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「ドラキュラ紀元・戦記・崩御」3部作

2006年08月27日 | others
いわゆる「IFもの」というジャンルがあるのですが、ドラキュラがヘルシング教授に勝ってしまった世界を描いたのが、キム・ニューマンの「ドラキュラ紀元・戦記・崩御」の3部作です。
無数の実在あるいは架空のキャラクターを縦横無尽に配置して織りなす、もうひとつのヨーロッパ。どれも巻末のキャラクター一覧表がないとなんだか分からなくなってきます。
人間と吸血鬼との不気味な共存状態でありながら、ニューマンの筆は妙にさわやかです。それは吸血鬼はけして化け物ではなく、悩みや悲しみをもった生物としてニューマンが描いているからかもしれません。
「紀元」は19世紀末ヴィクトリア女王の「夫」」となったドラキュラはイギリスを支配している、というトンデモ設定から始まります。時代的にホームズが出てくるかと思いきやレストレイド警部が登場(チョイ役)。
「戦記」は第一次世界大戦を舞台に、リヒトホーフェンが巨大吸血コーモリに変身し、ドイツ帝国に雇われたロビュールが超ど級飛行船「アッティラ号」を設計する。ニューマン版吸血鬼仕様「紅の豚」という感じです。
「崩御」はドラキュラ版「カジノ・ロワイヤル」。その証拠にオーソン・ウェルズが手品合戦をする場面があり、相手はなんとカリオストロ伯爵(カリ城の人じゃなく)。意外に真面目な伯爵はハリウッド式ショウマンのウェルズに完敗するなんて、笑えるシークエンスもあります。

ちなみにニューマンはジャック・ヨーヴィルという別名で「ドラッケンフェルズ」というゲームからのスピンオフファンタジイも書いていますが、これも面白いです。

ドラキュラ紀元
ドラキュラ戦記
ドラキュラ崩御
(キム・ニューマン著 創元推理文庫)
ドラッケンフェルズ
(ジャック・ヨーヴィル著 角川文庫)
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