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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

謎の女 幽蘭: 古本屋「芳雅堂」の探索帳より

2016-06-08 09:31:27 | 読書
出久根 達郎, 筑摩書房 (2016/3).

Amazon の内容紹介*****
謎の女・本荘幽蘭。それを調べる女子大生や資料を集める古本屋。やがて周辺には戦前の特高警察の姿や贋作グループなどの気配が漂い始める。著者得意の古本小説!*****

元は筑摩書房のPR誌『ちくま』連載.図書館で借りた.

本荘幽蘭は明治-大正初期にいささか常識はずれな言動で新聞を賑わせた実在の女性だが,この小説には全然登場しない.1980 年代,発端は女子大生が幽蘭を卒論のネタにと考えることだが,幽蘭の 80 人とも 100 人ともいう男性遍歴を知って二の足を踏んでしまう.これを引き継いで ? 幽蘭の資料を漁る男性グループのどたばたが描かれるのだが,ストーリーは資料探索から次第に脱線し,うやむやに終わる.

いかがわしい登場人物が古本小説の魅力だが,ここでは地元の小学校の先生が古本屋に転職し,次第にいかがわしい人物に成長する過程が面白い.最後ははっきりしないが,家主のおばあさんと駆け落ちしたらしい.

江刺 昭子・安藤 礼二 編集「この女を見よ: 本荘幽蘭と隠された近代日本」ぷねうま舎( 2015/7)
という,まじめな本も出版されている.著者へのインタビューもある.

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