Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ニコ・ウォーカー「チェリー」

2020-03-28 09:03:48 | 読書

黒原敏行訳,文藝春秋(2020/2).

Amazon の内容紹介
*****主演・トム・ホランド(『スパイダーマン』)&監督・ルッソ兄弟(『アベンジャーズ』)で映画化決定!

ニューヨーク・タイムズが2018年の必読書に選出。ワシントンポストなど各紙絶賛!
「ニコ・ウォーカーは服役中の銀行強盗だ。そして必読の作家でもあることを本書で証明した」――ワシントン・ポスト
「会話は音楽的でリアルで、すぐそばから聞こえてくるようだ」――ニューヨーク・タイムズ

この主人公、バカだろ。あなたはそう思うかもしれない。でもやがて途方もない悲しみが湧きあがり、あなたの心をかき乱す。これはそういう小説です。スタッカートする荒い文体と会話―戦争とドラッグと犯罪。破滅するしかなかった青年を痛ましく描き出す犯罪文学。*****
 
大学を中退,陸軍に入隊,イラクで従軍,帰国後ヘロイン中毒になり,銀行強盗...しかし主人公はしだいに転落していったわけではなく,最初から破滅していた感じ.投げやりで苦しげな文体で書いたポルノ小説みたいで,途中で嫌になった.
 
途中 100 ページ足らずがイラン従軍記.徴兵検査は話に聞いた戦前の日本の場合と変わらないようだ.
太平洋戦争で戦った相手もこんな軍隊だったんだろうか.敵は食うや食わずだが,こちら米軍は性的フラストの塊で,ドラグとか自慰とか.しかし飽食していて,戦争はゲーム感覚だけれど,いつ命を奪われるか変わらないという絶望感から逃れることはできない.海外派遣される日本の若い自衛隊員の本音はどうなんだろう.
 
1960 年代に僕たちがサリンジャー「ライ麦畑で捕まえて」の登場人物に共感したように,今の日本の若い人たちもこの主人公に共感するだろうか.やはり「バカだろ」が標準的な反応かな.
図書館で借用.

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