Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

12 年前の格闘技ミステリ

2016-12-27 09:45:11 | 読書
伯方雪日「誰もわたしを倒せない」東京創元社(2004/5).2006 年に創元推理文庫入り.

図書館ではきれいな本の中からだけ選んで借りることにしている.これも新刊のようにきれいだったのだが,持ち帰って奥付を見たら 12 年前の刊行だった (誰も読んでいないらしい) と言うわけ.それでも,当方の知識は,力道山-猪木-馬場あたりでとだえているので,この本から新知識を得た気になった.
著者名は はかたゆきひ と読む.

出版社による内容紹介*****後楽園のゴミ捨て場に刃物で胸を一突きされて捨てられていた死体は、襟足から後頭部にかけての髪が、乱雑に、地肌が見えるほど切られていた。事件を担当するのは富坂署の三瓶と城島のコンビ。格闘技ファンの城島の指摘で、被害者がカタナというマスクマンではないか、という可能性が浮かび上がる。プロレスも格闘技も両方こなすという新しいスターだった。そして、さらに殺人が……。格闘技を真っ向から取り上げた初の本格ミステリ。*****

4話連作.ミステリとしては第3話の叙述トリックを除けば凡庸な出来.でもこれを読んで格闘技は魑魅魍魎の世界,事実は小説よりミステリアスかもしれない,と思った.

笹川吉晴という人の解説が小説以上におもしろかった.
「この世の中には二種類の人間がいる.全てを<プロレス>によって考える人間と,そうでない人間であるる.」で始まるのだが,確かに会社のできごとも,政治も,プロレス流に解釈できそう.ここではプロレスの歴史をミステリの歴史にこじつけて,力道山=江戸川乱歩,猪木・馬場=甲賀・木々論争... などの怪論を展開している.


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