Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

無言館展と「遺された画集」

2023-06-11 10:17:21 | 読書

本棚に 2017 年秋 呉美術館の「無言館 遺された絵画展」 ①のカタログ.
昨年読んだ 野見山暁治 「遺された画集」② 平凡社 (ライブラリー オフシリーズ 2004/6) を思い出した.

野見山本 (以下 ② として引用する) には原田新と久保克彦が続いて登場する.ふたりは東京美術学校の1年違いで,トップ画像左は ① からの原田による「妹・千枝子の像」.
① には 100 ベージほど離れた久保のページに,千江子さんの記憶が載っていた「久保さんは出征されるとき,私に対してある告白をされてゆかれたのです.まだ歳ゆかぬ小娘だった私は,そのときはたいして心を動かされず....」.

同じ ① による,原田の弟 茂さんの記憶「久保さんは戦地ではまったく一言も口をきかなかったそうです....あの戦争に人一倍の疑問と後悔の念をもって参加していたのでしょう」.
久保の疑問と後悔は ② にも伺うことができる.右下の久保作品「対象」を ② の著者 野見山は反戦画として高く評価している.でも合計 16 ページの文章で克彦・千枝子のロマンスには触れずじまい.
意外に Wikipedia に詳細な記述があった.左上のスタイル画は Wiki からの転載だが,バッグとポケットのHとTは原田千枝子のイニシャルだそうだ.

① で好きなのは市瀬文夫「温室の前」.軍国主義の時代の絵ではない!!  
息子 和利さんの記憶「父はあの時代ではめずらしい現代的な人だったと母が話していました.絵にもそんな父の性格が現れているんじゃないでしょうか」.
市瀬は野見山の美校入学と入れ違いに卒業したらしく,② には市瀬は登場しない.

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