加藤ちゃんの日々是好日

安達太良山行&芸能ボランティア

近代化産業遺産 万世大路 part3

2017年03月26日 | 気ままな山歩き

① 3/5(日) 福島~米沢間の栗子峠、半世紀前に廃道となった旧万世大路の二つ小屋隧道での巨大氷柱との出会い

巨大な氷柱出現を報じる「福島民友新聞記事」

 

 1966年4月29日に開通した現在の国道13号線、東栗子トンネル福島口が出発点、右手の土手から登る

 

昭和初期に馬車道だった万世大路は自動車道に改良された

 

二ツ小屋隧道(長さ350m)昭和9年3月に拡幅して完成、83年経っても堂々たる風格だ

 

高さ約5mのトンネルに見事に出現した巨大な氷柱、その大きさと美しさにただ圧倒される

 

 トンネルの漏水が凍り氷柱となり、同時に路面からは氷筍が伸びつながり、やがて巨大な氷柱が出現する

 

 米沢口の氷柱、天井の一部が崩落し沢水が流れ込み氷瀑となる

 

 米沢口からはトンネル内に大量の雪も吹き込んでいる

 

 後日、NHK福島、五七GO!に投稿し放映される

 

3/25(土)ぴんころさんと念願の「杭甲山」攻略を実現する日が到来した

福島市街の北西に見える山形県境の栗子の連山、その左のピラミッド型が杭甲山だ(花見山から撮影) 

 

米沢市の天元台高原から望む栗子の連山、どう見ても杭甲山が一番端正で登山意欲が湧く(2017年3月12日撮影)

 

米沢採石の事務所に万世大路入山届けに記帳し、スノシューを履いて出発!

 

 採石工場外れの瀧岩上橋(昭和7年9月竣功)を渡り栗子隧道まで4Km余り、昔の面影を残す万世大路を歩く

 

 万世大路と命名された開通の日、明治天皇がご休息あらせ給ふ

 

50年前までは一級国道として車の往来で賑わっていた万世大路、今は訪れる人もなく野猿の楽園と化す

 

標高870mの栗子隧道まで先ずは七曲(ななむずり)、方言で「曲がり=むずり」

 

 

皮を剥かれサンゴのようになったヤマグワ(山桑)が痛いたしいが、敵もサル者 厳冬の餓えを凌ぐため・・・か

 

途中には開通当時の賑わいを偲ぶ「太助茶屋」跡も

 

ドライフラワーに変身したツルアジサイの花が風に揺れる

 

ぴんころさんの踏み跡の右に、正体不明?な足跡を発見

 

春の柔らかい陽射しを浴びて雪の妖精がキラキラと輝く

 

右に道が折れると突然視界が開け、目的地の杭甲山も端正なその姿を現わし気が締まる

 

最後のヘアピンカーブを曲がると栗子隧道が姿を現わす

 

豪雪に埋もれ、わずかに頭を見せる昭和の栗子隧道(左)と明治の栗子山隧道(右)

 

先ず、初代の手掘りの隧道内をそっと覗く、其処には無数の見事な氷筍がニョキニョキと出迎える

 

昭和の大改修で造られた二世代目の栗子隧道は多量の積雪が進入を拒む

 

トンネル天上の高さから中をのぞき込むと、巨大な氷柱と落盤箇所には氷筍も見えた

 

隧道探索を終え、主目的の「杭甲山登頂」を目指し標高差約330mに挑む、見上げると青空に霧氷がキラキラと映える

 

 

昨年の経験を活かし、まずブナ林の最低鞍部を直登

 

斜度がきつく、スリップするスノシューを途中に捨て、アイゼンに履き替えステップを刻む

 

右手に聳える杭甲山は、樹木も寄せない厳しい姿、谷川岳の岩壁のようにも見える

 

森林限界を越え、万世大路が小さく見える緩斜面に辿り着き、緊張を解すぴんころさん

 

最低鞍部から見上げる杭甲山、此処から標高差で約80mを直登する

 

尾根に迫り出した雪庇が自重で大崩落し、ブロック雪崩れとなった現場を目の前にして自然の脅威を改めて認識する

 

西風を避けブナの根元で小休止、見上げる霧氷が何時もになく涙が出るほど眩い

 

杭甲山の胸突き八丁、足元を確保して振り向けば、たおやかな栗子山への稜線が望める

 

杭甲山頂を目前にし、ややなだらかな斜面だが気は最後まで抜けない

 

遂に頂を極め肩を組み「ヤッター」と叫ぶ!我らシニアにとってはエベレストを征服したような感動の瞬間

 

無風快晴の山頂から、遮る物の一切無い360度の大展望が得られる

 

北に、栗子山の県境稜線

 

七つ森と奥の南蔵王は霞む

 

東に、福島盆地と信夫山が

 

遠く阿武隈山地と一切経山(右奥)

 

南に、東吾妻から西吾妻の連山は雲に少し隠れ気味

 

中央が水窪ダム、右が米沢の市街地、視界が良ければ飯豊連峰が見える

 

一回りして再び栗子山、遠くに朝日連峰が霞んで見える

 

杭甲山からの下山は細心の注意力を要し、高度恐怖に耐え、一歩一歩が命がけ

 

中間地点まで下りれば傾斜も弱まるが、まだまだ気は抜けない

 

杭甲山の肩まで下りれば、余裕の安全地帯

 

尾根の最低鞍部から、往路の足跡を忠実に下山

 

灌木帯まで下りると、張りつめた緊張も解ける

 

スノシューをデポしたナナカマド、厳冬の風雪にも耐えた実が意地らしい

 

陽が陰る杉の植林地まで下り、振り返り見る純白の杭甲山は一段と輝きを増したように感じる

 

皮を剥ぎ、枝まで喰い散らかした犯人は誰だ!

 

モミジの様な可愛い足跡が縦横無尽にトレースされ、好天のサルの楽園が目にうかぶ

 

車両進入禁止!栗子隧道は落盤のため福島県への通り抜けは出来ませんと

 

ドロノキ(ドロヤナギ)材木としては柔らかいので「泥のように役に立たない」

 

鋭い棘を持つハリギリ、タラノメよりも美味しい

 

白銀の杭甲山に見守られ、車をデポした米沢採石所に無事帰還

 

追記

今回、万世大路で頻繁に観察されたサルの餌樹木が特定の樹木(ヤマグワ)に限られており、

猿まね?して試食したところ、クセもなくほのかな甘味も感じられた。

山形大学の江成広斗博士によると、ニホンザルは餌樹木の中でヤマグワの採食が際立って高いが、

1.サルはヤマグワの効率的な種子の散布者でもある。

2.ヤマグワの幼木は雪のカバーで採食を回避している。

3.ヤマグワの成木も雪のカバーで基部は保護され芽が出る。

したがってサルは破壊的な食植物動物とはいえず、またヤマグワの密度・樹形からサルの生息履歴も推定できると。

たしかに、養蚕などでも桑は枝ごと切り取っても、翌年は若いショート(枝)が元気よく根本から芽吹く姿を見て来たので納得しました。

 猿の格好の餌となり皮が無残に剥された山桑

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
不連続に注意 (ぴんころ120)
2017-03-28 19:38:47
こんばんは。
今日になって、肩の辺りに違和感が出ています。いつもは無いので、”自然落下”によるものと思います。
地形が判らないところでは、足元の雪原の不連続の所は注意ということですね・・・吹雪いたり反射とかで見通せない場合は・・尾根には近づかない
・・でしょかね

今回の氷柱は大きく写真の撮り方も巧みでオッオッ~と見入りました
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油断大敵 (加藤ちゃん)
2017-03-29 10:06:57
春先のドカ雪の表層雪崩、那須と安達太良山での痛ましい事故です
雪山は天気が良いと楽園ですが、一転すると地獄です
今、窓から見える安達太良山も何事も無かったかのように穏やかです
巨大氷柱、新聞やTV放送から一カ月過ぎても健在で、昨年のリベンジを果せてラッキーでした
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三角形の山 (okusan)
2017-03-29 16:18:37
 この山は遠くから見ても三角のトンガリ山で形良く目立ちますね。
詳細記録、きれいな写真で良く分かりました。

 一度だけの万世大路・栗子稜線越え 2011/7/9
http://blogs.yahoo.co.jp/okusan2005/archive/2011/7/10

 工事の資材運搬で板谷駅から栗子隧道東口までトロッコを走らせたと聞きました。
今も軌道は残っているだろうか?。昔、探訪記録を見た記憶が有り、興味有ります。

 これからも良い山行を。
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okusanこんにちは、 (加藤ちゃん)
2017-03-31 17:50:49
福島市街からも絵にかいたような羨望のトンガリ山、長年の夢が叶いました
昭和の大改修の大量の資材を板谷駅から二つ小屋隧道米沢側坑口まで運んだ、トロッコのルートはまだ面影が残っていると聞いているので、是非踏査したいと思っています
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