Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

完本 小林一茶

2020-05-04 08:57:40 | 読書

井上ひさし,中公文庫(2020/03).

 

目次*****

一茶をめぐって

 エッセイ 一茶をめぐって(一茶との一夜,キク月水)
 一茶百句―井上ひさし選
 対談 一茶・息吐くように俳諧した人 金子兜太×井上ひさし
 講演 小林一茶にみる言葉といのち 金子兜太×井上ひさし

小林一茶

 (作者の前口上) 戯曲「小林一茶」 (後口上)

解説 扇田昭彦*****

 

300ページのうち,戯曲は 2/3 ほど.はじめから順を追って読むと,ミステリの前にネタばらしをされる感がある.しかし戯曲そのものは複雑にして高級で,あとがきの表現を借りれば

「喜劇精神で味付けした伝記劇 + どんでんがえしを仕組んだ推理劇 + 劇中劇を駆使したメタシアター=演劇についての演劇 + 俳句や連句の世界から見た日本論・日本人論 + 痛烈な中央集権批判・消費都市批判 + 俳諧師たちから見た文筆業者の生々しい生態 図」

である.何の予備知識もなく観劇したら,おもしろかったけど何だったの...ということになり,著者の意図を十全に汲み取ることは (16 トン程度の教養では) まず不可能.「完本」の構成は確かに親切かも.

16トンがいちばん楽しんだのは,「参 最上川の歌仙」で,弥太郎こと一茶が吐き出す俳句の数々だった.

 思い出が通り過ぎてく雪のまち

 悲しみを夜明けのうたが流し去る

 槌うちのしばしもやまぬ鍛冶屋かな

 上向いて歩めば涙はこぼれまじ

 小僧めが木を切るヘイヘイヘイヘイホー

 なぜ啼くや烏は山に子があるか

 ...

まだまだあるので,本を買ってください.

カバー 南伸坊.井上ひさしによる「大きな鼻と長い顎...」という一茶の描写にはあまり似ていない.

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