Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●高畑勲監督…「『火垂るの墓』…どれだけの人が戦争の悲惨さを知り…反戦映画の枠を超える名作になった」

2018年04月16日 00時00分51秒 | Weblog


リテラの記事【高畑勲監督が最後に遺した無念の言葉「これで安倍政権が崩れないのが信じられない」「自由で公平で平和な国で死にたい」】(http://lite-ra.com/2018/04/post-3933.html)。
日刊ゲンダイの記事【沖縄の現状に思い寄せ アニメ巨匠・高畑勲監督の“遺言”】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226756)。

 《その無念のなかには、いま、この国に進行している事態を止められなかったという思いも含まれていたのではないだろうか》。
 《反戦・反核の人だったが、とりわけ強い思いを寄せていたのが沖縄の現状である…辺野古の新基地建設について「許し難いひどい話」、沖縄県に米軍基地の負担が集中していることについて「後ろめたい」などと話していた…安倍政権の5年で、沖縄の“孤立”はますます深まった9条改悪にも手を付けようとしている高畑監督の言葉に、安倍首相も少しは耳を傾けたらいかがか》。

 東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018040702000148.html)によると、《高畑勲さん…▼『火垂るの墓』も「反戦映画ではない」と言った。日本が再び戦争に向かうことに強い危機感を持っていた一方で、戦争を止める力にはならないと考えたからだ▼だが現実は異なる。映画でどれだけの人が戦争の悲惨さを知り、どれだけの親子が戦争について語り合ってきたか反戦映画の枠を超える名作になった▼著書では<私たちは先立った人たちに見つめられているのだ、という…感覚をもつことが必要ではないか>とメッセージを残した。これからは作品の向こうからわれわれを見つめることになる》。

   『●「「死にたくない」だけでは足りない、「人を殺したくない」
                という気持ちこそが、戦争の抑止力となる」
    「【反戦のふりをした戦争肯定映画『永遠の0』にだまされるな!
      本当の反戦とは何か、ジブリ高畑勲監督の言葉をきけ!】
      (http://lite-ra.com/2015/07/post-1342.html)」
    《いまなお“反戦映画”の名作として受け継がれている。ところが、
     当の高畑監督は「『火垂るの墓』は反戦映画じゃない、『火垂るの墓』では
     戦争を止められない」と語っているのだ。高畑監督のいう、
     本当の反戦とは何か…高畑監督にいわせれば、
     「死にたくない」だけではダメだというのだ。むしろ逆に、「死にたくない、
     殺されたくない」という感情につけ込まれて、再び戦争は始まるものだ
     と指摘する…実際、これまでの多くの戦争が「自衛」という名目で行われてきた
     …本当の意味で戦争をなくそうとするなら、「死にたくない」だけでは足りない
     「人を殺したくない」という気持ちこそが、はじめて戦争の抑止力となる

 《「死にたくない」だけでは足りない、「人を殺したくない」という気持ちこそが、はじめて戦争の抑止力となる》。
 恐ろしく暴走を繰り返し、番犬様の家来となり、戦争したくてしょうがないデンデン王国の「裸の王様」とその狂気・凶器な取り巻き連中。彼・彼女ら自公お維議員を支持できる神経が知れない。平和憲法は徳俵。壊憲へまっしぐらで、戦争法まで出来てしまう始末。そんなに、子や孫を「人殺し」に行かせたいものか。小泉純一郎氏やアベ様らが唱えた「非戦闘地域」の惨状は、南スーダンやイラクの日報を隠蔽・改竄・破棄してまで、隠したかったことだ。

 さて、沖縄との関係では、以下の記事が興味深い。《あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める。だから、あなたはもっと頑張りなさい》…という、三上智恵さんへの大激励。

   『●高畑勲監督より三上智恵監督へ、
      「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」
    「リテラの記事【高畑勲監督が沖縄の基地問題を描き続ける
     三上智恵監督と対談、安倍政権を止められない苦悩を吐露】
     (http://lite-ra.com/2017/04/post-3070.html)」
    《すると高畑監督は、「『火垂るの墓』のような作品では
     次の戦争は止められないあなたがつくっているような映画が、
     次の戦争を止める。だから、あなたはもっと頑張りなさい」と語ったという》
    「恐ろしく暴走を繰り返し、番犬様の家来となり、戦争したくてしょうがない
     デンデン王国の「裸の王様」とその狂気・凶器な取り巻き連中。
     彼・彼女ら自公お維議員を支持できる神経が知れない。
       高畑監督をして、《安倍政権を止められない苦悩》、
     《間近に迫る戦争をどうやったら止めることができるのか、自身の苦悩を吐露
     する一方で、《未だに「内閣支持率は52・4%》。
     そんな《苦悩》を感じない人が多数派らしい」

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http://lite-ra.com/2018/04/post-3933.html

高畑勲監督が最後に遺した無念の言葉「これで安倍政権が崩れないのが信じられない」「自由で公平で平和な国で死にたい」
2018.04.07

     (2017年4月、東京で行われた三上智恵監督との
      トークイベントでの高畑勲監督(撮影=編集部))

 『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』など、多くの作品を手がけた高畑勲監督が、5日、東京都内の病院で死去していたことがわかった。82歳だった。

 スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫は「やりたい事がいっぱいある人だったので、さぞかし無念だと思います」とのコメントを発表していたが、その無念のなかには、いま、この国に進行している事態を止められなかったという思いも含まれていたのではないだろうか。

 そのことをあらためて強く感じたのが、高畑監督の死去が報道されたあと、長い親交のあった映像研究家の叶精二氏が、ツイッター上で公開した年賀状だった。

 叶氏は〈昨年の元旦に高畑勲監督から頂いた年賀状です。20年来、毎年簡潔かつ独創的な賀状を頂くのが楽しみでした。これが最後の一枚。高畑監督のお叱りを受ける覚悟で、ご本人の一字一句をファンのみなさまと共有したいと存じます〉とのコメントとともに、2017年の正月に高畑監督から送られてきた年賀状を公開。そこにはこのような文章が書き添えられていた。

〈皆さまがお健やかに
 お暮らしなされますようお祈りします
 公平で、自由で、仲良く
 平穏な生活ができる国
 海外の戦争に介入せず
 国のどこにも原発と外国の部隊がいない
 賢明強靭な外交で平和を維持する国
 サウイフ国デ ワタシハ死ニタイ です〉

 しかし、現実の日本はいま、安倍政権によってまったく逆の状況が進行している。格差が激化し、国民の権利や自由が侵害され、原発がどんどん再稼動し、米軍基地は沖縄の人たちの生活を危険にさらし続け、海外への戦争介入や軍備増強の裏で、外交は弱体化の一途をたどっている。高畑監督の無念はいかばかりだろうか。


高畑監督が発言しつづけた「『火垂るの墓』では戦争を止められない」理由

 高畑監督は“戦争のできる国”づくりをなんとか止めようと、積極的に発言し、行動を起こしていた。

 2014年には特定秘密保護法に反対するデモに参加。その後もデモへの参加は継続しながら、15年の安保法制の際には講演会などでメッセージを発信し、また、沖縄基地問題にも精力的に関わっている

 16年には、実際に辺野古と高江に足を運んだほか、警視庁機動隊員の派遣中止を東京都公安委員会に勧告するよう求める住民監査請求に請求人のひとりとして参加。その年の年末には、高江ヘリパッド建設中止を求めるアメリカ大統領宛の緊急公開書簡の賛同者にも名を連ねた

 高畑監督をつき動かしていたのはもちろん、自らの戦争体験を通じた、戦争への恐怖だろう。1935年生まれの高畑監督は先の戦争で、その恐ろしさを嫌というほど体験している。小学校4年生のときには空襲を受けた。空襲の夜、焼夷弾が降り注ぐなか、高畑監督は姉と2人、裸足で逃げたのだ。爆弾の破片が身体に突き刺さり失神した姉を必死で揺り起こしたりもしたという。一夜明け、自宅のほうに戻ると、遺体だらけだったという体験も語っている。

 代表作である『火垂るの墓』があれだけ人々の感情を揺さぶり、高い評価を得たのも、そんな高畑監督のリアルな戦争体験と戦争への思いが強く反映されていたからだろう。

 だが、その高畑監督は近年、「『火垂るの墓』では戦争を止められない」と発言するようになっていた。

 『火垂るの墓』を観たときに多くの人が抱くのは、なんの罪もない幼い兄妹・清太と節子が戦争に巻きこまれ、死に追いやられることへのやり場のない怒りと悲しみだ。そして、やさしいはずの親戚さえ手を差し伸べなくなるという、戦争のもうひとつの恐ろしさを知る。死にたくない、殺されたくない、あんなひもじい思いは絶対にしたくない──そういう気持ちが生まれる『火垂るの墓』は反戦映画だと多くの人が認識しているし、実際、学校などでも「戦争という過ちを犯さないために」という理由で『火垂るの墓』が上映されることは多い。

 しかし、高畑監督は、もっとシビアに現実を見つめていた。神奈川新聞(15年1月1日付)のインタビューで、高畑監督はこう語っている。

「『火垂るの墓』は反戦映画と評されますが、反戦映画が戦争を起こさないため、止めるためのものであるなら、あの作品はそうした役には立たないのではないか

「攻め込まれてひどい目に遭った経験をいくら伝えても、これからの戦争を止める力にはなりにくいのではないか。なぜか。為政者が次なる戦争を始める時は「そういう目に遭わないために戦争をするのだ」と言うに決まっているからです。自衛のための戦争だ、と。惨禍を繰り返したくないという切実な思いを利用し、感情に訴えかけてくる」

 また、昨年4月、東京・ポレポレ東中野で行われた、映画監督・三上智恵氏とのトークイベントで同様に、こう語っていた。

「『火垂るの墓』のようなものが戦争を食い止めることはできないだろう。それは、ずっと思っています。戦争というのはどんな形で始まるのか。情に訴えて涙を流させれば、何かの役にたつか。感情というのはすぐに、あっと言うまに変わってしまう危険性のあるもの。心とか情というのは、人間にとってものすごく大事なものではあるけれども、しかし、平気で変わってしまう。何が支えてくれるかというと、やはり『理性』だと思うんです。戦争がどうやって起こっていくのかについて学ぶことが、結局、それを止めるための大きな力になる


森友、日報隠蔽…高畑監督「これで安倍政権が崩れないのは本当に信じられない」

 高畑監督が、感情による戦争への忌避感が反戦につながらないと考えたのは、おそらく、この国がもつどうしようもない体質に強い危機感を抱いていたからだ。勝手に空気を読み、世間の動きには逆らわず、その流れに身を任せていく。高畑監督はそれを「ズルズル体質」と呼んで警鐘を鳴らしていた。15年7月、東京都武蔵野市にて行われた講演会で高畑監督はこのように話している。

「政府が戦争のできる国にしようというときに“ズルズル体質”があったら、ズルズルといっちゃう。戦争のできる国になったとたんに、戦争をしないでいいのに、つい、しちゃったりするんです

「日本は島国で、みんな仲良くやっていきたい。『空気を読み』ながら。そういう人間たちはですね、国が戦争に向かい始めたら、『もう勝ってもらうしかないじゃないか!』となるんです。わかりますか? 負けちゃったら大変ですよ。敗戦国としてひどい目にあう。だから『前は勝てっこないなんて言っていたけれど、もう勝ってもらうしかない』となるんです」

 また、前掲神奈川新聞のインタビューでは、こう語っていた。

「『戦争をしたとしても、あのような失敗はしない。われわれはもっと賢くやる。70年前とは時代が違う』とも言うでしょう。本当でしょうか。私たちは戦争中の人と比べて進歩したでしょうか。3・11で安全神話が崩れた後の原発をめぐる為政者の対応をみても、そうは思えません。成り行きでずるずるいくだけで、人々が仕方がないと諦めるところへいつの間にかもっていくあの戦争の負け方と同じです

 そして、高畑監督はだからこそ、「ズルズル体質ストッパーとなる存在、つまり憲法9条にこだわっていた。高畑監督は、日本国憲法を勝手な解釈で骨抜きにし、さらには、その意義を根底から覆そうと企む安倍政権の動きに対して、このように語っていた。

「日本がずっとやってきた“ズルズル体質”や、責任を取らせない、責任が明確にならないままやっていくような体質が、そのまま続いていくに決まっている。そうしたら、歯止めがかからないのです。だから絶対的な歯止めが必要。それが、9条です(前掲した武蔵野市の講演会)

「『普通の国』なんかになる必要はない。ユニークな国であり続けるべきです戦争ができる国になったら、必ず戦争をする国になってしまう。閣議決定で集団的自衛権の行使を認めることによって9条は突如、突破された。私たちはかつてない驚くべき危機に直面しているのではないでしょうか。あの戦争を知っている人なら分かる。戦争が始まる前、つまり、いまが大事です。始めてしまえば、私たちは流されてしまう。だから小さな歯止めではなく、絶対的な歯止めが必要なのです。それが9条だった(前掲・神奈川新聞インタビュー)

 高畑監督の危機感と、護憲の姿勢は、けっして理想論ではなく、シビアでリアルな視点から出てきたものだ。だからこそ、高畑監督は精力的な作品づくりの一方で、アクティビストとしての活動を始めたのだろう。

 しかし、これだけの行動をとりながらも、その結果として、高畑監督が吐露したのは、圧倒的な「無力感」だった。前述した昨年4月の映画監督・三上智恵氏とのトークイベントでこのように語っている。

「なんとかしなきゃと言いながら、無力感が強いですね。安倍政権には(自衛隊南スーダン派遣の)日誌のことも、森友学園も、すごい不祥事が続いていて、でも、なんでそんなことになっているのかを考えたら、えらいことでしょう? 『政権を維持するため』ですよね、簡単に言えば。忖度であれ、なんであれ、どういうメカニズムかは知りません。もちろん、それは改善する必要があるんでしょうが、しかしどっちにしても、それを支えようという力があれだけ働いているのが露骨にわかるにもかかわらず、これで崩れないというのは、もうちょっと考えられない。本当に信じられない

 わたしたちは高畑監督が素晴らしいアニメーション作品を残してくれたことにあらためて感謝するとともに、この無念の言葉をもう一度、噛みしめる必要がある。

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226756

沖縄の現状に思い寄せ アニメ巨匠・高畑勲監督の“遺言”
2018年4月7日

     (高畑勲監督(C)共同通信社)

 肺がんのため5日に死去した、日本を代表するアニメーション監督・高畑勲さん(享年82)。終戦前後の混乱を生きる兄妹を描いた「火垂るの墓」などメッセージ性のある作品が多く、反戦・反核の人だったが、とりわけ強い思いを寄せていたのが沖縄の現状である。

 高江の米軍ヘリパッド建設の中止を求めて米大統領へ送った公開書簡の賛同者に名を連ねたり、ヘリパッド建設の警備に警視庁が機動隊員を派遣したことを「違法な公金支出」だとした住民訴訟の原告団にも加わった。

 2015年12月に沖縄大学で講演した際には、辺野古の新基地建設について「許し難いひどい話」、沖縄県に米軍基地の負担が集中していることについて「後ろめたい」などと話していた。琉球新報のインタビューでこう語っている。

「沖縄と政府は裁判になっているが、(沖縄は)当然のことをしている。私としては全部支持する」

「日本は70年間、戦争をせずに済んだ一方で沖縄を米国に提供して犠牲にし、日本は多額なお金を米国に提供してきた。米国は戦後、日本を軍隊として戦争に協力させたかったと思う。できなかったのは憲法9条を日本が持ち、それを支持した日本国民がいたからだ

沖縄が戦後ずっと大変な目に遭い続けてきたことが、日本に70年間の平和をもたらした。9条を日本国民が支持したから70年間平和になった、と簡単に言えないのではないか。『後ろめたい』とはそういうことだ」

 安倍政権の5年で、沖縄の“孤立”はますます深まった。9条改悪にも手を付けようとしている。高畑監督の言葉に、安倍首相も少しは耳を傾けたらいかがか。
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●宮崎駿監督「憲法を変えるなどもってのほか」

2013年07月24日 00時00分50秒 | Weblog


gendai.netの2つの記事http://gendai.net/news/view/108960。http://gendai.net/articles/view/syakai/143492)と東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013071990070335.html)。

 参院選はとても残念な結果になりました。原発推進派・壊憲派に好き勝手にされないように、監視が必要。

 とても嬉しかった。宮崎駿監督が「憲法を変えるなどもってのほか」と語ったそうだ。
 自公議員に投票した人や、選挙に行かなかった人にその声が届かなかったのが残念だ。でも、諦めず、今からなんとか巻き返さないと。「戦争できる国」「放射能でよその国に迷惑をかける国」にしてはいけない。

   『●戦争、環境破壊の最たるもの
    
     「題して「戦争絶滅受合(うけあい)法案」▼戦争の開始から
      十時間以内に、敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒を送り込む。
      順序はまず国家元首、次にその親族の男性、三番目は総理、
      国務大臣、各省の次官、そして国会議員(戦争に反対した議員を除く)、
      戦争に反対しなかった宗教界の指導者…▼妻や娘は従軍看護師として
      招集し、最前線の野戦病院で働く。権力を持つ者から犠牲になるなら、
      自らは安全地帯にいてナショナリズムをあおる政治家は姿を消すだろう

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http://gendai.net/news/view/108960

ジブリ宮崎駿監督がミニコミ誌で「改憲反対」のなぜ
2013年07月17日 16:48 更新

 スタジオジブリが無料で発行する冊子「熱風」(7月号)が話題となり、都内の書店では在庫切れが続出している。

 宮崎駿監督が、「憲法を変えるなどもってのほか」というタイトルで、戦争の愚かさと憲法改正反対の意思をつづっているのだ。

   〈憲法を変えることについては、反対に決まっています
    選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府がどさくさに紛れて
    思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほかです

   〈もちろん、憲法9条と照らし合わせると、自衛隊はいかにもおかしい。
    おかしいけれど、そのほうがいい。国防軍にしないほうがいい。
    職業軍人なんて役人の大軍で本当にくだらなくなるんだから

 さらに、徴兵制についても、

   〈……「徴兵制をやればいいんだ」というようなことを言う馬鹿
    出てくるんです。(中略)そういう人たちには、50歳でも60歳でも
    「自分がまず行け」と言いたいです。行きたくないなら、
    自分の息子を、息子がいなかったら孫を送れ。そうすれば、
    徴兵制というものが何だかわかるから

と歯に衣着せぬ物言いで持論を展開している。

 なぜ、監督は「憲法改正」について寄稿したのか。スタジオジブリに改めて取材を申し込んだが、「書かれていることがすべてです」という回答だった。

 ジブリ作品について、映画批評家・前田有一氏はこう言う。

   「最新作の『風立ちぬ』は、航空技術者の堀越二郎をモデルとした
    ゼロ戦の開発秘話を描いていますが、アメリカの飛行機を撃ち落とす
    などの場面は全くない。実在した人物を主人公に、エンジンの各部品の
    震え方まで正確に描いていた。アクションシーンを入れていたら、
    軍国主義を肯定しかねない描かないことが思想の発露になっているのでしょう」

 「宮崎駿全書」の著書がある映像研究家の叶精二氏はこう言う。

   「宮崎監督の作品は現在の状況から先を読んで、何を残していくべきか、
    どう向き合っていくかを描いている。憲法についてモノを言うのも
    同じなのでしょう。これまでの作品も、大津波のシーンがある
    『崖の上のポニョ』(08年)の後、東日本大震災が起こっているし、
    過去には放射能に汚染された世界を描いた『オンユアマーク』(95年)など、
    まるで原発事故を予想したかのような作品も残している。
    時代の先を読んでいますよね」

 選挙前に読んでおきたい。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/143492

米国人監督が見た改憲ニッポン

2013年7月18日

「映画 日本国憲法」が話題

   「我々は9条を改正し、その(自衛隊の)存在と役割を明記していく」――。

 安倍首相は歴史的大勝を確信したのか、ここにきて憲法9条の見直しを明言し始めた。

 自民党の改憲草案は、9条を変更し、自衛隊を「国防軍」にすることを掲げている。

 BS番組で「国防軍」について問われた石破幹事長は、出動命令に従わない場合、死刑や無期懲役といった重罰を科す軍事法廷の設置まで踏み込んでいた。
 もはや平和憲法は風前のともしびだ。

 多くの国民が危機感を抱いているからだろう。日本在住の米国人、ジャン・ユンカーマン監督が撮影し、05年に公開された「映画 日本国憲法」(製作・シグロ)に注目が集まっている。首都圏を中心に全国で再上映されているのだ。

 「アメリカの押し付け」「1週間で作られた」と批判される現憲法は、民主主義の「世界の理想」を反映したものだ。映画では、草案に関わった故ベアテ・シロタ・ゴードン氏らのそんな証言も盛り込まれている。

 ユンカーマン氏が言う。

   「自分が生きている間、米国はずっと戦争をしている。
    それがひとつもいいことにはつながっていない。でも、日本の平和憲法は
    軍国主義と違う。軍隊を持たずに強い国となる“模範”になると思っていた。
    残念ながら、今の日本は米国の軍隊に守られ、核の傘下に置かれている。
    いつか人類は、戦争のない未来を実現させると思っています。
    それなのに憲法9条を変えて強い軍隊を持とうとするのは、
    時代を逆戻りさせることです」


押し付けなどではなく「世界の理想」の反映

 憲法を変えれば、新たな緊張も生まれる。

   「世界で最も危険なのは中東ではなく、東アジアです。人口も、
    軍事的にも密度が高い。北朝鮮、韓国、中国、台湾に加えロシア、
    それと日本に基地を構える米国もいる。そんな中で9条を変えれば、
    どこかで必ず紛争が起きる。他国もますます軍事力を増やしかねないのです」

 自民党は50年前から進歩がない。

   「今回だって、誰が憲法改正をしたい? 自民党の一部、
    そのような考えを持つ人だけでしょう。それで改憲するのは、
    根本的に民主主義じゃない。必要なら国民が『変えて』と大きく声をあげ、
    政府に圧力をかけている。でも、今の日本は逆。世論調査を見ても、
    改憲を望む人は少数です」

 08年4月、名古屋高裁で「自衛隊イラク派兵は憲法違反」という控訴審判決が言い渡され、確定した。

   「あれから5年、また政権を取った自民党が、中国をはじめ東アジアとの
    緊迫感が高まる中で憲法改正を言い出すのはおかしい。
    多くの人が危険と感じています」

 疑問を持つのは米国人だけではないはずだ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013071990070335.html

改憲 もってのほか」 宮崎駿監督 いま声を大に
2013年7月19日 07時03分

 「憲法を変えるなどもってのほか」。スタジオジブリ(東京都小金井市)が、毎月発行している無料の小冊子「熱風」の最新号で「憲法改正」を特集し、宮崎駿監督(72)が寄せた記事が話題を呼んでいる。全国の書店では品切れが続出。ジブリ出版部は反響の大きさから、「参院選の投票日(二十一日)前に読んでほしい」と十八日、急きょジブリ公式ページで公開を始めた。 (樋口薫)

 熱風は「スタジオジブリの好奇心」が副題で、毎月趣向を凝らした特集を組む。過去には「デモ」「グローバル企業とタックスヘイブン(租税回避地)」など、社会的なテーマも扱ってきた。

 編集長の額田久徳さん(50)によると、今回の特集を発案したのはプロデューサーの鈴木敏夫さん(64)。意見の分かれるテーマだけにためらいもあったが、参院選を前に「ジブリとしての旗色を鮮明にしよう」と腹を決めた。

 執筆もジブリの重鎮に依頼。宮崎監督に加え、高畑勲監督(77)が「60年の平和の大きさ」と題して寄稿。本紙に五月、掲載された鈴木さんのインタビューも、「9条世界に伝えよう」として収録された。いずれも憲法九条や改憲手続きを定めた九六条の改憲に反対する内容だ。

 宮崎監督は談話形式の記事で「選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほかです」と明言。また、日本の戦争責任や産業構造の問題点などについても率直に語っている。

 十日から全国の書店で配布した約五千部はあっという間になくなった。出版部にも「読みたい」と電話が殺到するなど、過去最高の反響という。「憲法を守るための最大の敵は国民の無関心。興味を持ってもらえたのがうれしい」と額田さん。

 二十日に公開される宮崎監督の最新作「風立ちぬ」は、ゼロ戦の設計士が主人公で、戦前が舞台。戦争の直接的な描写はないが、平和について考えさせられる内容も含んでいる。「たくさん考えて投票に臨んでほしい」。それがジブリの願いだ。

スタジオジブリ> 宮崎駿、高畑勲両監督のアニメスタジオとして1985年設立。「天空の城ラピュタ」以降、「となりのトトロ」「もののけ姫」など、宮崎監督の全アニメ作品を製作。2001年公開の「千と千尋の神隠し」が米国でアカデミー長編アニメ賞を受賞するなど、作品は国内外で高い評価を受けている。

(東京新聞)
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