Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「富士日記を読む」を読む

2020-08-17 08:12:08 | 読書
病院の売店で
中央公論新社 編集「富士日記を読む」中公文庫(2019/10).
を買った.富士日記そのものを読んだこともないのに買うのはいかにも変だ.しかし,この売店には富士日記そのものは置いていなかった.

以下はニッポンの常識? 富士日記は小説家・武田泰淳の妻・百合子の日記.夫の死後発表された.Wikipedia によれば,夫妻が過ごした河口湖近くの山荘完成から,泰淳の死までの日記を清書しなおしたもの.日常の出来事から泰淳とのやり取りにいたるまでストレートに書かれている日常を淡々と描きながら、独特の視点と文体を持つ作品であり、大きな反響を呼び、田村俊子賞受賞.

目次*****
第1章 その後の『富士日記』 武田百合子「今年の夏」他 9篇 
第2章 『富士日記』に寄せて 小川洋子・苅部直・平松洋子・村松友視による書き下ろし4篇 
第3章 『富士日記』を読む 解説・帯文5篇 書評21篇 
第4章 富士山荘をめぐる二篇 武田泰淳「花火を見るまで」「蝿ころし」 
『富士日記』索引*****

要するに武田夫妻の文章が,その他の文章をサンドイッチしている構造.
第2-3章では,犬の死に関する文章が多い.第3章ではオリジナルの日記を引用した文章が生き生きとしていると思ったが,オリジナルを読んだことがない者にとっては,当然であるな.
第2章の川上未映子「本当のことは...」は,まったく具体的に富士日記に言及していない.
第4章の「花火を見るまで」と,阿部公彦の書評?に登場する,外川氏がおもしろい.索引によれば戸川氏の登場回数は大岡昇平夫妻に次いでいる.深沢七郎も,荒川洋治,種村季弘の2書評に登場し,おもしろい.
もちろん武田百合子氏はおもしろい.J 子の頭の中も (ほとんどの女の人の頭の中は) 百合子さんとあまり変わらなくて,違うのはボキャブラリという気がする.

渋谷にニュース映画と予告編だけを上映する映画館があった.16とんは昔から,映画の予告編が好きで.予告編だけでよしとすることも多かった.
この度も,本を読んだら,富士日記そのものを読んだ気分になってしまった.


同じ病院の売店で弾性ストッキングを買おうと思ったら,3850円だったので,やめた.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 折本 Jazz Cats | トップ | 幸にして子供だった »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事