Sixteen Tones

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思考機械の事件簿 - 百年前の探偵ガリレオ

2011-10-07 06:45:31 | 読書
ジャック・フットレル, 宇野 利泰 訳「思考機械の事件簿 1」東京創元社 (1977/07)

有名なミステリ群だが読んだことがなかったのを,図書館で発見.「思考機械」からはコンピュータを連想するが,カヴァーの銅版画のように生身の人間で,本職は化学者.安楽椅子探偵ではなく,積極的に事件現場にも出向き,監禁されたりする.

「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」というシリーズの一冊.ミステリーとしてはシャーロック・ホームズより上手く出来ていて,現代のミステリのレベルに達していると言ってもよい.
しかしワトスン役・レストレード役を踏襲するなど,オリジナリティで本家に劣るのはいたしかたないところ.
鏡,真空など,技術的・科学的なトリックが多いところは,探偵ガリレオを連想させる.それもタイプライタとか,ガス灯とか 100 年前の科学技術というところがノスタルジック. 時代が経つと, 作者の意識しなかった文学性や社会性が熟成するらしい.

著者はタイタニックで遭難死.解説によれば,色々なジャンルの作品を書いたのに,思考機械もの以外は残っていないのはこの作家にとっては心外であろう, ホームズだけが有名になったコナン・ドイルについても言えること,とのこと.

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