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臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

第14回市民講座のお知らせ(2019年5月18日)

2019-03-31 10:23:54 | 活動予定
第14回市民講座のお知らせ

心停止後の臓器提供は問題ないのか?
~生体解剖の恐れあり!~

 
 講師:守田憲二さん(フリーライター)
 日時:2019年5月18日(土)14時~17時
 会場:カメリアプラザ(江東区亀戸文化センター)5階第2研修室
 交通:JR総武線および東武亀戸線「亀戸」駅 北口より徒歩2分
 資料代:500円
 主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク
 
              
<会場地図>

                                 
 昨年、市民シンポジウム「和田心臓移植から50年 加速されるいのちの切り捨て」を開催しましたが、一人ひとりの講師のお話をもっとじっくり聞きたいとの意見がたくさん寄せられました。
 そこで、次回市民講座では、資料を準備して頂きながら、時間的な制約で取り上げることができなかった「心臓が停止した死後の臓器提供」の検証について、守田憲二さんにお話しして頂くことになりました。ぜひご参加ください。
  
講師の守田憲二さんより内容紹介    
 約半世紀前に「脳死」という新たな概念が登場しました。体が温かく髪の毛や爪も伸び成長もする「脳死」の状態を「人の死」と受け入れられない人でも、「昔から行ってきた三徴候死(心停止、呼吸停止、瞳孔散大)を確認するなら問題はない」、さらには「脳死での臓器提供はダメだけれども心臓が停止した死後の臓器提供(心停止後の提供)ならいいだろう」という人がいると思います。
 しかし三徴候死、心臓死にも曖昧さはあります。生から死への移行は連続的で、移行に要する時間は個体差が大きく、相当な死後変化、腐敗現象を観察しないうちに臓器摘出、解剖あるいは埋葬を行うと「生体解剖」あるいは「早すぎる埋葬」という事態を引き起こすこともあり得ます。
 ドナー家族から得た臓器提供の承諾が、現状では法的に無効ではないかということは、2018年9月28日付の週刊金曜日掲載の「脳死臓器摘出時の麻酔禁止は誰のため」に書きましたが、市民講座ではそのあたりについても問題提起したいと思います。
 他人の臓器を必要とする臓器移植は、人権侵害を引き起こす可能性が高いため、過剰に実施されることがないように他の治療法と優劣を比較し続ける必要があります。臓器移植を行う以上は、患者の生存率向上と高いQOLを実現していることを社会に証明し続けることが移植医の責務です。ところが、腎臓移植は生死不明の移植患者が多く、日本国内のデータで透析療法との比較も行われていないなど医学的根拠が薄弱です。臓器移植を推進する医学的根拠は、どれほどあるのでしょうか?
 このように「救急患者・脳不全患者への救命は尽くされているのか?」「臓器提供者(ドナー)は本当に死んでいるのか?」「臓器移植は必要な患者に行われているのか?」という疑問は、和田心臓事件だけにあるのではなく、すべての臓器移植、そして「心臓が停止した死後の臓器提供・心停止ドナー」についても検証されるべきことと考えています。
 和田心臓移植事件の報道で「医学的・倫理的・法的に問題なのは和田心臓移植だけ。それ以外は問題が無い」との庶民感情が作られ、移植医は和田寿郎ただ一人を悪役に仕立てて、自ら行う臓器獲得行動・移植医療の評価についての検証を行わない傾向もあります。和田心臓移植以降に、適切な医療が行われているのか、問われるべき対象は一層拡大しているのではないでしょうか?
 次回市民講座では、胎児ドナー・無脳児ドナー・心停止ドナー・そして臓器移植法制定以前から行われていた脳死臓器摘出の実態を取り上げ検証します。


以下は2018年9月28日付の週刊金曜日掲載の「脳死臓器摘出時の麻酔禁止は誰のため」




 

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会場が専修大学・神田校舎に変わりました!シンポジウム 和田心臓移植から50年 加速されるいのちの切り捨て(2018年11月18日)

2018-11-04 09:01:46 | 活動予定
会場が専修大学・神田校舎に変わりました。ご注意願います。

和田心臓移植から50年
加速されるいのちの切り捨て
 
 
 
日時:2018年11月18日(日) 14:00~17:00(開場 13:30)
会場:専修大学・神田校舎7号館3階731教室
交通:地下鉄神保町駅 A2より徒歩3分/JR中央総武線水道橋西口7分

資料代:800円

                           
シンポジウム発言者 
小松美彦さん(東京大学大学院教授)
 <和田心臓移植の問題点と推進論拠の変遷>
 
児玉真美さん(翻訳・著述業)   
 <グローバルに進むいのちの切り捨て~「すべり坂」は現実に>
 
守田憲二さん(ジャーナリスト/臓器移植法を問い直す市民ネットワーク事務局)      
 <脳死と判定された人は生きているー脳死からの回復事例>
 
*コーディネーター:天笠啓祐さん(ジャーナリスト/日本消費者連盟共同代表)
  

【シンポジウムでは以下の疑問点などを分かり易く話して頂き考えます】
「1968年 札幌医科大学で行われた和田心臓移植の問題点って何?」
「当時の疑問や問題点は現在の脳死・臓器移植では解決したの?」
「この50年、脳死・臓器移植を進める論拠はどう変わってきたの?」
「欧米の国々で行われている“いのちの切り捨て”の実態を知っていますか」
「日本ではどうなの?いのちの選別、いのちの切り捨て・・・・・」
「海外では脳死からの回復事例が続々と報告されているって本当?」
「どんな回復事例があるのですか?」
「脳死判定されても回復する人がいるのに、死んだことにしていいの?」

 
共催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク/日本消費者連盟/DNA 問題研究会/バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる/脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」
 
 
 
 
シンポジウム登壇者のご紹介
 


小松美彦(こまつ よしひこ)さん
1955年東京生まれ。1989年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程単位取得退学。博士(学術、東京大学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。
著書に、『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書)、『生権力の歴史― 脳死・尊厳死・人間の尊厳をめぐって』(青土社)、『「自己決定権」の罠―ナチスから相模原障害者殺傷事件まで』(言視舎)他。
 

児玉真美(こだま まみ)さん
1956年生まれ。広島県在住。京都大学卒業。米国カンザス大学にてマスター取得。英語教師(高校・大学)の後、現在、翻訳・著述業。一般社団法人日本ケアラー連盟代表理事。1987年生まれの長女に重症心身障害がある。
著書に、『私は私らしい障害児の親でいい』(ぶどう社)、『アシュリー事件―メディカル・コントロールと新・優生思想 の時代』(生活書院)、『海のいる風景―重症心身障害のある子どもの親であるということ』(生活書院)、『死の自己決定権のゆくえ―尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』(大月書店)。訳本多数。ブログ『海やアシュリーのいる風景』。


守田憲二(もりた けんじ)さん
1959生まれ。明治大学卒。農業専門紙を経て現在ジャーナリスト。臓器移植法を問い直す市民ネットワーク事務局。脳死、臓器移植をテーマに調査。
論考に、「脳死誤診率 100%~0%の間にあるもの」=『世界』2004/12、「終末期医療における脳死、安楽死、臓器移植法“改正”と尊厳死法案」=『季刊福祉労働』120 号 2008/9、「優生政策か、基本的倫理の堅持か」=同 127 号 2010/6、「臓器移植法改訂から3年目の現実」=消費者リポート No.1552 2014/2。編著書『脳死・臓器移植 Q&A50~ドナーの立場でいのちを考える』=海鳴社 2011 年。HP「死体からの臓器摘出に麻酔?」。


天笠啓祐(あまがさ けいすけ)さん
1970年早大理工学部卒、雑誌編集長を経て、現在ジャーナリスト、市民バイオテクノロジー情報室代表、日本消費者連盟共同代表、DNA 問題研究会会員。
主な著書 『ゲノム操作食品の争点』(緑風出版)、『地球とからだに優しい生き方・暮らし方』(柘植書房新社)、『遺伝子組み換えとクローン技術100の疑問』(東洋経済新報社)、『この国のミライ図を描こう』(現代書館)、『暴走するバイオテクノロジー』(金曜日)ほか多数。 

 

 



928日付「週刊金曜日」が「脳死臓器摘出時の麻酔禁止は、誰のため?」を掲載

 

 928日付で発行された「週刊金曜日」1202号p48~p49脳死臓器摘出時の麻酔禁止は、誰のため?『むごいことをした』と嘆く遺族」が掲載されました。著者は守田憲二さん(ジャーナリスト/臓器移植法を問い直す市民ネットワーク事務局)。発行元サイトhttp://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002655.phpには目次が掲載されています。

 

 引用および出典資料には、インターネットで読むことができるものがあり以下に紹介します。

 

200863日、衆議院厚生労働委員会臓器移植法改正法案審査小委員会において、心臓摘出の経験のある福嶌教偉参考人(大阪大学医学部教授・当時)は「現在では(麻酔は)一切使っておりません」と言ったこと

=衆議院サイト内

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigirokua.nsf/html/kaigirokua/018716920080603001.htm

 

 

上記の参考人意見に反して、約3週間前の2008514日に行われた法的脳死71例目(獨協医科大学附属越谷病院・当時)では「麻酔維持は、純酸素とレミフェンタニル0.2μ//minの持続静注投与で行なった」こと(注1

 神戸義人:獨協医科大学での初めての脳死からの臓器摘出術の麻酔経験、Dokkyo Journal of Medical Sciences353)、1911952008

=獨協医科大学機関リポジトリ内

https://dmu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=735&item_no=1&page_id=28&block_id=52

 

 

これ以降も(中略)424例目で臓器提供者への麻酔が確認できること(注4

 梅邑 晃:マージナルドナーからの脳死肝グラフトを用いて救命した 肝細胞がん合併非代償性肝硬変の1例、移植、524-5)、397-4032017

J-STAGE

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jst/52/4-5/52_397/_pdf/-char/ja

 (399に「脳死肝グラフト採取術所見:全身麻酔下に胸骨中ほどから下腹部まで正中切開で開腹し,肝臓の肉眼的所見は問題ないと判断した」)

 

 

200711月、アメリカ・オクラホマ州のザック・ダンラップ氏はバイクの転倒事故で入院。脳死と判定され、家族は臓器提供を承諾して臓器摘出チームが到着した。ところが、脳死ではないことが発覚して臓器提供は中止されたこと(注5

=執筆者サイト 臓器摘出時に脳死ではないことが判ったケース内

http://www6.plala.or.jp/brainx/wrong.htm#D

 

 

日本臓器移植ネットワークは「臓器提供についてご家族の皆様方に ご確認いただきたいこと」という文書を用いているが、臓器提供者に麻酔をかける可能性を記載していない。「心臓が停止した死後の臓器提供について」(5)でも説明すべき事柄を書いていないこと(注6

=日本臓器移植ネットワークサイト内

http://www.jotnw.or.jp/studying/pdf/setsumei.pdf

 

 

臓器提供施設マニュアル(平成22年度)は「原則として、吸入麻酔薬、麻薬は使用しない」としたこと(注7

=日本臓器移植ネットワークサイト内 臓器提供施設マニュアル(平成22年度)32 

https://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/flow_chart01.pdf

 

 

麻酔科医から「(臓器摘出時に麻酔をかけないため)心負荷/肝鬱血/肺鬱血といったいずれの臓器移植医も嫌がる有害事象を回避することが困難な状況にある」と指摘されていること(注8

 檀上 渉:大切なのは麻酔が必要であるという啓蒙では?、麻酔科学サマーセミナー14回、332017

=麻酔科学サマーセミナー14回サイト内 

http://www.masui-seminars.org/pdf/SummerSeminar2017.pdf


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第13回市民講座のご案内(2018年3月3日)

2018-01-23 07:06:16 | 活動予定
第13回市民講座のご案内
 

講演①横山 恒さん(脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」副代表兼事務局長)                            
  ≪遷延性意識障害とは? ―あきらめないを合言葉に―≫
 
講演②高原 美佳子さん(脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」役員)
  ≪家族を介護して思うこと≫    
 
 
日時: 2018年3月3日(土) 13時30分~16時45分(開場13時) 
会場: 江東区亀戸文化センター(カメリアプラザ)第2研修室(5F)
交通:JR総武線亀戸駅北口より徒歩2分
住所:東京都江東区亀戸2丁目19-1
資料代:500円

 第13回市民講座は、<脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」>から、横山さん、高原さんをお招きします。
 「遷延性意識障がい」とはどういう状態かご存知ですか?突然の病気や事故で脳に損傷を起こし、動くことも食べることも呼びかけに応じることもできない寝たきりの状態です。それでは「脳死」の状態とどう違うのでしょうか。こうした基本的なこと、家族の思い、その後の看護・介護、回復の過程などについてお話して頂きます。 
 臓器を提供することや、「迷惑をかけないで死ぬ」ことが美徳であるかのような風潮がある今日、看護、介護を続けている家族の方の体験を聞く中で、いのちにどう向き合うべきか、その為にはどんな援助や制度が必要なのかを考えたいと思います。ご参加をお待ちいたします。
                      
 
横山恒さんのプロフィール
 脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」副代表兼事務局長
 全国遷延性意識障害者・家族の会副代表兼関東ブロック担当役員
  国土交通省主催の「被害者救済対策に係る意見交換会」メンバー
 1999年暮れに当時21歳の長女が横断歩道上でわき見運転の大型トラックにはねられ頭部外傷を負い、遷延性意識障がいとなった。千葉療護センター等の入院を経て、現在は在宅介護14年目。今は最小意識状態まで回復し週3回デイサービスに通所している。笑顔が見られたりするが、発語は未だなく24時間の介護が必要。
 
高原美佳子さんのプロフィール
 脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」役員  
 交通事故後遺障害者家族の会 委員  
 母の介護(介護歴4年)
  
 
脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」の紹介
(「わかば」HP より http://wakaba-senensei.com/index.html 要約引用しました)
■「わかば」は1998年、主に交通事故等で遷延性意識障がい者になった患者を持つ家族が、互いに励まし合い、助け合い、少しでも支えになることを願い、『頭部外傷等による重度後遺障がい者と家族の会「わかば」』として結成。(中略)その後、発症原因も頭部外傷の他、脳血管障害や低酸素脳症など多岐にわたり、また会員の状態像も明確にするために、2014年4月に会の名称を『脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」と改称。
■メンタルケア、会報の発行(年2回)、会員対象に医療・福祉・介護等の勉強会、厚生労働省・国土交通省等行政機関への現状の課題の訴え等の活動を行っている。
■代表:和田つぎゑ、会員家族197家族、賛助会員63名。(2017年3月現在)

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第12回市民講座のご案内(2017年10月1日)

2017-08-20 08:38:15 | 活動予定
第12回市民講座のご案内
 

講演  斎藤 義彦さん(毎日新聞記者)
                        
≪広がる「尊厳死・安楽死」-オランダの状況を中心に≫
 
 
 
 日時: 2017年10月1日(日) 13時30分~16時45分(開場13時)
 会場: 江東区総合区民センター第2研修室(6F)
 交通:都営地下鉄新宿線西大島駅(A4出口)より徒歩1分/JR総武線亀戸駅北口より徒歩15分
 資料代:500円
 主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク
 
 
 
 第12回市民講座では「広がる“尊厳死・安楽死”-オランダの状況を中心に」をテーマに毎日新聞記者の斎藤義彦さんを講師にお招きします。斎藤さんは、日本・アメリカ・ヨーロッパで、社会保障の状況、特に高齢者の「終末期医療」や「安楽死」の問題について精力的に取材し本にまとめられました。その中で市民が考える上での論点を提示されています。
 今回は、ベルギー特派員時代に取材されたオランダの「安楽死」と高齢社会の関係、そして特に認知症の人々に対する「安楽死」問題を中心に語っていただきます。「延命医療」中止後の心停止ドナー移植の実態についてもお話しいただきます。
 日本に伝えられた記事を読んで、数年前から斎藤さんのお話を聞きたいと考えていました。待ちに待った講演です。是非ご参加ください。
 
 
 
 斎藤義彦さんのプロフィール
 1965年滋賀県生まれ。1989年毎日新聞入社。岡山支局、大阪本社特別報道部、社会部で臓器移植、安楽死、障害者の権利擁護など医療や福祉問題を主に取材。その後、ベルリン特派員として戦争後のイラクなどを取材。2011年~ブリュッセル特派員。フランスのシャルリーエブド事件などのテロの現場取材なども行う。 現在、毎日新聞本社生活報道部。
 
 
 斎藤義彦さんの著書
『死は誰のものかー高齢者の安楽死とターミナルケア』(2002年/ミネルヴァ書房)
 高齢者の「終末期医療」の状況を取材、「尊厳死」・「安楽死」・「脳死」をめぐる議論を包括的に紹介し、重要な論点を提示している
『アメリカ おきざりにされる高齢者福祉』(2004年/ミネルヴァ書房)
 家族に捨てられる高齢者の状況、ナーシングホームでの虐待、「安楽死」などの問題を紹介
『死は誰のものか―高齢者の安楽死とターミナルケア』(2002年/ミネルヴァ書房) 
『ドイツと日本「介護」の力と危機―介護保険制度改革とその挑戦』(2012年、ミネルヴァ書房)
 
 
 
 斎藤義彦さんのネーム入り記事より(一部を紹介)
 
■臓器移植:「心停止後」欧米で急増 ドナー不足解消狙い
 
毎日新聞 2012年06月24日
 
【ブリュッセル斎藤義彦】英国など欧米諸国で延命治療を中止し心臓が停止した後の臓器移植が急増していることがわかった。臓器提供者(ドナー)の2~5割程度から、これまで脳死移植以外では不可能とされてきた肝臓や肺が摘出されている。重篤な患者の生命維持装置を停止、心停止を待ち臓器を取る手法で心臓以外は摘出可能。臓器提供者不足を改善する新技術として定着しており、日本にも影響を与えそうだ。
 毎日新聞が各国の政府・公的機関の資料を基に算出した。
 臓器を提供する事例のうち、延命治療中止後の心停止と、脳死の割合を調べた。新技術を先行導入したオランダでは90年代後半から心停止移植が広まり、04年から臓器提供の4割程度になった。昨年、初めて脳死例を上回り、50.2%になった。英国でも00年代に入り急増、昨年、初めて40%になった。ベルギーでは02年まで0件だったのが昨年、18.6%に増えた。米国でも増加し、昨年は12.9%で1000件を超えた。
(中略)90年代初めに米国で開発され、95年にオランダの医学者により定式化された。臨床医によると、事故や自殺、病気などで脳に障害を受け入院、昏睡(こんすい)状態になり、人工呼吸器が必要になるような重篤な事例で、医師が「健康に回復する見通しがない」「良くても意識の戻らない状態になるだけ」などと判断して生命維持装置を外す。本人の停止に関する意思が不明なケースがほとんどで、家族の了解を得て止めるのが通例という。
 数十分たって心臓が停止したことを複数の医師が確認。5~10分間、遺体に触らない時間を置いて、移植チームが臓器を摘出する。
 臓器摘出時点で心臓が動いている脳死と異なり、心停止では血流が止まるため臓器は傷む。ただ、技術の向上で長期的な成績は脳死移植に見劣りしなくなっているという。
 医学的に難しい概念である脳死と異なり、伝統的な心停止は家族も受け入れやすく、ベルギーでは家族による臓器提供拒否率が脳死の場合より低い。
 一方、生命維持装置停止後数十分程度では「蘇生できる可能性がある」としてドイツは新しい心停止移植を認めておらず、欧州内でも倫理的論争がある。(後略)
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 なお当ネットワークで調べたところ、2016年の心停止ドナー比率は、オランダ50.2%、英国41.3%、ベルギー29.6%、米国16.9%でした。

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第11回市民講座の案内(2017年3月4日)

2017-02-16 06:23:51 | 活動予定

第11回市民講座の案内

 

講演タイトル:医療制度「改革」と、いのちの切り捨て
講師:松本文六さん(医師、社会医療法人財団天心堂会長)
日時:2017年3月4日(土)13時30分~16時45分(開場13時)
会場:カメリアプラザ(亀戸文化センター)第2研修室(5F)
案内図http://www1.ttcn.ne.jp/fuminokai/page006.html
住所:〒136-0071 東京都江東区亀戸2丁目19−1
交通:JR総武線亀戸駅北口より徒歩2分
資料代:500円
主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 

 今回の市民講座では政府が進める医療制度「改革」とその結果引き起こされている医療現場の実態について考えます。
 現在、病床は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4類型に再編され、患者は早期に、より報酬の低い病床に送られるか、退院させられています。目的は、医療費の抑制です。
 また、使用した医療費の自治体間での格差をやり玉にあげ、医療費を多く使っている自治体には、診療報酬を引き下げることをも実行しようとしています。他方、患者が支払う窓口負担など様々な利用料の値上げを進めています。
 こうした状況の下で、「脳死」と診断された人、遷延性意識障害の人、人工呼吸器の必要な人などの生活を支えるべき医療はどうなってしまうのでしょうか。2012年の「社会保障制度改革推進法」以来、法制度においても「尊厳死」を推進している政府の政策がますます強められ、医療が一層「重度」とされる人たちのいのちを切り捨てるものへと再編されるのではないか、との恐れを感じます。
 こうした事柄について、大分市で保健、医療、福祉の総括的な地域包括ケアを実践されている松本文六医師をお招きしてお話しして頂きます。ぜひ参加を!

 

■松本文六さんのプロフィール
  1942年大分県大分市生まれ。九州大学医学部卒業。80年天心堂へつぎ病院創設。85年特定医療法人財団天心堂・理事長。現在同法人財団会長。保健・医療・福祉を統合した広い意味での地域包括医療・ケアを展開。また90年代以降、《他人の死を期待する医療》を日本に導入すべきでないと現衆議院議員の阿部知子氏と「脳死・臓器移植を考える委員会」を結成し、反対運動を行った。
著書に『注射による筋短縮症』(三一書房)、『地域医療が変わる』(ゆるみ出版)、『生命倫理の再生に向けて』(青弓社)、『パンドラの箱を開けたのか-崩れゆく日本の医療』(エヌワイ企画)ほか。

 

■講演概要(講師の松本文六医師から)
 世界に冠たる国民皆保険制度として、日本の医療保障制度は国際的に評価されてきました。しかし、今やそれに大きな軋みが生じ始めています。その軋みは次第に大きくなってぽっかりと大きな深い穴ができてきました。
 その端緒は、2006年の小泉政権の『骨太方針』です。《社会保障費を5年間に亘り1兆1000億円、すなわち毎年2200億円圧縮する》という方針から始まりました。
 その流れの中で“医療崩壊”が始まりました。地方の中小病院の診療所への転換、診療科の閉鎖が日本全国各地で起りました。その中で、救急患者のたらい廻しや、医師の過重労働が問題となりました。
 これに対して、国は、医療崩壊の原因を分析することなく、医師の養成数を増やすという姑息的な政策で糊塗してしまいました。
 安倍政権は、それを更に推し進めるために、2016年度より3年間に亘って、社会保障費を毎年5000億円圧縮するという途方もない政治を始めています。弱者の自己負担を大幅に増やしてきています。経済を最優先して、弱者を対象とする医療・介護・福祉を大幅に圧縮することは、国民のいのちを更に切り捨てることです。
 これらに対して私たちはどうすべきなのでしょうか?

 

【松本文六さんが会長を務める大分市の医療法人財団天心堂ホームページより】
●天心堂の理念:患者さん、利用者さんのいのちと人権を尊重し、ぬくもりのある医療を追求します
●実践指針:出かける医療/見ざる言わざる聞かざる医療はしない/なんとかする医療/予防し、治し、自立を支える医療
●天心堂名前の由来:天心堂の歴史は、1980年9月1日の個人病院―天心堂へつぎ病院―の創設に始まります。天心堂という名称は名誉院長 松本弘によって提唱されました。
 "天心"とは、天の中心、太陽を意味します。太陽は富める者も貧しき者も平等に照らします。これは《患者を差別しない》という点で医療の心にかなっています。このような意味で天心堂を病院の名称としました。また、へつぎ病院の"へつぎ"は、病院所在地の"戸次"が へつぎと読みづらいので平仮名としました。

 


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