[※ 石川文洋さん 【NNN ドキュメント'19/平成ニッポンを歩く 報道カメラマン80歳 日本縦断】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/user_images/oa_190818.jpg)↑](2023年03月04日[土])
沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]桃太郎とゲン】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1106553)によると、《おばあさんが川へ洗濯に行くなんて、時代に合わない。もう「桃太郎」を子どもたちに教えるのはやめよう。だいたい、流れてきた桃は警察に届けるべきなのに、持ち帰る描写はまずいのではないか- ▼もちろん桃太郎はこういう批判を受けない。「はだしのゲン」は批判される。被爆地の広島市教育委員会が平和教育の教材からゲンの漫画を外すことを決めた ▼浪曲を歌うこまは「児童の実態に合わない」、池のコイを盗むこまは「誤解を与える」と外部識者が疑問視したのだという。どちらも家族を助けるためにゲンたちがやった。一家は戦争の愚かさを批判し、「非国民」扱いされて窮乏していた…》。
(大弦小弦)《もう「桃太郎」を子どもたちに教えるのはやめ》るべきなのか? 広島市教育委員会は正気なのかね? 《外部識者が疑問視》? 《教員や大学教授、平和記念資料館の職員ら“有識者”が決めたという》…一体誰??
『はだしのゲン』を書いた中沢啓治さんの想いは、
「「きれいな戦争というのはないんだ。戦争の残酷な実態を
知らせなければ、子どもに戦争というものが伝わらない」。
戦争の恐ろしさに小さな頃から触れ、大人になって戦争を
防ぐ方法をじっくり考えてほしいというのは、
死ぬまで変わらぬ思い」
だったそうです。
『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である』
『●「はだしのゲン」中沢啓治さん、亡くなる』
《1963年のデビュー当初は原爆体験を秘していたが、66年の
母の死への憤りをきっかけに、初めて原爆を題材にした作品
「黒い雨にうたれて」を発表した》
《◆福島第一事故でも訴え 人間、制御できない》
《昨年八月、広島市の平和記念式典に初めて出席した。その直前には、
福島第一原発事故の放射性物質流出を恐れる被災者を、放射能を含む
黒い雨にぬれて「いつ病気になるのか」と不安を抱えた自身と
重ねながら、「黒い雨は今も世界に降り続けているんです」と、
核利用がなくならない状況を嘆いていた》
『●『はだしのゲン』中沢啓治さんの新たな遺稿が見つかる』
『●「国家と教育」『週刊金曜日』
(2013年3月22日、936号)についてのつぶやき』
「岩本太郎氏【ヘイトデモの次段階 個人や各自治体が攻撃の新たな
矛先に】、「そこでさっそく表面化したのが、松江市の…
『はだしのゲン』閲覧制限問題。背景には、高知市の在特会関係者
による松江市教委への抗議活動があった・・」」
『●情けないオトナ達: コドモへの『はだしのゲン』閲覧制限事件』
「下村文科相、閲覧制限を容認 はだしのゲン「配慮必要」」
『●コドモに見せないようコッソリ画策する
情けないオトナ達: 中沢啓治さんの想い』
『●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」
『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき』
「編集部【練馬区民が閲覧制限請求に抗議の署名提出
『はだしのゲン』を隠すな】、神田香織さんと佐高信さん、
「…を隠して、どんな子どもを育てたいのか、
どんな社会にしたいのか」?」
『●『DAYS JAPAN』(2013,DEC,
Vol.10,No.12)の最新号についてのつぶやき』
「斎藤美奈子さん…【OUTLOOK 安倍自民党が陰で糸引く
学校現場への政治介入】、「「はだしのゲン」排除問題」
「実教出版締め出し問題」「育鵬社採択問題」「東京都副読本問題」」
『●肥田舜太郎さん「せめて未来の子どもたちのために、
放射能の心配のない日本を残していけるよう…努力」を』
『●アベ様の「政」の下、「護憲派に集会の会場を
貸さない自治体が増え…。自治体こそ市民への忖度を怠るな」』
《過去には図書館で漫画「はだしのゲン」の閲覧をさせないように
する動きがあったり、同年には「東京都美術館で展示中の造形作品が
政治的だとして、美術館側が作家に作品の撤去や手直しを求めていた
ことが発覚」したこともあった。こんな出来事が全国で続いた》
『●沖縄戦《証言者の萎縮、戦争の教訓継承の妨げ》…「戦争屋」が政権を
持っている社会では愚者がヘイトをまき散らし、暴力で歴史を歪める』
《<金口木舌>沖縄戦体験者への冒涜 …小学生のころ、原子爆弾の
悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」(中沢啓治作)を読み、
戦争の脅威を具体的に想像するようになった。絵の力は大きい。
戦争に反対する主人公一家を非国民と迫害した軍国主義の恐ろしさも
伝える》
《▼「はだしのゲン」を巡っては2013年、「史実の誤り」との陳情を
きっかけに島根県松江市内の学校図書館から排除しようとする動き
があった。のちに反発を受けて撤回された。次世代の目や耳も標的
となっている》
『●長崎を含めたすべての人々の《幅広く速やかな救済を願う。まず考える
べきは新たな線引きではなく、雨にぬれた人へのいたわりであろう》』
核廃絶どころか、広島で《消える「はだしのゲン」》。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/広島の学校教材から消える「はだしのゲン」】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302180000053.html)によると、《その間、米国、スペイン、最近ではロシアなど世界24カ国で翻訳され出版されている。「はだしのゲン」は子供ながらにきつい模写や怖いシーンを見て平和や戦争の悲惨さ、原爆の怖さを学ぶものだ。浪曲やコイを盗むことが理解できないからと読むのをやめることなどない。子供も世界の読者もこの漫画の本質が分かっているからで、それならば世界で翻訳されるわけがない。広島の判断は残念でならない》。
東京新聞の記事【こちら特報部/「はだしのゲン」の何が問題視されたのか 広島市教委の平和学習教材から外された理由】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/231806?rct=tokuhou)によると、《広島市教育委員会は、市立小学校3年生向けの平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」を、2023年度から削除し、別の被爆者体験談に差し替えることを決めた。理由は「被爆の実相に迫りにくい」からだという。原爆の恐ろしさを伝える世界的な名作「ゲン」への評価としては首をかしげたくなるが一体、何が問題なのか。(宮畑譲)》。
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【https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302180000053.html】
コラム
政界地獄耳
2023年2月18日7時30分
広島の学校教材から消える「はだしのゲン」
★首相・岸田文雄が政治生命をかけ、5月19日から開催される広島サミット。超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」はサミットまでに「LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法」を成立させる努力をすると15日に開いた議連で確認した。またウクライナのゼレンスキー大統領もサミットの参加に意欲的と報道され、岸田の考える被爆地・広島で世界の首脳たちが集い、平和や非核が語られるという思惑は世界の注目となった。
★ところが、その広島の教育委員会は広島市立の小中高校で教材として10年前から掲載されてきた漫画「はだしのゲン」が「被爆の実相に迫りにくいと判断した」としてこの4月から別の教材に差し替わる。教員や大学教授、平和記念資料館の職員ら“有識者”が決めたという。漫画の中に出てくる「街角で浪曲のまね事をして小銭を稼ぐ場面。栄養不足で倒れた身重の母親に食べさせようと、池のコイを盗むシーン」が「なぜコイを盗むのか。浪曲とは何か。子どもたちに説明しなければいけない。それで本質に近づくための説明が増える」からやめるという。
★「はだしのゲン」は13年ごろ、反戦色が濃く戦争や被爆の模写がきついなど「間違った歴史認識を植え付ける」という声が上がり、全国の図書館から撤去する動きが高まった。児童が読めないように閉架扱いにしろとか、貸し出し禁止にせよ、有害図書に指定せよといったものだ。これらは結果、多くの自治体の議会で否決されたり、図書館が図書の自由を守るために戦い、大筋で事なきを得た。その間、米国、スペイン、最近ではロシアなど世界24カ国で翻訳され出版されている。「はだしのゲン」は子供ながらにきつい模写や怖いシーンを見て平和や戦争の悲惨さ、原爆の怖さを学ぶものだ。浪曲やコイを盗むことが理解できないからと読むのをやめることなどない。子供も世界の読者もこの漫画の本質が分かっているからで、それならば世界で翻訳されるわけがない。広島の判断は残念でならない。(K)※敬称略
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/231806?rct=tokuhou】
こちら特報部
「はだしのゲン」の何が問題視されたのか 広島市教委の平和学習教材から外された理由
2023年2月18日 12時00分
(世界中で親しまれている「はだしのゲン」。
すでに23言語に翻訳されている)
広島市教育委員会は、市立小学校3年生向けの平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」を、2023年度から削除し、別の被爆者体験談に差し替えることを決めた。理由は「被爆の実相に迫りにくい」からだという。原爆の恐ろしさを伝える世界的な名作「ゲン」への評価としては首をかしげたくなるが一体、何が問題なのか。(宮畑譲)
【関連記事】「戦争は女の顔をしていない」漫画でヒット 「ゲン」「火垂る」に続く定番に
◆「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」
同市の全小中学校、高校では、2013年度から平和教育プログラムが始まり、市教委が学齢に応じて作った教材「ひろしま平和ノート」が使われている。
「はだしのゲン」は小学校3年生向けの教材に掲載。家計を助けようと浪曲を歌って小銭を稼いだり、栄養不足で体調を崩した母親に食べさせようと池のコイを盗んだりするシーンが引用されている。家屋の下敷きになった父親がゲンに逃げるよう迫る場面も使われてきた。
だが、13年度のプログラム開始後、市教委が設置した大学教授や学校長による会議が教材の改定を検討する中で、引用された漫画の場面が「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」「コイ盗みは誤解を与える恐れがある」などの指摘が出ていたという。
市教委の高田尚志指導第1課長は「ゲンは市民に広く読まれており、市にとって大切な作品という認識は変わらない」としつつも、「漫画の一部を切り取ったものでは、主人公が置かれた状況などを補助的に説明する必要が生じ、時間内に学ばせたい内容が伝わらないという声があった」と説明。23年度版からはゲンの掲載をやめ、被爆者の体験を親族に聞き取って再構成した教材を使うという。
◆総発行部数1000万部、アニメやミュージカルにも
「はだしのゲン」は、広島に投下された原爆で父や姉、弟を亡くした少年・中岡元が、たくましく生き抜く姿を描く長編漫画。1973(昭和48)年から87年にかけ、「週刊少年ジャンプ」などで連載された。故中沢啓治さんが、自らの被爆体験を基に描いた。
愛蔵版などを含めた総発行部数は1000万部を超える。エンターテインメントとしても評価され、アニメやミュージカルにもなった。多数の言語に翻訳されていて、2007年には、核拡散防止条約(NPT)の委員会で日本政府が英訳版を配布する一幕もあった。
それだけに今回、作品が平和教材から消えることのショックは小さくない。
中沢さんの妻ミサヨさん(80)は「市教委が決めたことだから仕方がない」としつつ、残念さをにじませた。中沢さんは、原爆の悲惨さをどう描けば子どもたちに伝わるか、面白く読んでもらえるか、必死に掘り下げて考えながら一コマ一コマ描いていたといい、教材に採用されることを知った時は喜んでいたという。
ミサヨさんは「これまで子どもに親しまれていて、理解してくれていると思っていた。物語で描いているから、全部読んでもらえば、戦争の悲惨さやなぜ戦争が起きたかも分かってもらえると思う」と話す。
◆子どもの世界を広げるのが教育なのに…
「はだしのゲンは多くの人に読まれてきた社会的価値のある作品」と評価する名古屋大の中嶋哲彦名誉教授(教育行政学)は「授業で使うことで作品を読むきっかけになり、学習が広がる。子どもの世界を広げていくのが教育。切り出した場面が分かりにくければ、違う場面を使う方法もあったのでは」と指摘する。
ゲンを巡っては12年、松江市教委が「描写が過激」として、学校図書館の倉庫に移して閲覧を制限するよう市内の小中学校に要請し、後に撤回する騒動もあった。この件も踏まえ、中嶋氏は「今回のことをきっかけにして、学校からゲンがなくなることにつながってはいけない。これまで以上に学校図書館に置いてあるといったことをアピールしていくべきだ」と話す。
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asahi.comの記事が二つ、【「ゲン」なぜ消えた 市教委の判断急変、議会意識し焦り】(http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270022.html?ref=com_top6)。【「戦争の残酷さ知らせねば」 ゲン描写へ中沢氏の思い】(http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270021.html)。
『●情けないオトナ達: コドモへの『はだしのゲン』閲覧制限事件』
やはりというべきか、〝とある暴力集団〟関係者が絡んでいたらしい。
『●「言論の暴力」の一線を超えた暴力を行使する〝とある暴力集団〟』
『●「日本の恥と呼ぶべき存在」』
『●「言論の自由」と、「言論の暴力」をも超える行為』
『●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている』
『●冷たい国: 国が経産省前テントひろばの撤去を訴え裁判を起こす』
議会は否決したにもかかわらず、教育委員会の委員に相談することもなく、事務局サイドが閉架した、という手続きの不備で「『はだしのゲン』閲覧制限事件」を矮小化して落着させたいようだ。あとで、教育委員会も知っていた、なんてことにならなければいいですけどね。それに、問題は手続き論じゃない、と思いますよ。
『はだしのゲン』を書いた中沢啓治さんの想いは、
「「きれいな戦争というのはないんだ。戦争の残酷な実態を
知らせなければ、子どもに戦争というものが伝わらない」。
戦争の恐ろしさに小さな頃から触れ、大人になって戦争を
防ぐ方法をじっくり考えてほしいというのは、死ぬまで変わらぬ思い」
だったそうです。
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【http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270022.html?ref=com_top6】
2013年8月27日19時1分
「ゲン」なぜ消えた 市教委の判断急変、議会意識し焦り
漫画「はだしのゲン」の閲覧制限は、松江市教育委員会事務局の手続きに不備があったという理由で撤回された。同市内の小中学校の図書室から「ゲン」が消えるまでに何があったのか、検証した。
■市教委、「重要な教材」から一転
「子どもに間違った歴史認識を植え付ける」
松江市教委が「ゲン」について「対応」を始めたのは、昨年4~5月、当時市内在住の自営業男性(35)が3回にわたり市教委を訪れ、小中学校の図書館からゲンを撤去するようしつこく求めたことだった。
うち1回は、京都市の朝鮮学校の授業を街宣活動で妨害した事件で有罪判決を受けた「在日特権を許さない市民の会」の元幹部らが同行。男性らはその様子を動画投稿サイトに投稿し、それを見た人たちから市教委に抗議電話が殺到するなど、「一時は業務がマヒ状態になった」(教育総務課長)。
だが、この時点では市教委事務局にゲンを問題視する考え方はなかったという。「はだしのゲンは平和学習の重要な教材であり、外部の圧力から守ることで一致していた」(当時の教育長)。市教委は警察にも対応を相談していた。
・・・・・・。
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【http://www.asahi.com/national/update/0827/OSK201308270021.html】
2013年8月27日23時46分
「戦争の残酷さ知らせねば」 ゲン描写へ中沢氏の思い
【聞き手・武田肇】松江市教委事務局が「暴力的で過激な描写」と問題視し、閲覧制限を求める理由としたのは「はだしのゲン」10巻に登場する旧日本軍兵士の中国戦線での行為にかかわる描写だった。昨年12月に死去した中沢啓治さんはこの場面をどんな思いで描いたのか。中沢さんのそばにいて、「ゲン」の背景描きを手伝った妻のミサヨさん(70)が朝日新聞に語った。
検証…「ゲン」なぜ消えた
兵士が中国人男性の首を面白半分に切り落とす。妊婦のおなかを切り裂き、赤ん坊を引っ張り出す――。今から30年近く前、主人がこの場面を描いたとき、私もショックを受け「残酷すぎるのでは」と言いました。主人の答えは「きれいな戦争というのはないんだ。戦争の残酷な実態を知らせなければ、子どもに戦争というものが伝わらない」。戦争の恐ろしさに小さな頃から触れ、大人になって戦争を防ぐ方法をじっくり考えてほしいというのは、死ぬまで変わらぬ思いでした。
自分が体験した被爆の場面でも、いろんな資料を集めて描いていましたが、体験のない戦場の場面を描くときは、特に多くの資料や文献を読み込んでいました。描けば批判が来ると覚悟していました。「ゲンはぼくの思いを託しているのだから、ヘンなことは描けないんだ」と言っていました。
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asahi.comの書評のページに出ていた記事(http://book.asahi.com/booknews/update/2013021900010.html?ref=comtop_fbox_u)。
昨年末亡くなった中沢啓治さんの遺稿が見つかったという記事。
『●「はだしのゲン」中沢啓治さん、亡くなる』
『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である』
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【http://book.asahi.com/booknews/update/2013021900010.html?ref=comtop_fbox_u】
「はだしのゲン」続きあった 中沢さん自宅に新たな遺稿
[文]後藤洋平、小玉重隆 [掲載]2013年02月15日
昨年12月に73歳で亡くなった漫画家、中沢啓治さんの未完成の作品となった「はだしのゲン」第2部の新たな遺稿が見つかった。広島平和記念資料館に寄贈されている未発表作品は16ページまでだが、続く17~32ページが埼玉県所沢市にある自宅の仕事場に残されていた。
今年1月、遺品を整理していた中沢さんの妻ミサヨさん(70)が、作業机の辺りで見つけた。A3用紙を半分に折り、表裏を使って1枚あたり4ページ。計4枚で鉛筆書き。絵を書き込む位置などは大まかに示されているが大半がせりふとコマ割りのみだった。
これまで明らかになっている16ページまでの物語は、漫画家になるため上京したゲンが、盗みを働こうとした男児と知り合う場面で終わっていた。新たに見つかった遺稿では、知り合ったこの男児と、ゲンとの切ないやりとりが描かれていた。
男児は東京大空襲で両親を奪われた孤児。ともに生き延びた妹も栄養失調で亡くし、「こんなおれが生きのこるためにはドロボーをするしかないだろう。だれも助けてくれないんだから」と独白を続ける。ゲンは「わかるよ。わしも広島のピカで同じ思いをしたけえのう……」と被爆体験を重ねる。全財産が入った財布から千円を取り出して渡そうとしたところ、財布ごと奪われてしまった。
最後の32ページ目は、孤児を追いかけたものの逃げられたゲンが、「わ、わしは一文なしになってしもうた……一文なしに……」とのセリフで終わっていた。
ミサヨさんによると、第2部の執筆は17~18年前に出版社から打診があり、中沢さんも承諾。漫画家を目指したゲンがその夢をかなえ、海外を旅するその過程を描く構想だったという。今回見つかったものと併せて第2部の遺稿は、当時描かれたものとみられる。
ところが、執筆を始めた直後に右目の眼底出血と診断され、出版を断念。ミサヨさんによると、中沢さんは「それぞれの人の心の中で、ゲンの続きを想像してほしい」と話していた。「本人はすごくショックを受けていたように見えた」
中沢さんは2009年、白内障のため断筆を宣言。原画の劣化などを心配し、段ボール30箱以上に及ぶ作品の大半を広島平和記念資料館に寄贈した。未発表だった16ページ目までの遺稿は同館が所蔵し、4ページのコピーが今年1月に一般公開されたばかり。16ページまでのうち、絵が描かれていたのは冒頭の1枚のみだった。
中沢さんからの寄贈品の担当をする同館啓発課の菊楽忍さん(54)によると、中沢さんは、第2部のあらすじについて「東京大空襲で両親を亡くした孤児と仲良くなるんだ」と語っていたという。「続きがあって、とてもうれしい」と話した。ミサヨさんは3月にも広島市を訪れ、同館に寄贈するつもりだ。
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asahi.comに出ていた訃報(http://www.asahi.com/obituaries/update/1225/OSK201212250011.html)、および、東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012122590135447.html)。
当時、小学校の先生が「はだしのゲン」を教室に備えてくださっていた。青木先生、有難うございました。それが無ければ、出会っていなかったかもしれません。興味も持たなかったかもしれません。多くの同級生が幼いながらも、真剣に読んでいた記憶があります。
中沢啓治さんに感謝し、ご冥福をお祈りすると同時に、「原子力=核」の思いを新たにしました。
『●嘘吐きと本音』
『●破綻した核燃サイクル: なぜ核分裂性プルトニウムをため込むのか?』
『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である』
『●小出裕章さん、核=原子力は「違憲」という視点』
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【http://www.asahi.com/obituaries/update/1225/OSK201212250011.html】
おくやみ・訃報
2012年12月25日8時22分
漫画家の中沢啓治さん死去 「はだしのゲン」作者
自分の被爆体験を元にした漫画「はだしのゲン」で有名な漫画家・中沢啓治(なかざわけいじ)さんが19日、肺がんのため、広島市内の病院で死去した。73歳だった。葬儀は本人の意向で行わなかった。
中沢さんは広島市出身。6歳の時、爆心地から1.3キロの同市内の国民学校前で被爆。父と姉、弟を失い、直後に生まれた妹もまもなく亡くなった。中学卒業後、漫画家を志して上京。1963年のデビュー当初は原爆体験を秘していたが、66年の母の死への憤りをきっかけに、初めて原爆を題材にした作品「黒い雨にうたれて」を発表した。
73年に、週刊少年ジャンプ(集英社)に連載を始めた自伝的作品「はだしのゲン」は単行本だけで650万部を超すベストセラーになり、10カ国語以上に翻訳された。2009年には「ゲン」を含む全作品の原画を広島平和記念資料館に寄贈。近年は白内障で漫画の筆を折ったが、被爆体験を語る講演に精力的に取り組んでいた。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012122590135447.html】
核廃絶 ゲンに託す 中沢啓治さん死去
2012年12月25日 13時54分
原爆投下後の広島を生きる少年を描いた「はだしのゲン」で知られる漫画家の中沢啓治(なかざわ・けいじ)さんが、肺がんのため十九日午後二時十分に広島市内の病院で亡くなっていたことが二十五日分かった。七十三歳だった。広島市出身。自宅は埼玉県所沢市。近親者のみで家族葬を済ませた。喪主は妻ミサヨさん。
◆福島第一事故でも訴え 人間、制御できない
中沢啓治さんは晩年、がんなどに苦しみながらも、作品で訴えた原爆の悲惨さを教訓として伝える活動を精力的に続けた。昨年三月の東京電力福島第一原発事故後には、本紙の取材に「まだまだ人間が制御できるレベルではない。つらくても、記憶と、建物などの跡を子々孫々に伝えていかなければ」と訴えていた。
二〇〇八年の本紙インタビューでは、原爆投下直後の広島で腕の皮膚を垂らして歩く人らを見た体験を証言。戦後に母親が亡くなった際、ぼろぼろの遺骨を見て原爆や戦争への怒りが噴き出したと、「はだしのゲン」執筆の動機を語った。
「はだしのゲン」の魅力では、一生懸命に生き抜く人の姿を描いた点を挙げ、「何回踏まれても大地に根を張り真っすぐに伸び、豊かな穂を実らせる『麦』がテーマ」などと話していた。
昨年八月、広島市の平和記念式典に初めて出席した。その直前には、福島第一原発事故の放射性物質流出を恐れる被災者を、放射能を含む黒い雨にぬれて「いつ病気になるのか」と不安を抱えた自身と重ねながら、「黒い雨は今も世界に降り続けているんです」と、核利用がなくならない状況を嘆いていた。
(東京新聞)
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