハ号のエンジンってすっごく . . . 本文を読む
昨日、名古屋鶴舞から上前津あたりの古本屋へ久しぶりに行ってきたのですが、
気になったことが。
ハヤカワポケミスがずいぶん安売りされていました。ミステリもSF(所謂銀背)も店によっては一律400円とか。たしかにミステリの方の最近作は400円でもいいかな、と思ってしまいますが、SF銀背が400円というのはちと暴落気味な感じです。いつごろからこんな風なのでしょうか。
とはいえいまひとつ「おっ」というもの . . . 本文を読む
全3巻ということはこれで完結なんですね。新連載「番線」が始まっているようですし。
泥棒に入られて3万円盗られたが、脱ぎっぱなしの下着には手もつけられていなかった(著者はいちおう女性)エピソードには笑いました。
愛知家内の書店(推定・郊外型大型書店)でバイトしている女性漫画家が本屋の仕組みを描くギャグエッセイコミックです。かつて同業だったので、哀歓はよく分かります。
「暴れん坊本屋さん3 久世番子 . . . 本文を読む
創元推理文庫には。定番「怪奇小説全集全5巻と」いう傑作アンソロジーがあるんですが、これはその日本版。
1巻は小泉八雲からスタートして、漱石、犀星、佐藤春夫、谷崎、川端等の大文学者から岡本綺堂、江戸川乱歩、夢野の戦前怪奇派までの近代初期怪奇小説とでも言うパートの作品を掲載。
岡本綺堂はともかく、意外に恐かったのは大泉黒石の「黄夫人の手」。中篇ほどの長さがあり最初はとっかりにくく、投げようかと思ったの . . . 本文を読む
ネタバレあり
マイケル・ムアコック『白銀の聖域』が10月に創元推理文庫で復刊されます。初出は10年前でした。いまムアコックのエターナルチャンピオンシリーズが創元と早川で復刊されていますが、この「白銀の聖域」はノンシリーズです。ですが内容は似たような感じで、暗ーい主人公が運命だとかなんとか言って、登場人物全員を破滅へ道連れにしちゃいます。とくにヒロインの弟の死に様が異様です。男ならこんな死に方はした . . . 本文を読む
司馬遼太郎とか吉川英治といった大御所による真面目なものとは一線を画した、ウソ八百をホントらしく見せた時代小説の一群があります。柴田錬三郎の作品をそこに入れると黄泉にいる著者から怒られそうですが、おもしろいいモンはおもしろいんです。
たとえば『赤い影法師』は掛け値なしのノンストップ時代小説。読み始めたら、もうとまりません。徳川家光の御世、寛永御前試合に挑戦する謎の忍者、影。服部半蔵、柳生但馬守、影 . . . 本文を読む
仕事で岐阜に行ったおりに市内の古本屋へ。ここはいかにも古本屋らしい品揃えでいいですね。民俗学や歴史、宗教関係の本がそろっていて、掘り出しものがありそうな期待感を感じます。と言いつつ、買ったのは「評伝山中峯太郎 夢いまだ成らず」(尾崎秀樹著)、「昆虫図」「地底獣国」(久生十蘭著)の文庫3冊。どれも最後のページに張ってある値札に「切」と書いてありました。版元品切という意味ですが、文庫までしっかりチェッ . . . 本文を読む
いわゆる「IFもの」というジャンルがあるのですが、ドラキュラがヘルシング教授に勝ってしまった世界を描いたのが、キム・ニューマンの「ドラキュラ紀元・戦記・崩御」の3部作です。
無数の実在あるいは架空のキャラクターを縦横無尽に配置して織りなす、もうひとつのヨーロッパ。どれも巻末のキャラクター一覧表がないとなんだか分からなくなってきます。
人間と吸血鬼との不気味な共存状態でありながら、ニューマンの筆は妙 . . . 本文を読む
「乱菊物語」は谷崎潤一郎が『乱世に「菊」という名前の女性の一生を描くつもりで、この題をつけた』そうです。ところが、この長さ(文庫で400ページあまり)で、まだその「菊」という女性は登場してきていないんです。となると400ページはまだプロローグ? 谷崎潤一郎が伝奇作家になりきって書いた作品なので、やたらにおもしろい! 続きを、誰か続きを! 古川日出男さんいかがですか。
で、山田風太郎が「あと千回の . . . 本文を読む
アイルランドのケルト・ミュージックの人気が高いのですが、ヒーリングミュージックとして聴かれている一方、ブルース、ロックをふくめた大衆音楽のルーツの一つがアイルランド音楽にあるということと、その伝統様式が他の国(アメリカ、イギリス、日本など)では失われてしまったものだからでしょうか。
アイルランドでは、音楽はすべて口伝で伝えられ、すべて耳で覚えるそうです。しかも、年配のマスタークラスミュージシャンと . . . 本文を読む
ふと手にした本の著者が、昔読んだあの本の著者だったということがあります。著者の名前なんて忘れてしまっているのですが、こちらの興味をひくようなタイトルや内容を書いているんですね。
「国宝・百済観音は誰なのか」(倉西裕子 小学館)はアルカイックスマイルで妙に人くさい百済観音は誰かをモデルにして作られた、という内容の本です。そして同じ著者の「『記紀』はいかにして成立したか 「天」の史書と「地」の史書」 . . . 本文を読む
横溝正史 『髑髏検校』(6月9日・徳間文庫)
スタニスワフ・レム 『砂漠の惑星』(6月10日・ハヤカワ文庫SF)
永嶺重敏 『怪盗ジゴマと活動写真の時代』(6月20日・新潮新書)
来たっすね、これは。
『砂漠の惑星』は〈名作セレクション〉なので表紙のイラスト、中の版組も変わっているはずです。「無敵号」はどんなデザインになるんでしょうか。
『髑髏検校』、徳間文庫はすぐに品切れになりそうなので、見 . . . 本文を読む
明治村の話の続きです。漱石などの明治の文豪展みたいなことを、いつだったか明治村でやっていたはずです。
ならば明治の冒険小説(大きく広げて探偵小説、SF、秘境小説等)展みたいなことはどですか。そのときは、明治の冒険小説の第一人者、横田順彌氏に監修をお願いしたいです。ドラゴンズファンですしね。
押川春浪をはじめとする明治のSFバンカラ群像、明治の快男児、怪人の話を講演してもらいましょう。寄席では、落語 . . . 本文を読む