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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

最後の将軍の油絵

2010-12-12 10:18:03 | お絵かき
今朝の NHK 日曜美術館で,ちょこっとだが静岡市美術館「家康と慶喜 徳川家と静岡展」が紹介された.

これは徳川慶喜が描いた油絵とのこと.
破れた羽目板が良い!
西洋絵画の模写かも知れないが,1870 年頃の作とあり,1977 年の高橋由一の「鮭」なんかより早いのだ.

唱歌 校歌 うたごえ

2010-12-10 15:49:06 | 読書
渡辺 裕「歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ」中公新書 (2010/09).

帯によれば,*****
日本人の心の原風景として語られることの多い唱歌だが、納税や郵便貯金、梅雨時の衛生などの唱歌がさかんに作られた時期がある。これらは、ただひたすらに近代化をめざす政府から押しつけられた音楽でもあった。だが、それさえも換骨奪胎してしまう日本人から、歌が聞こえなくなることはなかったのである。唱歌の時代から「うたごえ」そして現代までをたどる、推理小説を読むような興奮あふれる、もう一つの近代史。*****

「はじめに」で紹介されるのが,1912 年の夏期衛生唱歌であって,その歌詞は

 すべてのみくいしたものが あとでわるいときづいたら
 ゆびをさし入れはきだして あとでしほゆ(塩湯)でよくあらへ

という調子.楽譜もあって,ちょっと「ゴンベさんの赤ちゃん」に似たメロディ.

「おわりに」には,本書で著者が書きたかったのは音楽そのものではなく,音楽を取り巻き,それを文化として成り立たせているコンテクストを解きほぐし,音楽それ自体と考えられているものも,実はこうしたコンテクストとの関わりの中ではじめて立ち現れ変容していくものだということを認識し,それをふまえてもう一度捉え直すということ,と記述されている.唱歌の目的は明治政府の国民づくり,身体づくりであり,衛生唱歌の場合は衛生教育ということになる.

このようにこの本の目指すところは高邁なのだが,個々のエピソードは話の種として面白く,新幹線で気楽に読んでしまった.モーツアルトの「魔笛」のパパゲーノのアリア「恋人か女房があれば」に小学唱歌として,「まことは人のみちぞかし」という歌詞がつけられた...とか.

ここで取り上げられるのは,唱歌・童謡のほか,
 卒業式の歌 - 「仰げば尊し」対「旅立ちの日に」など
 校歌 - 校歌王・山田耕筰,宗左近の「ぶっとんだ」校歌,白井貴子の校歌 など
 県歌 - 歌われない県歌の例外「信濃の国」など,
 うたごえ運動 - 社歌,左右両陣営による日本民謡の替え歌,うたごえ喫茶など,
とにかくみんなで歌う歌の地理・歴史・社会科的側面である.

次の著ではCM ソングやカラオケにまで対象を広げていただきたいところ..

CDフレームの量産

2010-12-08 09:38:00 | お絵かき

展覧会で,今年は一枚ずつCDをフレームに入れてみようと思い立った.ところがCD が売れないせいか,100 円ショップでも CD フレームなるものをとんと見かけない.ネット上では 1000 円クラスのものばかり.それなら自分で作ろう.

単純に長方形の板 2 対を裏から角棒で卍に接着する構造とした.板を寸法に切るところまでを,せいぜい安いところを探して,ネットで注文.板のつきあわせ部分を 45 度にするとかっこいいのだが,加工代が高いので,90 度で合わせることにした.それでも 10cm 余りの小さな板なのに,1 加工につきいくらという定額料金をとられた.トンボ (絵を留める爪のこと),接着剤等考えると,どう考えても材料代だけでひとつ300円強である.

100 円ショップのフレームの安いこと! 恐るべし.

25 個の額用に 100 枚の板が配達されたときは,どうなることかと思ったが,とにかく加工を終了.手抜きぶりは上の写真に明らかだ.


でも表から見れば,桐製でなかなか格調は高いと,自作自賛.

ダイオウイカは知らないでしょう

2010-12-06 10:10:13 | 読書
西 加奈子 ,せきしろ著, マガジンハウス (2010/10)

へんなタイトルだが,57577 の 77 の部分,そう これは短歌の本.雑誌 anan に連載されたもの.

まずゲストが出した題に応える ふたりの短歌 2 首が紹介され,それについてゲストを交えた鼎談が続くのが基本構成.ゲストは,穂村弘,俵万智,山口隆,ミムラ,山里亮太,ともさかりえ,星野源,光浦靖子,いとうせいこう,山崎ナオコーラほか ぼくの知ってる人や知らない人たち.

せきしろは最初は俳句と短歌の区別がつかないで (ふりをしていて?),57577 を無視しているくせに次第に 575... の定型にはまっていくところがおかしい.西加奈子の歌は背後に独善的ストーリーがあって,それを聞かないと ??? というのも多い.

この本からすこしひろうと,



「わたくしあなたを卒業します」はは,入学させた覚えはないぜ 西加奈子

手のひらをナイフで切って運命を変える人たちそれも運命 西加奈子

告白をされたい時としたい時したくない時されたくない時 せきしろ

フロそうじトイレそうじをする予定 たち上がりつつマンガ読むかな 星野源(ゲスト)



女は 30 過ぎると性欲が強くなるとのたまう西加奈子の「官能短歌」も何首かある.見たい方は本を買って下さい.ぼくは図書館で借りましたけど.

このテの歌の元祖? 俵万智もゲスト出場.いかにも短歌の先生という貌で,ふたりの歌を添削したりする.
最初に短歌を初めたばかりのときと,1年半後連載時最終回のゲストが歌人の穂村弘.最終回では「短歌ってやればやるほどヘタになる」などと発言しているが,コメントは初回に比べるとはるかに丁寧.


これは先日のお葬式を思い出させる一首.

空港へ次訪れるその時は 身内の誰か死んだ日だろう せきしろ


お葬式

2010-12-04 08:45:30 | エトセト等
先週のことになるが,J 子の長姉逝去.70 歳.
私は東京で告別式だけに出席.

J 子によれば,故人は介護ボランティアをやっていたので,そのほうの知人友人でお通夜は盛大だったそうだ.当人は介護されることもなく,かなり唐突な感じの死.事実,一週間前は自転車に乗っていたそうだ.10 年以上?前から,C 型肝炎と聞いていたけれど.

残されたほうは,Yesterday came suddenly の心境だろうか.
(ビートルズのあの歌は追悼のためという説もあるらしい.)

自分たちも いつ死んでもおかしくない世代になったのだ.
でも,この姉妹 (兄弟もいる) の母親は百歳で健在.


この写真は,わが家からみた昨日の朝もや.

山とスキーの広告画文集

2010-12-02 09:34:27 | お絵かき
秀山荘編「辻まこと 山とスキーの広告画文集」山と渓谷社 (2010/7)

「BOOK」データベースによれば
***** 長年にわたって『山と溪谷』『岳人』に掲載された,辻まことの手掛けた秀山荘の広告とコピーを,「山」と「スキー」の2つに分類して構成.巻末に八千草薫、岡本喜八、山本太郎、小谷明氏などが寄稿.*****

秀山荘は東京駅八重洲口にあった山岳用品店.高級品専門で,学生であった我々には広告上だけの存在であった.今も秀山荘という店が池袋にあって,ロゴも同じだが,かっての秀山荘との関係はよく分からない.

この本は,その かっての秀山荘が30周年記念として刷ったものの復刻.辻まことなら,こんなものまで出版されるのか,といいたいところだが,これが面白いばかりでなく,いい感じ.自分が山とかスキーとかの雰囲気に多少は触れたことがあるせいかもしれない.

雑誌「岳人」の表紙 (「山からの言葉」として,平凡社ライブラリーから出版されている) でおなじみの三頭身くん等が登場するが,こうしたモノクロの広告を描くのも,カラーの表紙を描くのも,同じくらいエネルギーを注いでいる.でも,こちらの広告のほうが,楽しんで描いているようだ.
同じネタが何回も出て来たりするのもご愛嬌.

ひとつの違いは,「山からの言葉」を書いた (描いた) のは最晩年の5年間ほどに集中しているが,この広告画文は昭和28年から約30年にわたっていること (いちいち何年何月と入れてある).
やはり 若いときに描いたものは楽天的だ.それに対して「山からの言葉」の最後,アカサやタナハが登場するあたりは,「すぎゆくアダモ」と似て,宗教的とも言える雰囲気が漂っていた.

reading

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