Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●東京電力の下請け、孫請け、ひ孫請け…核発電人災の後始末や廃炉作業に《特定技能の外国人の雇用》か?

2019年04月29日 00時00分09秒 | Weblog


東京新聞の記事【福島第一、廃炉に特定技能外国人 東電受け入れへ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201904/CK2019041802000279.html)。
リテラの記事【東電と安倍政権が福島原発の廃炉作業を外国人労働者に押しつけ!「特定技能」制度を利用し被曝リスクと搾取の劣悪労働】(https://lite-ra.com/2019/04/post-4667.html)。

 《福島第一では、東電や協力企業の社員が一日平均で計約四千人働いている。東電の広報担当者は「特定技能の外国人の雇用は協力会社の判断であり、具体的に雇用規模などが決まっているわけではない。発注元としてしっかり管理したい」と話している》。
 《本日、驚くべきニュースが報じられた。東京電力ホールディングスが、福島第一原発の廃炉作業などに新たな在留資格である「特定技能」の外国人労働者を受け入れる方針を示したのだ。これまでの外国人技能実習制度では、廃炉作業は「一般的に海外で発生しうるものではない」として受け入れは認められていなかった》。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」…
                  未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権

 東京新聞の記事【廃炉に特定技能外国人 東電方針、安全策に懸念】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019041902000145.html)によると、《東京電力ホールディングスは…四月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を福島第一原発(福島県)の廃炉作業などで受け入れる方針を明らかにした。核燃料が溶け落ちた原発構内で最も懸念されるのが作業員の被ばくだ。防止策は徹底されるのか、日本語が意思疎通の壁にならないか。具体策は見えない》。

   『●政界地獄耳《入管法改正…移民法…
     お寒いほどのスカスカの内容で、つまり法案といえるものではない》

 《法務省によると、廃炉作業への技能実習生の受け入れは「習得した技術を母国で役立てる」という制度の趣旨に合致しないとして、認めていない》とは言うけどね…。東電の下請け、孫請けひ孫請け…核発電人災の後始末や廃炉のために、《お寒いほどスカスカの内容な》法の下、《特定技能の外国人の雇用》? 東電やアベ様らは正気? 《廃炉への道のりは険しく遠い。あらためてつくづく思う。この国で大変なことが起きてしまった起こしてしまったと》…そんなニッポンの核発電人災の後始末や廃炉の現場で、奴隷労働させるつもり? 《原発での作業は建設業での受け入れが主となる見通し》だそうだけれど、東電が知らぬ間に、ねぇ? 御得意の《忖度》するんじゃないの?
 まず東電上層部の人々や自公お維の議員の先生方が現場で「特定技能」を発揮すべきではないのか?

 以下は最近のつぶやきから:

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◆昔のブログ 『●「原発崩壊」樋口健二さん写真展』/「原発の安全神話に早くから批判の目を向けてきた樋口健二さん。下請け原発労働者の被爆問題にも早くから取り組んでおられた。そのような被爆労働や労働者なくして成り立たない社会や原発労働環境の異常さ」(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/bf3e52d6de493f4a7f7a5298cba5abbf

◆昔のブログ 『●原発を稼働させるということ=誰かの犠牲の上でしか成り立たない社会』/「こんなことをやっていても、「放射能の直接的な影響で死んだ人は一人もいない」らしい。電力会社はそう嘯いている…【線量計に鉛板、東電下請けが指示 原発作業で被曝偽装】」(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/42020e767b8a0d90e5641e9a213cc15a

◆昔のブログ 『●非常時だけでない、恒常的な被爆労働・犠牲でしか成り立たない原発という特殊な発電システム』/《累積被ばく線量を偽装…ごまかし…。下請け、孫請けひ孫請け…。末端の原発労働に近づくほど、日雇いや非正規労働者が増え、危険にさらされる》(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2d6cd96b0f17151029f173753e33fc0c

◆昔のブログ 『●本当に大飯原発を再稼働させて良かったのか?』/「大飯原発の幹部らがのうのうと生活し、逆に原発下請や孫請け労働者が差別的に過剰に被爆させられている。これは原発人災のような非常時だけでなく、恒常的にそういう状態にあることが想像され…」(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a368a5cefc3ba72d21dadf9104bf9386

◆昔のブログ 『●「原子力」と「核」、言葉は違えど「原発=原爆」である』/「非常時だけでなく、恒常的に労働者を被曝させなければ原子力発電は成り立たない。しかも、それは電力会社の幹部ではなく、下請けや孫請けの弱い労働者である。「たかが電気のために」…」(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c2a811b05802d42660b96fcf4048999c

◆昔のブログ 『●東京電力の体質は変わらず』/「山岡俊介さん【加入組合をたらい回しーー未だ原発労働者の“中間搾取”を放置し続ける「東京電力」(Ⅰ)】《大手ゼネコンが元請→下請け→孫請け→ひ孫請け→現場労働者といった多重請負構造賃金の中抜きをやり易く…》」(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a5407155a54f491a9397630a774bfa25
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201904/CK2019041802000279.html

福島第一、廃炉に特定技能外国人 東電受け入れへ
2019年4月18日 夕刊

 東京電力ホールディングスは十八日、四月から始まった新たな在留資格「特定技能」の外国人労働者を、福島第一原発(福島県)の廃炉作業などで受け入れる方針を明らかにした。再稼働を目指す東電の柏崎刈羽原発(新潟県)の工事でも受け入れる考え。建設業界では人手不足が深刻で、大手電力や建設会社は作業員の確保に苦労しており、全国の原発に波及する可能性がある。

 東電は協力会社数十社向けの会議で、特定技能の外国人受け入れについて既に説明した。対象業種は廃炉作業に関連する「建設」や「電気・電子情報関連産業」のほか、事務棟などでの仕事となる「ビルクリーニング」や「外食業」が該当するとした。

 廃炉作業では被ばくの防止が重要なため、線量計の携帯が必要な放射線管理区域では、放射線や作業手順に関する正しい理解が必要で、日本語での指示を正確に理解できる能力を持っていることが必要だと伝えたという。

 福島第一では、東電や協力企業の社員が一日平均で計約四千人働いている。

 東電の広報担当者は「特定技能の外国人の雇用は協力会社の判断であり、具体的に雇用規模などが決まっているわけではない。発注元としてしっかり管理したい」と話している。

 福島第一を巡っては、国際貢献が主目的の外国人技能実習生が、施設内の建設作業に従事したことが昨年発覚。東電が、福島第一の廃炉作業は特殊で国際貢献にならないとして、協力企業に対し是正を求めた問題もあった。特定技能外国人の活用が可能なことは法務省に確認済みだという。

 法務省によると、廃炉作業への技能実習生の受け入れは「習得した技術を母国で役立てる」という制度の趣旨に合致しないとして、認めていない


<特定技能> 少子高齢化などを背景とした人手不足に対処するため、国が4月1日施行の改正入管難民法で創設した外国人の新たな在留資格。建設や農業など14業種が対象。「1号」の取得には、就労分野の一定の技能と日常会話程度の日本語能力が必要。在留期限は通算5年で家族帯同は認められない。熟練技能が必要な「2号」は在留期間の更新や家族帯同が可能だが、当面は受け入れを建設業と造船・舶用工業に限る。原発での作業は建設業での受け入れが主となる見通し
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https://lite-ra.com/2019/04/post-4667.html

東電と安倍政権が福島原発の廃炉作業を外国人労働者に押しつけ!「特定技能」制度を利用し被曝リスクと搾取の劣悪労働
2019.04.18 10:58

     (東京電力ホールディングスHPより)

 今月1日、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行されたが、本日、驚くべきニュースが報じられた。東京電力ホールディングスが、福島第一原発の廃炉作業などに新たな在留資格である「特定技能」の外国人労働者を受け入れる方針を示したのだ。

 これまでの外国人技能実習制度では、廃炉作業は「一般的に海外で発生しうるものではない」として受け入れは認められていなかった。だが、東電の方針を本日の朝刊でいち早くスッパ抜いた朝日新聞の記事によると、東電が特定技能について法務省に問い合わせた結果、「新資格は受け入れ可能日本人が働いている場所は分け隔てなく働いてもらうことができる」(東電広報担当)と判断したのだという。

 この決定の背景には「深刻な人手不足」があると言うが、その大きな要因のひとつとなっているのは、東京五輪開催に伴い建設業界などを中心に人手が取られているということ。復興や廃炉作業の足を引っ張っておいて復興五輪安倍首相はよく言えたものだ

 そしてもうひとつは、原発作業員に対する給与の“ピンハネ”の横行だ多重下請け構造のなかで、違法な雇用契約、複数の会社による中間搾取によって日当や危険手当がきちんと払われていないという事例は数多く、危険と隣り合わせの作業を余儀なくされるにもかかわらず劣悪な労働環境が指摘されてきた。

 こうした原発作業員をめぐる状況を改善するのではなく、外国人労働者に押し付ける──。安倍首相は外国人労働者受け入れ拡大の改正案審議の際に「外国人材のみなさんは人間として受け入れる」と明言したが、さんざん懸念が示されてきたように、結局、実態は「安く使い倒せる労働力」として扱おうというのだ。これは、まさしく“奴隷労働”ではないか。

 しかも、原発作業員として外国人労働者を受け入れることで、労働環境の劣悪さが助長させることは目に見えている。

 たとえば、昨年、外国人技能実習生に除染作業をさせていたことが判明したが、このとき監理団体は技能実習生に「仕事は簡単」「誰でも出来る」としか説明していなかったという。一方、特定技能1号では、「日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」で5段階のうち4番目にやさしいレベルの「N4」(ややゆっくりの会話であれば、ほぼ理解できるレベル)での合格が必要となるが、廃炉という危険が伴う作業についてしっかり意思疎通をはかることが現場で徹底されるのか。技能実習生の除染作業従事問題の一例をとっても不安しかないだろう。

 何より問題なのは、被曝線量の把握だ。国外の原発で働いて被曝した場合、被曝線量は労働者が自己申告しなければならないというが、今朝の朝日新聞では、廃炉作業に従事し『福島原発作業員の記』の著者でもある池田実さんが「日本人ですら、被曝による労災申請の方法はよく分からず、ためらう。外国人ではなおさらではないか」と懸念を示している。


■国連人権理事会でも「被爆のリスクと搾取」が問題視された福島原発作業

 しかも、昨年、国連人権理事会の特別報告者は「除染などのために雇われた労働者には、移民労働者やホームレスが含まれていると伝えられている」「被ばくのリスクに加え、経済的な理由から危険な労働条件を受け入れざるを得ない状況適切な訓練や防護措置が取られているかについて非常に懸念している」と声明を公表し、日本政府に対応を求めた。しかし、外務省は「政府として真摯に対応してきた。一方的な申し立てに基づく声明は、いたずらに不安をあおり混乱を招く」と反論した(東京新聞2018年8月17日付)。

 国連から原発作業について緊急の対応を求められても逆ギレして返すだけの日本政府──労働者の安全性の確保にまったく配慮を見せないこのような姿勢のまま廃炉作業への受け入れがはじまれば、外国人労働者がどんな危険に晒されるのかは火を見るより明らかだ

 徴用工問題では歴史を無視してヒステリックに「解決済み」と叫ぶ安倍政権だが、近い将来、原発作業をめぐっても従事させられた外国人労働者からの損害賠償請求などが起こり、国際問題に発展することも考えられる。安倍首相は法案審議でも外国人労働者の人権を軽視しつづけたが、このままでは世界から軽蔑される国になることは間違いないだろう。

(編集部)
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●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」…未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権

2019年04月28日 00時00分40秒 | Weblog


Youtubeの映像資料【20190330 UPLAN 小出裕章「フクシマ事故8年 原子力を廃絶させる道」】(https://www.youtube.com/watch?v=lVepb2z-VyM)。
東京新聞の小川慎一記者による記事【プール核燃料、搬出開始 福島第一事故8年 3号機566体】(https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019041590135634.html)。
東京新聞の社説【核燃料搬出開始 廃炉への道のりはるか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019041602000153.html)。

 《【さようなら原発1000万人アクション実行委員会】さようなら原発講演会》。
 《3号機プールには、使用済みと未使用の核燃料計五百六十六体を保管。使用済み核燃料は長期間、強い放射線と熱を発するため、水中で冷やしている。東電は四月中に未使用の七体を取り出し、六月下旬から作業を本格化させる方針。核燃料は敷地内の共用プールに移す。取り出しを終えるまでに約二年かかる見込み》。
 《東京電力福島第一原発3号機から使用済み核燃料を取り出す作業が始まった。廃炉への道のりは険しく遠い。あらためてつくづく思う。この国で大変なことが起きてしまった。起こしてしまったと。「一歩前進」、それは確かだ。しかし、あと何歩進めば、ゴールにたどり着けるのだろう》。

 《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」…未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権。《廃炉への道のりは険しく遠い。あらためてつくづく思う。この国で大変なことが起きてしまった起こしてしまったと》…なのに、この国は一体何をやっているのでしょうか? 《しかし、あと何歩進めば、ゴールにたどり着けるのだろう》…アベ様らは、福島を既に忘却。《原発はいまだ本当の意味での「アンダーコントロール(管理下)」には遠く、この国が大変な困難を抱えたままだ》…を忘却。

   『●《ニコニコ》の山下俊一《先生も小児の甲状腺被ばくは
         深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です》

   『●《県がこのまま原発を進めれば地域破壊がさらに進み、
          住民を苦しめ続ける。権力がそこまでしていいのか》
   『●《失われた古里》、失われた《本来は恵みをもたらす田畑の土》 
                …原状回復して見せたのか? 誰か責任は?
   『●四十年廃炉ルール無視、特例中の特例のはずが…
        日本原電は東海第二原発の再稼働をしたいらしい…
   『●東電核発電人災から8年: 《11日の夜9時すぎには、
           東電の社員も家族もだれ一人双葉町に残って…》
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
        “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」

   『●武藤類子さん《沖縄で闘っている人の言葉…
       「国を相手にケンカしたって勝てない。でも、おれはやるんだ」》

 《使用済み燃料の取り出し作業がたとえ順調に進んでも、燃料の最終処分先は決まっていない。その後には、核燃料が溶け落ちて固まった「燃料デブリ」が待ち受ける。それこそが“本命”だ》、《ことし二月、2号機の格納容器側面から投入されたロボットが、デブリとみられる堆積物に初めて触れて、一部持ち上げることに成功したことが、大ニュースとして喧伝》…。そして、デブリの総量は3基で?

   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で
         計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?

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https://www.youtube.com/watch?v=lVepb2z-VyM



20190330 UPLAN 小出裕章フクシマ事故8年 原子力を廃絶させる道
2019/03/30 に公開

【さようなら原発1000万人アクション実行委員会】
さようなら原発講演会
福島原発事故から8年。原子力をめぐる環境は大きく変わりました。
しかし安倍政権は、そのような現実を直視することなく原発推進に邁進しています。
安倍政権の成長戦略の重要な柱であった原発輸出は、ベトナム、トルコ、イギリスなどで次々ととん挫しました。
現在、9基の原発で再稼働が強行されましたが、一方で廃炉決定・検討中の原発が23基となっています。
もはや原発は「廃炉の時代」に入っています
高速増殖炉もんじゅも廃炉となり、核燃料サイクルの意義すら失われています。
原子力政策は行き詰り、未来がないことは明らかです。
福島原発事故から8年目を迎え、このたびの「さようなら原発講演会」では、長年、原子力研究に携わり、その危険性を警告し続けている元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんから原子力の問題点、その未来を語っていただきます。

講演:
原子力を廃絶させる道-小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)

現地から:
東電刑事裁判報告・住宅避難者の現場から
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https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019041590135634.html

プール核燃料、搬出開始 福島第一事故8年 3号機566体
2019年4月15日 13時56分

 東京電力は十五日、福島第一原発3号機の原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールから、冷却保管中の核燃料の取り出しを始めた。事故から八年、炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機でプールからの核燃料取り出しは初めて。現場は放射線量が高く人が長時間いることができない。ほとんどの作業が遠隔操作であるため、難航することが予想される。

 3号機プールには、使用済みと未使用の核燃料計五百六十六体を保管。使用済み核燃料は長期間、強い放射線と熱を発するため、水中で冷やしている。東電は四月中に未使用の七体を取り出し、六月下旬から作業を本格化させる方針。核燃料は敷地内の共用プールに移す。取り出しを終えるまでに約二年かかる見込み

 作業は午前八時半すぎに開始。建屋から五百メートル離れた免震重要棟内の操作室で、作業員がモニターの画面を見ながら取り出し機器を操作した。燃料取扱機で核燃料を一体(長さ四・五メートル、十五センチ四方、重さ約二百五十キロ)ずつ持ち上げ、水中に置いた専用容器(重さ約四十六トン)に七体入れる。一体を入れるのに二、三時間かけ、この日は午後八時まで作業する。一体目は、一時間半ほどで容器に入れることができた。

 その後、容器をクレーンで三十メートル下の一階に下ろし、トレーラーで共用プールに運び出す予定。

 3号機の核燃料取り出しは当初、二〇一四年末にも始める計画だったが、高線量が作業の壁となった。外部に放射性物質が飛び散らないよう、建屋上部にドーム型カバーを設置。東電は昨年十一月に取り出しを始める計画を示したものの、クレーンなどの機器に不具合が相次ぎ、点検や部品交換のため延期していた。

 4号機では、一四年末にプールから核燃料千五百三十五体を取り出し済み。地震発生時は定期検査で停止中で原子炉内に核燃料がなく、炉心溶融を免れた。水素爆発で建屋上部が吹き飛んだが線量は低く人が中で作業して一年程度で終えた。


◆解説

 福島第一原発3号機のプールからの核燃料取り出し作業は、同じく炉心溶融が起きた1、2号機の核燃料取り出しの行方を左右する。いずれも建屋内の放射線量が高く、人が中で長時間作業できず、遠隔操作で進めざるを得ないからだ。

 3号機プール周辺の線量は毎時五四〇マイクロシーベルトで、二時間で一般人の年間被ばく線量限度に達するレベル。プールに残る細かな汚染がれきを、アーム型機器で取りながらの作業だ。クレーンなどでトラブルが起きれば、人が建屋内で修理しなければならない。これら未経験の作業をこなし、ノウハウを積む必要がある。

 東電は1、2号機のプール内の核燃料取り出しを二〇二三年度に始める計画を立てたが、両号機は3号機よりも線量が高く厄介だ

 特に1号機は建屋最上階に大きながれきが積み重なり、原子炉格納容器上のコンクリート製の巨大なふたがずれ落ちているふたのずれを元に戻さなければ、3号機同様の取り出し機器は設置できない

 1号機は三百九十二体、2号機は六百十五体の核燃料がプールに残る。これらを高台の共用プールに移すことはリスク軽減のため不可欠。ただ3号機の作業次第では、1、2号機の取り出し計画の大幅な見直しが迫られる。 (小川慎一)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019041602000153.html

【社説】
核燃料搬出開始 廃炉への道のりはるか
2019年4月16日

 東京電力福島第一原発3号機から使用済み核燃料を取り出す作業が始まった。廃炉への道のりは険しく遠い。あらためてつくづく思う。この国で大変なことが起きてしまった起こしてしまったと

 「一歩前進」、それは確かだ。しかし、あと何歩進めば、ゴールにたどり着けるのだろう

 炉心溶融(メルトダウン)を起こした福島第一原発1~3号機の原子炉建屋上部にある燃料プールには、それぞれ未使用と使用済みの核燃料が残されたままになっていて、強い放射線を出し続け、廃炉作業の大きな妨げになっている

 3号機の燃料プールの中でも比較的安全な未使用の燃料を取り出すことから踏み出した“第一歩”。事故から八年、機器の不具合などがあり、予定より四年遅れで始まった

 その取り出しが始まったということは、廃炉作業環境の地ならしが、ようやく端緒についたということにすぎない。

 作業はすべて遠隔操作。特殊な装置を使って核燃料を水中で輸送容器に納め、クレーンでつり上げて、近くの共用プールへ移す-。

 3号機のプールの中だけで五百六十六体の燃料が眠っている。一日数体ずつ移し、二〇二〇年度中に作業を終える工程だ。これだけでも大変な作業である。

 使用済み燃料の取り出し作業がたとえ順調に進んでも、燃料の最終処分先は決まっていない。その後には、核燃料が溶け落ちて固まった「燃料デブリ」が待ち受ける。それこそが“本命”だ

 ことし二月、2号機の格納容器側面から投入されたロボットが、デブリとみられる堆積物に初めて触れて、一部持ち上げることに成功したことが、大ニュースとして喧伝(けんでん)された。

 上部からつり上げやすい位置にある使用済み核燃料すら、一基二年がかりの難作業。所在も形状も性質も不明に近い燃料デブリを果たして安全に取り出すことができるのか-

 「一歩前進」を喜ぶよりも、ことの重大さを、あらためて思い知らされるのみである。

 安倍晋三首相は十四日、スーツ姿、マスクなしで事故現場を視察。東京五輪開催に向けて、作業の進展と安全性をアピールした。しかし、原発はいまだ本当の意味でのアンダーコントロール(管理下)」には遠く、この国が大変な困難を抱えたままだということを私たちは忘れるべきではない。
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