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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

天沢退二郎「光車よ,まわれ!」

2008-09-28 20:51:51 | 読書
ピュアフル文庫 (2008/09).
この文庫は新潮や角川や岩波文庫と違って,書店では中高生向きの書棚に並んでいたる.

出版社の紹介によれば
はじまりは、ある雨の朝。登校した一郎は、周囲の様子がいつもと違うことに気づく。奇怪な事件が続出する中、神秘的な美少女・龍子らとともに、不思議な力を宿すという《光車》を探すことなるのだが――。
《光車》とは何か。一郎たちは「敵」に打ち勝つことができるのか。魂を強烈に揺さぶる不朽の名作が、待望の文庫版で登場。〈解説:三浦しをん〉

著者は詩人で宮沢賢治研究家.どこかの大学の仏文科の教授もしておられたそうだ.これは1973年の作品で,ファンタジーと言うことになっているが,当時ファンタジーというジャンルはなかったように思う.
最近の多くのファンタジーのように,虚構の世界でリアルにストーリーが進むのではない.特に前半は,リアルな世界で不条理な夢をみている感じ.つげ義春を文章にしたようでもある.このごろ自分は夢を見ても,起きるとどんな夢だったか忘れてしまって,嫌な感じだけが残っていることが多い.この本のような夢なんだろう.

ファンタジーらしく地図がついているが,東京にあるような,ないような地名で面白い.携帯がなかった時代で,大家さんの電話を借りたりするのも懐かしい.

「夢でない夢」も同じ頃の作品だったと思う.こちらにも一郎が登場し,宮沢賢治を思わせる部分がある.短編集だからストーリーがあるような・ないような感じで,より一層天沢ワールドを堪能出来た...と思うのだが,本棚を探しても見当たらず.

「夢...」のイラストは佐伯俊男で,妖しくてよかった.単行本の「光車...」のイラストは司修だったが,この文庫版はスカイエマで,カットのカバーで見るように色遣いが独特.挿画もカラーならよかったのに.HPを発見.
http://emma-sky.com/

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