[※ 「3.11から12年 「脱原発の約束はどこに」」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑] (2023年02月26日[日])
原発人災被災地は放置で、ちゃっかり東電テレビCMは「原状回復」かょ…。電気代に上乗せされるのかと思うと、はらわた煮えくりかえる。テレビ局も、節操なさ過ぎる。
大杉はるか・中沢佳子両記者による、東京新聞の記事【東京電力「でんこちゃん」CM復活の謎 原発事故後から約11年ぶり、電気料金値上げの一方で広告費は…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/229019)によると、《ジャーナリストの政野淳子さんも処理水や除染土の問題に触れ、「事故処理の終わりは見えない。にもかかわらず、東電が再稼働を狙う柏崎刈羽原発では、不祥事が続発だ」とあきれる。同原発を巡ってはID不正の他、核物質防護の不備や7号機の冷却用海水配管の腐食が判明。今年に入ってからも、原子力規制委の審査を受けている3号機の書類に149カ所もの誤りがあり、大半はすでに審査を終えた2号機の記載内容の流用だと分かった。「ハードだけでなくソフトもボロボロ。東電にはもはや、原発を運転する能力はない。そんな中で、でんこちゃんが省エネや節電をアピールするのは、安全を願う人々の感覚とズレている」》。
東電核発電人災から12年も経ってしまったのに《原状回復》することも無く、《原発回帰》へと暴走し、《原発復権》。3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?』
『●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》』
『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》』
『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?』
『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》』
やはり、小出裕章さんの講演は凄い。実行委員長は武藤類子さん。悲痛な⦅福島からの声⦆を聞いて下さい。
国はなぜ汚染水を海洋放出したいのか? 六ケ所村の再処理工場が稼働できなくなるから…。デタラメ過ぎる。
【「汚染水はなぜ流してはならないか」小出裕章講演会】
(https://www.youtube.com/watch?v=nxpVO0bL5X8)
「汚染水はなぜ流してはならないか」小出裕章講演会
日時:1月21日(土)13:00~15:30
会場:三春交流館まほら大ホール
主催:小出裕章講演会実行委員会
00:00 開会あいさつ
00:40 武藤類子実行委員長あいさつ
「原発汚染水はなぜ流してはならないか
〜これまでの経過と市民の活動〜」
13:25 小出裕章さん講演
1:18:00 福島からの声 小野春雄さん(新地町)
1:30:17 福島からの声 片岡輝美さん(会津若松市)
1:41:35 質疑応答
2:13:20 閉会挨拶
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/229019】
東京電力「でんこちゃん」CM復活の謎 原発事故後から約11年ぶり、電気料金値上げの一方で広告費は…
2023年2月3日 11時30分
東京電力の広報キャラクター「でんこちゃん」がテレビCMで復活した。東日本大震災による福島第一原発事故後に姿を消してから、11年ぶりとなる。燃料高騰で、東電を含む大手電力9社は2023年3月期、計1兆円超の赤字を計上する見込み。東電は約3割の値上げを申請している。ちゃめっ気のあるキャラクターで、庶民の気持ちをなだめたいのか。それにしても、なぜ今? (大杉はるか、中沢佳子)
(テレビCMに再び現れたでんこちゃん。
同様の映像がネット上でも見られる)
◆原発事故とともに消えたキャラ 「おひさしぶり!」と突然の復活
「おひさしぶり!」というメッセージとともに「でんこです」で始まるテレビCMは15秒で、冷蔵庫の温度設定を弱めるなど節電を呼びかけ、「電気を大切にね!東京電力」で終わる。昨年12月3日から、東電のエリア(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡)で流れている。
東電広報によると、現在、この「省エネ・節電方法編」と「省エネプログラム促進編」を使用中。電力事情がさらに厳しくなった時の「需給ひっ迫発令対応編」も用意している。
でんこちゃんの本名は「分電でんこ」。20代で夫と二人暮らしの設定だ。作者は「南くんの恋人」などで知られる漫画家の内田春菊さん。1987年に、キャラクターとして登場した。テレビCMでは、冷蔵庫の開けっ放しなど、電気の無駄遣いをしている場面に、「じゃん!」とでんこちゃんが現れ「電気を大切にね!」と呼びかけていた。
人気キャラだったが2011年3月、東電福島第一原発事故が発生。深刻な事態にでんこちゃんは出番を失い、テレビCMは同年2月が最後になった。
12年3月末にはキャラクターの使用契約期間が満了。16年に再契約したものの、ホームページなどでの使用にとどめていたという。
今回テレビCMも復活させたのはなぜか。東電広報は「ウクライナ情勢の影響で燃料不足に陥っているところもあり、エネルギーの安定確保は予断を許さない状況。より多くの皆さまに節電に協力いただきたい」と狙いを語る。
新たなキャラクターではなく、でんこちゃんを再登用した理由は「30代〜50代には懐かしさ、それ以外の世代にも親しみを感じていただけるから」と説明。ただ、広告費は「回答を差し控える」と明かさなかった。
◆復活は今の時代、SDGsで何でも再利用だから?
でんこちゃん復活を街の人はどう思うのか。東電本社(東京都千代田区)近くで聞いてみた。
弁当を販売していた飯倉みなみさん(25)は「久しぶりに見たという感じ」としつつ「東京電力のキャラクターだったんですね」と印象はおぼろげ。復活の理由は「思い付かない」と首をかしげた。
東京都八王子市の無職長岡剛さん(57)は、昔のでんこちゃんを「よく覚えている」と懐かしそうに語り、復活は「今の時代、SDGsで何でも再利用だからじゃないか」と推測する。
同品川区のパート小谷礼子さん(75)は「そんなことより、電気代を何とかしてほしい」と強調する。言われるまでもなく節電しているが、昨年は月8000円台だった電気代が、今年は1万2000円まで上がっているという。「また値上げするんでしょ。CM代を使うなら、電気料金を下げてもらいたい」
都内の高校に通う高原若葉さん(17)と前原優理さん(16)は、でんこちゃん自体も、復活したことも「知らない」と口をそろえた。イラストを見せて感想を聞くと、「かわいいけど、古めかしい感じもする」とのことだった。
◆原発推進政策と同時期に復活したのは偶然か?
やや唐突なでんこちゃん復活劇。時期は政府の原発政策の転換と重なり合う。
岸田文雄首相は昨年8月、脱炭素社会の実現に向けた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、次世代型原発の開発と建設に言及。同年12月に決定したGX実現への政府の基本方針に明記した。基本方針には最長60年だった原発の運転期間の延長も盛り込んだ。原発活用に向け、急速に前のめりになっている。
(GX実行会議であいさつする岸田首相(中)。
原発の建て替え推進などの基本方針を決めた=首相官邸で)
首相は同年7月には、冬の安定的な電力供給のため、原発を最大9基稼働させるとも表明している。
これについて、NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は、原発の必要性を印象付けるまやかしだと切り捨てる。「もともと電力会社の計画で決まっていたことで、稼働しても電力不足の解消にならない。逼迫と絡めたのは、原発の必要性を強調したいからだろう。電力が足りないから再稼働、という理屈は国民の耳に通りやすい」
そこへ再登板した、でんこちゃん。松久保さんは「電力の大切さを宣伝するキャラクターで、ソフトな企業イメージを演出している。再稼働や電気料金の値上げを受け入れてもらいやすくする策では」とみる。
「(ソフトなキャラクターは)メッセージをマイルドに伝え、親近感をかき立てる」と、ゆるキャラ研究家の犬山秋彦さん。「懐かしのアイドル」とも言えるでんこちゃん登用についてこう分析する。「東電のマイナスイメージが薄かった原発事故前に活躍し、知名度はある。新たなキャラをつくるより費用もかからない。事故後、東電にはこれといったPRキャラがなかっただけに、若い人には目新しさもあるだろう」
◆2年前にはトリチウムゆるキャラ化→炎上で公開中止に
(放射性物質トリチウムをキャラクター化したチラシの
一部(左)と、トリチウムをTに直した修正版
(復興庁ホームページより))
とはいえ、原発絡みでキャラが炎上したことも。2021年、復興庁が福島第一原発の処理水に関するチラシや動画で、放射性物質トリチウムをゆるキャラ化して安全性をPRし、物議を醸した。犬山さんは安易なキャラ頼みにくぎを刺す。「キャラの効果は使う側次第。トリチウム問題のように、不謹慎ととられれば逆効果になる」
東電や原発には、とかく問題が絶えない。処理水の海洋放出や、除染作業で出た汚染土(除染土)の再利用に、人々の不安は根強い。柏崎刈羽原発(新潟県)では20年、他人のIDカードで中央制御室に入室する不祥事が発生。昨年も、運転期間延長を巡る原子力規制委員会の検討前に、事務局の原子力規制庁と経済産業省が事前協議していたと分かり、「規制と推進の分離」の原則が揺らいだ。
山積みの問題をよそにキャラで省エネを語る東電に、原発事故後、福島県南相馬市から横浜市に避難した村田弘さん(80)は「先祖返りした岸田政権の原発政策に、便乗したのでは。東電には甚大な被害を出した責任がある。事故は風化したと言わんばかりに、事故前のPRキャラを生き返らせたのは問題の本質から外れたやり方。責任の棚上げだ。事故で被害を受けた側には許せない」と憤る。
ジャーナリストの政野淳子さんも処理水や除染土の問題に触れ、「事故処理の終わりは見えない。にもかかわらず、東電が再稼働を狙う柏崎刈羽原発では、不祥事が続発だ」とあきれる。
同原発を巡ってはID不正の他、核物質防護の不備や7号機の冷却用海水配管の腐食が判明。今年に入ってからも、原子力規制委の審査を受けている3号機の書類に149カ所もの誤りがあり、大半はすでに審査を終えた2号機の記載内容の流用だと分かった。「ハードだけでなくソフトもボロボロ。東電にはもはや、原発を運転する能力はない。そんな中で、でんこちゃんが省エネや節電をアピールするのは、安全を願う人々の感覚とズレている」
◆デスクメモ
人気テレビ番組でシャワーカーテンを窓に掛けると保温効果があると聞き、100円ショップに行ったら売り切れていた。代わりに非常用アルミシートを掛けている。でんこちゃんにさらなる節電をお願いされても、その先には値上げが…。すっきりしない気持ちを抱く人は多いだろう。 (北)
【関連記事】「トリチウム」がゆるキャラに? 復興庁「親しみやすいように」原発汚染処理水の安全PR
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[※↑ 双葉町での聖火リレーに際しての大沼勇治さん(報道特集 2021年03月27日[土])] (2021年04月11日[日])
片山夏子・保坂千裕の両記者による、東京新聞の記事【「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490)。
《東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子)》。
『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。同じ
過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》』
東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》。
正に《簡単には水に流せぬ》し、流してはいけない。愚行。アベ様曰く《アンダーコントロール》なんでしょ? 元・最低の官房長官=現首相も「汚染水の『影響』は完全にブロック」と仰っているのでしょ? では、東電と国の方で、そのまま制御し続けてください。それを公約に、金(カネ)色の五つの輪を東京に招致したのですから、復興五輪と嘯いて。いまさら〝処理〟水を、なんで《海洋放出》《海に放出》する必要があるの? ブログ主は実害が出ると思いますが、風評だと仰るのなら、東京湾や(お維もお望みのようですから)大阪湾に放流すればいい。自民党や公明党の本部にでも降り掛けてみたら? ブログ主は《X年後》を恐れます。
利権漁りカースーオジサンは、4月13日にも、それを決める模様だ。愚かすぎるし、世界中の顰蹙を買うことになる。
『●東京電力原発人災、
今頃公開されたわずかな捏造・改竄映像からでも分かったこと』
『●東京電力原発人災、汚染水問題は続く』
「しかし、海に放出を検討なんて、無責任にもほどがある。
今も地下水を汚染し続けていると思うけれども、「ほとんどの種類の
放射性物質を法定濃度未満になるまで除去」するなんて本当にできる
のかどうか眉唾であり、それを海に放出するなんて許されるのか?」
『●トリチウム、使用済み吸着剤の処理・処分、…
再稼働や輸出なんてやっている場合か?』
『●屁理屈にもなっていない…
菅義偉官房長官「汚染水の『影響』は完全にブロック」』
『●「暴走するゾウ、ゴジラを解き放とうという「愚」」な
東電をどのように「信頼」すればよいのか?』
《原子力規制委員会は二〇一七年以降に海洋へ放出すべきだとして
いるが、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は反発を強めている。
水産関係者にとっては死活問題だけに、当然だ。
米スリーマイル島原発事故の際にも、約六千トンのトリチウム汚染水が
残された。米原子力規制委は、河川への放出など九通りの選択肢を
地元住民に提示した。そうして選ばれたのが、ボイラーで少しずつ
大気中に蒸発させるという方法で、処理には十年をかけた。福島とは
量が違う。廃炉は早く進めたい。
しかし、トップダウンで決めるべきではない》
『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?』
《汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の扱いも
異なる。TMIでは近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が
反発。91年から93年に約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分
した。一方、第一原発では貯蔵量が既に100万トンを超えて増え続け、
政府が海洋放出などの処分方法を検討しているが、結論は出ていない》
『●《安倍晋三首相は…「まったく問題はない。
汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調した》』
《交代直前に、薄めに薄めた“希釈した”表現で次の内閣に宿題を
言い放った環境相・原田義昭の発言の重みと衝撃をどうとらえるかは
内閣の大きなテーマとなる。 ★それは10日の閣議後の記者会見で、
東京電力福島第1原発から出る放射性物質を含んだ汚染水を
「思い切って(海に)放出して希釈するしか方法がない」という発言だ。
「海に放出する」となれば、ストロンチウムなどの放射性物質の
基準値を超えた汚染水を海に垂れ流すことになり、
「アンダーコントロール」発言を世界が蒸し返すだろう。ことに
韓国や中国などは強い反応を示す可能性があり、新環境大臣となる
小泉進次郎の発言が極めて重要となる》
『●むき出しの「言論弾圧政党」は《人材の宝庫》…
《この内閣の水準の低さ…自民党は…国民の気持ちを第一に考えな》い』
《経産の決定を環境相として真っ向から挑んでいくのが仕事ではないのか。
政治家としても閣僚としても2人の発言は憲政史上まれに見るお粗末さだ。
閣僚の発言は官房長官や首相の責任でもあることを付記しておく》
『●三浦英之記者の質問「今でも『アンダーコントロール』だとお考えで
しょうか」? アベ様のお答え「…その中で正確な発信をした…」!?』
《元東京都小金井市長の佐藤和雄事務局長は会見で「国が進める
核燃料サイクルは、既に破綻している」と述べた。佐藤事務局長らは、
運転開始から四十年を超えた原発は再稼働するべきではないとも指摘。
東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ
水を、海洋放出の方が確実に処理できると強調した提言案を
政府小委員会が一月に大筋で了承したことを受け、
放出せずに長期保管するよう求めた》
『●東電核発電人災汚染水放流に反対…(筆洗)《取り除くべきは放射性
物質に加えて、地元の心配であり、悩みである。簡単には水に流せぬ》』
『●東京電力核発電人災から10年経って、この有様…アンダーコントロール
どころか人災は継続中、しかも、まだ核発電を続けたいという…』
『●武藤類子さん《本来ならその人たちにとってもこの10年、まったく
違った時間があったはず…原発事故は、その時間を奪ってしまった》』
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/96490】
「政府は押し切るのか」原発汚染処理水の海洋放出に福島の漁業関係者が憤慨
2021年4月8日 06時00分
東京電力福島第一原発で保管が続く汚染水を浄化処理した後の処理水を巡り、菅義偉首相は7日夜、近く処分方法の方針を決めると明言した。政府が念頭に置く海洋放出処分となれば、漁業関係者への打撃は必至で、福島県や隣接する茨城県からは強い反対の声が上がった。(片山夏子)
【関連記事】原発汚染処理水の海洋放出へ最終調整 地元の理解得られぬまま
福島県北部の新地町の漁師小野春雄さん(69)は「全国漁業協同組合連合会(全漁連)も福島県漁連も絶対反対という中、政府は押し切るのか。原発事故の被害を受けた地元や漁業者への説明も足りない。十分に声も聞かず、話し合いもせず決めるのか」と憤慨した。
2011年3月の原発事故後、福島の漁業は窮地に陥った。漁獲量を制限した試験操業は8年9カ月続き、今年3月に終了。4月からは本格操業に向けて、水揚げ量を増やすことになったばかり。小野さんは「我慢を重ねようやくだとほっとしたのに、風評被害の具体策も示されていない。われわれには死活問題。今このタイミングで流せば、後継者のなり手もいなくなり福島の漁業は衰退する」。
相馬原釜魚市場買受人協同組合長の佐藤喜成さん(68)は「今でも福島県の魚は価格が低い。10年たっても年収は半分にも満たない。風評被害は絶対に起きる。補償するなら漁業者だけでなく、仲買人や小売業者の補償もすべきだ」と訴えた。「流せば生きている間、そして息子の代もずっと影響を受ける。これだけ反対の声が上がっているのに、国は一方的に強引に流すというのか」
市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」の三春町の大河原さきさん(69)は、福島の多くの市町村が海洋放出に反対か慎重な判断を求めていることに言及。「県民の意見を聞く場を求めたが、ほとんど開かれなかった。影響は福島だけではなく、全国的な議論をすべきだ。民意を無視して、強行して決めるのは許されない」とくぎを刺した。
◆茨城県内からも「絶対に困る」
福島県境に近い大津漁協(茨城県北茨城市)の60代漁師は、菅首相が全漁連の岸宏会長との面会で海洋放出への理解をあらためて求めたことについて「絶対に困る」と語気を強めた。
「震災から10年たった今でも、大津の魚は(県内でも南に位置する)大洗や久慈より安い」と嘆き、海洋放出が決まった場合の補償に対する不安も訴えた。
別の50代漁師も「死ぬまで漁師をするつもりだった。せっかく魚が売れるようになったのに、また10年前のように騒ぎになってしまう」と風評被害の再燃を懸念した。(保坂千裕)
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