東京新聞の二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012090102000122.html、http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090102000132.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090202000106.html)。
民主党の「ほかの脱原発派の議員も「原発ゼロ」を明確に打ち出す必要性を強調」って、誰がそんな議論を信じられようか。彼らの云う「原発ゼロ」は、第一、いずれにしろ2030年まで原発を運転しましょうってことでしょ。ばかばかしい。それに、選挙が終われば、そんな議論もご和算にするつもりでしょうし。本気なら「今、大飯を止めろてみろ」ってことです。あれだけ多くの人が反対し、結果として、全く再稼働の必要がなかったのに、首相の責任で大飯原発を動かす決断をしたのだから、すぐに止める決断もできるはず。
関電の社長は大飯原発の稼働を続けたいなどと、大ボケをかましている。他の原発も、全く必要が無いにもかかわらず、再稼働したくてしょうがないようだ。
「原発維持派の直嶋正行元経済産業相は「原発をゼロにした場合、
日本経済を維持できるのか。経済や雇用への影響を議論すべきだ」
と反論。電力総連出身の藤原正司参院議員は「(人類滅亡の)
ノストラダムスの大予言があったが、地球はまだある」と述べ、
原発ゼロの議論は現実的でないと指摘」。
ノストラダムスって、フザケすぎ。首相や枝野氏達を含め、彼らに投票した選挙民が責任を持って彼らを落選させるべき。彼らに投票し続けるのは未来の人々への犯罪的行為であり、また、東京電力原発人災の被災者・被曝者への冒涜である。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012090102000122.html】
民意遠ざかる首相 全国一軽い一票千葉4区
2012年9月1日 朝刊
二日で野田内閣発足から一年。当初、自らを泥くさいドジョウにたとえた野田佳彦首相は、原発再稼働、消費税増税と、民意からかけ離れた決断を繰り返してきた。その首相の地元・千葉4区(船橋市)は実際、全国で一番民意が届きにくい選挙区でもある。議員一人を選出するのに必要な人口が最多、つまりは一票が最も軽い。違憲状態とされる「一票の格差」の是正も先行きは不透明なままだ。 (森本智之)
「十年以上前、船橋でつじ立ちしている野田さんを見て、実にすばらしい人だと思いました。あのころを思い出してください」。八月二十二日、「首都圏反原発連合」の一人、派遣作業員若林一彦さん(59)は、官邸での野田首相との面談でそう話しかけた。
船橋市に住んでいた時に数回、つじ立ちを見かけた。「路地裏の居酒屋で一般の市民が話題にしているようなことを、政治に反映したい」と話したのが印象に残ったという。「今は私たちの意見を聞くふりだけしている」
◇
市民も距離を感じている。「駅前に立っていたころに比べると縁遠くなってしまった」と船橋駅前の駐輪場管理員の藤川具之さん(69)。選挙になれば意思を一票のかたちで直接伝えることができるが、その価値は、全国で一番低い。二〇〇九年の衆院選で有権者数が最多の千葉4区と最少の高知3区の一票の格差は二・三〇倍。最高裁は昨年三月の判決で「違憲状態」と判断した。その後格差はさらに拡大している。
駅前で、何人かの市民に話を聞いてみたが「ピンとこない」「難しい」と、関心は薄い。しかし全国で一票の格差訴訟を起こしている升永英俊弁護士は「住んでいる場所で一票の価値が違うのは、一票の住所差別だ」と強調する。
升永弁護士によると、二〇一〇年参院選当時の有権者数と選挙区の定数をもとに試算すると、有権者数の少ない三十選挙区三千四百万人で参院議員七十四人を選ぶことになる。残り十七選挙区七千万人で七十二人。ほぼ同じ人数を当選させるのに、倍以上の有権者数が必要だ。選挙区がより細かい衆院でも、構図は変わらない。「これでは国会議員の多数決が国民の多数決とイコールにならない」
通勤途中の会社員男性(46)は「政治家は自分の地位や懐に関わるから国民に説明してこなかった」と批判した。
◇
脱原発を目指す市民らは、政治家が民意を反映しないことに対し、デモなどで直接、意思を表明する手段を選んだ。現在は、一票の受け皿を自ら作り出す動きも始まっている。市民団体「グリーンアクティブ」などは次期衆院選で二十人程度の候補者を擁立する方針。中心メンバーで、コピーライターのマエキタミヤコさん(48)は「一票の格差という憲法違反がそのままになっているのは、突っ込みどころ満載の今の政治を象徴している」と皮肉る。
候補者の公募は近く本格化させるが、千葉4区は重点区の一つ。一票が軽い分、当選には大量の得票が必要となるが「向こうも同じだけ大変。選挙になればやることは同じなんじゃないでしょうか」と話している。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012090102000132.html】
民主、「原発ゼロ」強まる
2012年9月1日 朝刊
民主党の原発政策を議論するエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)は三十、三十一の両日、全議員を対象に意見交換した。脱原発派議員からは「党として明確に原発ゼロを打ち出すべきだ」との意見が続出。脱原発を求める世論を受け、原発維持派からも条件付きで容認する声も出始めており、「原発ゼロ」の意見が強まりつつある。 (金杉貴雄)
「首都圏三千万人が避難する最悪の事故を想定すると、賠償額は福島第一原発事故規模の二百倍の千二百兆円となる。原発コストはほかの電源と比較にならないほど高い」
菅直人元首相はこう述べ、原発の発電コストが火力などより低いと見積もる政府の説明を疑問視。コスト面からも「原発ゼロ」を目指すべきだと表明した。
ほかの脱原発派の議員も「原発ゼロ」を明確に打ち出す必要性を強調。政策誘導によって再生エネルギーや省エネルギーの技術革新が大幅に進み、新たな雇用や経済成長が達成できると指摘した。
これに対し、原発維持派の直嶋正行元経済産業相は「原発をゼロにした場合、日本経済を維持できるのか。経済や雇用への影響を議論すべきだ」と反論。電力総連出身の藤原正司参院議員は「(人類滅亡の)ノストラダムスの大予言があったが、地球はまだある」と述べ、原発ゼロの議論は現実的でないと指摘した。
だが、秋の衆院解散・総選挙が取りざたされる中、脱原発を求める世論に敏感になっている議員も少なくない。このため「脱原発派」対「原発維持派」の議論の構図に変化も出始めている。
維持派が多い経済産業部門会議座長の田嶋要元経済産業政務官は「予備電源として原発を持ちながら、福島の目線で原発ゼロを打ち出すしかない」と表明。安井美沙子参院議員は「(民主党政権が打ち出した)原発の四十年運転制限に基づき二〇五二年にゼロにする。経済面を考慮しながらゼロを前倒しすべきだ」と主張した。
調査会は来週中に意見をまとめる予定。「ゼロ」を打ち出すにしても、いつまでに達成するかを明示できるかがポイントだ。そうでなければ、説得力のない「原発ゼロ」になる。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090202000106.html】
【社説】
週のはじめに考える 「エネルギー選択」の虚構
2012年9月2日
ことしの夏は「原発ゼロ」でも大丈夫でした。政府は近く、二〇三〇年のエネルギー選択を提示する予定ですが、今夏の実績をどう受け止めるのか。
まるで拍子抜けするような結果です。政府や電力会社は夏を前に「原発が動かなければ大停電になる」とか「日本経済が大混乱する」と言い続けてきました。
野田佳彦首相が「仮に計画停電を余儀なくされ、突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人も出ます」とまで言い切って、関西電力大飯原発の再稼働を決めたのは六月八日です。
◆夏の電力は余っていた
ところが本紙報道(八月二十九日付一面)によれば、関電管内では二十六日までの八週間で事前の需要予測を10%も下回り、原発なしでも余力があったことが分かりました。関電の広報担当者は「節電効果があり、現時点では原発がなくても供給力は維持できた」と認めています。
これは予想とか分析ではなく、「はっきりした事実」です。政府の見通しは外れました。
さてそうなると、多くの人が次のように考えるのは当然です。「今年の夏が大丈夫だったなら、なにも無理して原発を動かさなくてもいいのでは?」
それほど原発事故の怖さは身に染みました。なにより故郷を追われた十六万人の「さまよう人々」が、いまも不安ややり場のない怒りと葛藤しているのです。
素朴な疑問こそ本質を突いている。政府は人々の問いに真正面から答える必要があります。
政府は六月末、三〇年の原発依存度を「0%にする」「15%にする」「20~25%にする」という三つの選択肢を示しました。これを基に、近くエネルギー戦略をどうするか決める予定です。
◆倒錯している政策手順
どんな場合でも、将来の政策を考えるには、まず現状が前提になります。いまの時点で電力は足りているのかいないのか。原発の安全はきちんと担保されているのか。それが議論の出発点です。
関電の電力需給は「余力があった」と判明しました。それだけではありません。独自に問題を検証している大阪府市・エネルギー戦略会議の調査では、西日本の六電力合計で約一千万キロワット分も余剰電力があったことが分かっています。万が一、関電だけでは足りなくなっても、各社でやりくりすれば十分な数字です。
そうであるなら、三〇年を待たずに「いますぐゼロ」という選択肢だってあるはずです。少なくとも、議論のテーブルに上がっていなくてはおかしい。
そもそも安全を担保する体制を整えないまま、三〇年の原発依存度を数字で決めようという姿勢が根本的に間違っています。
原発を再稼働するなら安全を最優先にしなければなりません。ところが大飯原発を再稼働させた基準は泥縄式で決めた暫定措置でした。野田首相自身が記者会見で「これから三十項目の安全対策をやる」と言っています。
それ自体、とんでもない話なのですが、それに加えて十八年後の原発依存度まで決めてしまおうとしている。先に数字を決めてしまったら、目標達成が最優先になって肝心の安全基準作りや基準順守がなおざりになる懸念がある。それでは元のもくあみです。
原発を動かすなら、まず安全確保体制を整えて、それから国民の理解を得る。依存度が決まるのは結果にすぎません。つまり手順が完全に逆なのです。
15%などの数字を決めた政府の審議会も形ばかりでした。それは議論をしている最中に、野田首相が「原発は単に夏の電力確保のためだけでなく、社会全体の安定と発展のために引き続き重要だ」と発言した一件で明白です。「先に結論ありき」なのです。
こういう政策手順の倒錯は消費税引き上げの経過ともよく似ています。本来、増税しようというなら、まず政府の無駄や非効率を改め使途を明確にして、国民に理解を求めなければなりません。
ところが実際は公約破りに加えて、肝心の社会保障制度改革を後回しにした。その揚げ句、増税法案が成立したとたんに最初の話になかった公共事業拡大の大合唱です。だから国民は政府を信用しない。それが野田首相には分からないのでしょうか。
◆過小評価の原発コスト
「原発を止めたら電力料金の大幅値上げが避けられない」という話も「増税しないと国債が暴落する」話にそっくりです。大本の燃料コスト削減に傾注すべき政策努力を棚上げして、脅し文句を並べるのはやめていただきたい。
政府のコスト試算には被災者への賠償や除染、廃炉にかかる費用も極端に過小評価されています。議論の出直しが必要です。
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