spin out

チラシの裏

アイルランド/ネイティブアメリカン/ロックをたく

2006年08月16日 | others
アイルランドのケルト・ミュージックの人気が高いのですが、ヒーリングミュージックとして聴かれている一方、ブルース、ロックをふくめた大衆音楽のルーツの一つがアイルランド音楽にあるということと、その伝統様式が他の国(アメリカ、イギリス、日本など)では失われてしまったものだからでしょうか。
アイルランドでは、音楽はすべて口伝で伝えられ、すべて耳で覚えるそうです。しかも、年配のマスタークラスミュージシャンと、駆けだしミュージシャンが、曲さえ知っていればパブでセッションも可能。アイルランドの酒と音楽が気にいったならば、生の声と音のネットワークに参加できるということらしいです。うらやましい。

で、もって現代のネイティヴアメリカンが書いたロック小説がこれ、「リザベーション・ブルース」。おお、ロバート・ジョンスン。

物語はインディアン居留地(リザベーション)にロバート・ジョンスンが現れるところから始まる。悪魔(?)に魂を売りわたした見返りに天才的なギターテクニックを身につけたジョンスンが、自分のギターを一人のインディアン青年に渡す。かれは仲間を誘ってインディアンロックバンド「コヨーテ・スプリングス」を結成するが…という展開。ジョンスンのギターが捨てられても、必ずジョンスンのもとに返ってくるというところや、人格(?)を持っていてときどき持ち主に話しかけるなんてくだりは、ムアコックの「ストームブリンガー」ですなあ。
そしてロックオタクSF作家がロック小説を書くと…。
ロックおたくの40男が、人生に行き詰まったとき、完成されなかった幻のロック名盤を復活させる力を得た! ロックおたくでしか思いつかないアイデア。主人公はタイムトラベルで「スマイル」を作っている最中のブライアン・ウィルソンに会いに行く、また死ぬ直前のジミ・ヘンドリックスにも会う。しかし…。
ちょっと説教臭くて重苦しい展開が難です。アイデアはいいんですがねえ。

アイルランドのパブから 声の文化の現在(栩木伸明 日本放送出版協会)
リザベーション・ブルース(シーャマン・アレクシー 東京創元社)
グリンプス(ルイス・シャイナー 創元SF文庫)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 王朝物語/色好みの構造 | トップ | ぼくがカンガルーに出会ったころ »

コメントを投稿

others」カテゴリの最新記事