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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

エコール・ド・パリ殺人事件

2009-01-19 11:48:48 | 読書
深水 黎一郎著 講談社 (2008/02)

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
モディリアーニやスーチンら、悲劇的な生涯を送ったエコール・ド・パリの画家たちに魅了された、有名画廊の社長が密室で殺されるが、貴重な絵画は手つかずのまま残されていた。生真面目な海埜刑事と自由気ままな甥の瞬一郎が、被害者の書いた美術書をもとに真相を追う。芸術論と本格推理をクロスオーバーさせた渾身の一作。
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ところどころに作中人物が書いたという想定の美術論が挿入されている.エコール・ド・パリに関する美術論はほとんど存在しないので,作者はこの美術論の部分だけで単独で存在価値のあるものを目指したとのこと.作者のこの目的が達せられたかどうか私には判断出来ないが,すくなくとも素人は説得される出来.
カバーによれば,著者は慶応義塾大学文学研究科後期博士課程修了.在学中に仏政府給費留学生としてフランスに留学.ブルゴーニュ大学修士号,パリ大学DEA.現在大学教員兼作家だそうです.

これを抜きにしても,こういうミステリーは好きなので,あっという間に読んでしまった.
「滅びつつある古い形式を愛するものの一人として」,著者は「読者への挑戦状」も挟んでいる.著者の言うように,絵具に対して多少の知識がないと全真相の推理は困難.

生真面目な刑事と自由気ままなその甥が探偵役だが,人物像が類型的.むしろ 刑事の上司のどうしようもない警部がじつは名探偵...という方がおもしろかったんじゃないの.ただし真面目な警部が胃潰瘍を気にしながらシングルモルトをちびちびやる場面はリアリティがある.

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