Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

すごい宇宙講義

2021-06-02 20:54:02 | 読書
多田 将,中央公論新社(中公文庫 2020/10).

第1章 ブラックホール 空間と時間の混ざり合う場所
第2章 ビッグバン 人はなぜ宇宙をイメージできないのか?
第3章 暗黒物質 そこにいるのに捕まえられないものを、いかに捕まえるか?
第4章 そして宇宙は創られた 想像力と技術力で辿り着いた世界
補 章 新たな世界の始まり 重力波が宇宙像を描き替える

単行本は,イースト・プレス(2013/6).その後重力波が検出され,そのことがこの本では補章に追加されている.

16トンは高エネルギー加速器研究機構 KEK に在籍していた.加速器を建設する部署だった.重力波とかアキシオンとか,気軽に質問されるが,そんなことはほとんど知らない.
加速器を作るヒトと使うヒトは別であって,作るヒトは加速器がどう使われるか,知らなくてもいい.
じつは16トンは加速器屋になる前はプラズマ屋であった.昭和の時代にはプラズマ屋は自分が使いたいプラズマを自分で作っていたので,加速器・高エネルギー物理の職能分離はけっこうショックだった.

しかし,高エネルギー物理や宇宙のことを聞かれて答えられないと,なーに このひと と思われてしまう.というわけで,病院での診察待ちの時間潰しに,この本を買ってベンキョウすることにした.自分にも意外に,門前の小僧的知識が蓄えられていたらしく,すぐ読めてしまった.しかし断片的な記憶が系統的に整理されたのは収穫.疑問に思ったところは,もっと難しい本を読むしかないことも理解しているつもり.

カルチャーセンターの講義がもとになっていて,ですます調.
著者は KEK 准教授.こういう啓蒙本は退職した名誉教授に任せて,現職はしっかり研究しろ...という声が聞こえる気がする.しかし,老名誉教授にはこのようなテンポのいい文章は書けないな.

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