Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

脱獄王ヴィドックの華麗なる転身

2021-05-18 10:39:54 | 読書

ヴァルター・ハンゼン 著, 小林 俊明 訳,論創海外ミステリ (2020/11).

Amazon HP より*****
"世紀の脱獄王"から"犯罪捜査学の父"へ──。無実の罪で投獄され、後に世界初の私立探偵となったフランソワ・ヴィドックの数奇な運命! 史実をもとに描く伝記小説。ドイツの現代作家ヴァルター・ハンゼンによる“Der Detektiv von Paris"の待望の邦訳。*****

フランソワ・ヴィドックのことは初めて知ったが,知る人ぞ知る歴史上の人物らしい.ナポレオンからフランス革命あたりの時代に活躍したそうで,現在の警察システムは彼が構築したものだという.また,デュパン,ホームズなどのミステリ界の名探偵の手法も源を辿ればヴィドックに行き着くらしい.著者前書きには,ジャン・バルジャンやモンテ・クリスト伯爵にもヴィドックの影が見出せるとある.

おもしろいが,それは こども時代の講談社名作全集,宝島・ああ無常・ロビンフッド など,あるいは怪人二十面相に感じたおもしろさである.あるいは映画のストーリーを文章で延々と読まされた感もある.中身があまりに盛り沢山で,嘘っぽい.細かい 19 世紀の犯罪記録が「史実」として残っているわけもない.

ヴィドック自身が書いた短い文章に,三文作家が尾鰭をつけて 500 ページに膨らませて 1828 年に出版した「ヴィドック回想録」というのが残っていて,邦訳も出ている.著者ハンゼンはこの回想録に批判的だが,しかし無視するわけにもいかなかったというところかな.

図書館で借用.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菱正宗 (久保田酒造) | トップ | 薔薇が散った »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事