Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

飛ぶ教室

2007-10-16 20:57:20 | 読書
光文社古典新訳文庫「カラマーゾフの兄弟」がベストセラーだという.新幹線で読むには重厚長大にすぎるなと思ったら,駅の書店の同じ棚にケストナーの「飛ぶ教室」があった.

ぼくのケストナー体験は「五月三十五日」からだ.これはSFっぽい作品で,雨が降ると地べたからにょきにょきとこうもり傘草が伸びてくる場面があったと思う.次は「ふたりのロッテ」で,ふたごが入れ替わるはなし.美空ひばりの一人二役で映画化された.入れ替わりに飼い犬だけが気づくところが面白かった.どちらも高橋健二訳だったと思う.

「飛ぶ教室」は読んだことがなかった.このタイトルと「五月三十五日」体験からSFを連想したが,「ふたり...」みたいな変わった設定もなく,しごくまっとうな小説.
丘沢静也訳.訳者は日本の児童書の悪しき慣習,すなわち1)少ない漢字,2)たどたどしいデスマス調,3)会話のたびの改行」を廃したと言っている.たしかにテンポ良く読める.しかし男の子ばっかり出てきて色気がないのはやっぱり児童文学だ.ただし出てくる大人たちは魅力的.正義さんと禁煙さんもさることながら.クロイッカム先生も良い.

ケストナーの小説にはたいていヴァルター・トリヤーの挿画がついているのだが,この文庫では挿画がないのが不満.これはトリヤーによるドイツ版の表紙です.
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2 コメント

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訳注が... (えせドイツ人)
2007-10-17 10:57:10
アマゾンのカスタマレビューによれば,この訳では訳注が本文中に混ぜ込んであり,原作者が書いたのはどこまでで,訳者が足した説明はどこなのか,全く区別がつかないとのこと.

この処理についてはあとがきでも触れていないとのこと.

私はドイツ語を忘れてしまったので,たしかめるすべがありませんが.



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Re 訳注が... (16トン)
2007-10-17 17:44:39
そうですか!

ぼくみたいに読むだけの人には,注を参照するわずらわしさがなくていい...じつはほとんど参照なんかしませんが.

でもちょっと独断的かな?
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