Sixteen Tones

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ノン・ビブラートの魅力 ビブラフォンと酒井俊さん

2019-06-06 07:10:41 | ジャズ
ビブラフォンという楽器の名の由来は,音にビブラートをかけること.共鳴管それぞれの上部にファンが仕込んであって,これを回転すると (高低のビブラートではなく) 強弱のビブラートがかかる.写真は,ファンが閉じた状態と開いた状態.
ジャズ ヴァイブではライオネル・ハンプトンは速いビブラートをかけているが,ミルト・ジャクソンのビブラートはかなり遅く,ゲイリー・バートンはビブラートをかけない.バートンの場合はジョージ・シアリングのバンドにいたとき,シアリングにビブラートを禁止されたことが契機になったらしい.

初期の動画では,ミルト・ジャクソンがしきりにファンの回転コントローラをいじっている場面があったりする.このファンの操作はなかなか煩わしい.
自分はファンを回さないことに落ち着いている.理由を2-3あげると,

- ファン・モーターの回転は,(ピアノでいう) 白鍵側と黒鍵側のふたつに分岐される.最初に気になったのは,このふたつの回転速度の同期が次第にずれ,従ってビブラートの強弱もずれることであった.ただし同期させる機器も販売はされている.

- 派手に高速でビブラートをかけると,ビブラートの速度が高音でも低音でも同じなのも気になる.音の高低は周波数の大小だから,ファン回転速度すなわち回転周波数が一定であることには無理があると思う.ファンの回転周波数は 25-150Hz の範囲で一定に調節するが,中央 C 音の周波数は 260Hz だから下手すると同じオーダーになる.
高低で回転周波数を変えて音を重ねるとどうなるかと考えると,おもしろそうだけど.

- このファンだけのために電源を探したり,電池を持参したりするのも馬鹿らしい.

...というわけ.

ファンが管を閉じる位置におけば音量は小さくなるが,音量が最大となるのは全開ではなく,45度くらいの位置である.これはマツダ自動車に就職した,流体力学屋の (もと) 学生さんが教えてくれた.

回転はモーターからファン軸へゴムで伝達されるのだが,このゴムがないとファンが演奏中に勝手にきょろきょろ回転してしまう.しかし分解・運搬時に紛れてゴムを紛失する恐れ大である.


ところで,ぼくがノン・ビブラートに惹かれるに至ったのは, (ビブラフォンではないが) 酒井俊さんの唱法にライブで接したことも大きい.こちらは太田恵資 vln, 黒田京子 p と共演の Send in the Clowns.

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